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石原さとみ:「日本も女性が首相になる時代にならないと」 映画「シン・ゴジラ」で米特使役

 女優の石原さとみさんが怪獣映画「ゴジラ」の12年ぶりの日本版新作「シン・ゴジラ」(庵野秀明脚本・総監督、樋口真嗣監督・特技監督)で米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン役で出演している。カヨコは米国の特使として英語で、また英語交じりの日本語で日本政府と交渉するキャリアウーマンだ。そんな難役を演じた石原さんに、「シン・ゴジラ」に出演した感想や今作に込められた思いなどについて聞いた。

 ◇“お祭り映画”ぜひ出演したい

 石原さんは「ゴジラのオファーがきたとき、よっしゃーーーっと家で叫びました」とコメントしている。なぜ、ゴジラ映画に出たかったのか。「ゴジラだから、やりたかったんです。世界的に公開されることも含めて、ハリウッド版のゴジラも見ていましたし、大作になるということも分かっていたし、キャストがすごく大人数で東宝さんが総力を挙げたお祭り映画になるのかなって思ったんです。だから、私も少しでも出たいなと思っていました」とその理由を説明する。

 出たいと思ったきっかけは、石原さんが出演して昨年公開された樋口監督の「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 前後篇」の影響もあったという。「『進撃の巨人』のチームが『ゴジラ』の新作を作るということを聞いていて、そのメンバーと(打ち上げで)飲んだとき、私にゴジラの出演オファーが来ているということを誰も知らなかったんですけれど、ゴジラに対する熱い思いをみんなで語っていて。それを聞いてやりたいなと思いました」と明かす。

 「進撃の巨人」も話題を呼んだ作品だが、「この世界で生きているからには、人に見てもらってこそだと思いますので。多くの人に見てもらえる作品には出たいなと思って。エンターテインメント作品はぜひやりたいと思っています」と話題作や世界で公開される作品には積極的に関わりたいという意向がある。

 ◇今回のゴジラは「怖い」

 ゴジラは長い歴史のある特撮の作品だ。ゴジラシリーズは大別すると、第1期「昭和ゴジラシリーズ」(1954~75年)、第2期「平成ゴジラシリーズ」(1984~95年)、第3期「ミレニアムゴジラシリーズ」(1999~2004年)に分けられ、「シン・ゴジラ」も含めて日本では29作品作られている。石原さんは主に第3期の作品をオンタイムで見たといい、「モスラが出てきたり、人気もあって、『ゴジラ』はある意味ブームでしたね。可愛いキャラクターも出てきて、歌も印象深いです」と語る。

 今作のゴジラについては、「初期のものと今回の作品は時代の風刺を描いていると思うし、台本を読んで今回のゴジラは『怖い』と思いました。何が例えられているのか、どうやって作られたとか。人によって、その人の持つ知識によって、ゴジラって何なの?っていうことが問われたときに、いろいろと考えなきゃいけないと思います」と思いをはせる。

 ◇脚本を読めば読むほど「庵野さんは天才だと思った」

 しかし、分厚い台本を読んでがく然とした。「(英語交じりの)せりふよりも台本を読み解く力の方が大変で、時間がかかりましたね。なんとなく知っていた単語がどういうものかを説明できなくて、それを一つ一つ調べていく作業の方が大変でした。だから準備段階の方がすごく時間がかかったような気がします」と苦労を明かす。

 ただ、その作業は苦痛ではなかった。「台本がすごく面白かったんです。読めば読むほど、調べれば調べるほど。深読みかもしれないけれど、この数字はこのことを表わしているんじゃないかとか、ここに行ったのはこれを表しているんじゃないかとか。すごく深読みできるというか。いろいろ調べていて、読めば読むほど、庵野さんって天才だなって思いました」と実感を込める。

 庵野さんが手がけた「エヴァンゲリオン」シリーズも見ていたといい、「今回の台本を読んだ感覚に近いと感じました。もっと探っていけば深いんだろうなと思うし、エヴァに出てくる女性像がカヨコを演じる上で参考になる部分もあるなと思いました」と語る。

 ◇カヨコ役「すごく孤独だった…」

 撮影前の準備段階で「庵野総監督、樋口監督にダメ出しされる中で、悔しくて涙を流してしまうぐらい、難しい役と向き合った」と語るほど、カヨコのキャラクター作りには苦労した。

 「キャラクター作りの準備段階で、本人に投げられるものが多くて……。どっちの方向でいけばいいのかとか、いろんな人の意見を聞こうと思うんですけれども、それぞれ違うし、(日本政府の)チームの一員でもないので。すごく孤独だったかな」と孤軍奮闘した。カヨコのキャラクターを「客観視はしました。カヨコのバックボーンから想像できる性格だったり、この映画の中での役回り、立場などですね。日本人とは違う表情の豊かさとか、振る舞い、しぐさ、考え方、言葉のテンポだったり、いろんなことを考えました」と語る。

 ◇男女間の友情は…

 カヨコは米国大統領特使で、長谷川博己さんが演じる内閣官房副長官の矢口蘭堂ら日本政府関係者に米国の意向を伝える重要な任務を背負っている。そんな責任のある職務に就いている女性について、同じ女性として石原さんはどう思うのか。

 「カヨコは多分、上に行きたくて、社会を変えたくて、自信もあって、親の七光りを存分に受けつつ、それ以上に努力もしている女性。責任のある仕事も使命だと思ってやっていると思います」と分析する。

 そういう仕事は女性に向いていると思うかと聞くと、「分からないです。でも、日本はそういう時代にならないといけないと思いますけれどもね。日本で女性が総理大臣になる時代になってほしいと思いますけれど。どこかで女性は感情がぶれやすかったりしますが、細やかさとか、誠実さとか自分の命に代えてもやり遂げなければいけないという強さというのは女性特有だと思うので。(そういう女性が増えていくことは)これから期待したいですけれどもね。やっぱり時代が変わっていかないといけないと思うので」と期待を寄せる。

 長谷川さん演じる矢口とカヨコは日米と立場も異なり、男女間だが友情のような絆で結ばれている。「目的が一緒という同士愛ですよね。どんなものに対しても目的が一緒であれば、その絆は強いと思うし、最も尊いというか、いい関係だと思います」と思いをはせる。

 ◇どう感じるかは人それぞれ

 今回のゴジラにはさまざまなメッセージが込められている。石原さんは、今作について「(感じることは)人それぞれ、知識と経験で感想がまったく変わると思います。エンターテインメントとして面白いですけれどもね。ゴジラが出て、一緒にどうやって戦って倒すのかというのを小学生の子たちとか、エンターテインメントとして楽しめると思いますし。政治に関して興味がある人とか、(東日本大震災の)3.11を経験して、いろいろ学んだ人が抱いた感情が、もしかしたら『シン・ゴジラ』とリンクする部分もあるかもしれないですし。深読みではなく、単純にゴジラってこういうことを表しているかもしれないとか、人によって、(見る時期によって)感情が変わるので、どんな反応があるか楽しみですね」と反響に期待を寄せる。

 さらに「引っかかるフレーズも変わりますし、誰にいら立ちを覚えて、誰に悲しみを持って、誰を信じて、誰の言葉が引っかかって……。ある意味、矢口派なのか、(竹野内豊さん演じる内閣総理大臣補佐官の)赤坂派なのかと分かれたりもするだろうし。ゴジラの倒し方も斬新だし、それで怖いと思うのか、すっきりしたと思うのか、日本の現状を見て、悲しく思うのかまた立ち上がれるという希望を見いだすのか、ゴジラが出たことによって、どう思うのかって人それぞれ全然違うので。何回でも見てほしいですね」とメッセージを送った。「シン・ゴジラ」は全国で公開中。

 <プロフィル>

 1986年12月24日生まれ、東京都出身。2002年、第27回ホリプロタレントスカウトキャラバン「ピュアガール2002」でグランプリを受賞。03年に主演映画「わたしのグランパ」(東陽一監督)で本格的な映画デビューを果たす。同年、NHK連続テレビ小説「てるてる家族」でヒロインに抜てきされた。05年、NHK大河ドラマ「義経」に静御前役で出演するなど数多くの映画、ドラマ、舞台、CMなど幅広い分野で活躍。15年10月期の月9ドラマ「5→9~私に恋したお坊さん」で主演を務める。15年には映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 前後篇」(樋口真嗣監督)にハンジ役で出演。

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