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俳優の松田翔太さんの主演映画「ディアスポリス-DIRTY YELLOW BOYS-」(熊切和嘉監督)が3日に公開される。密入国の外国人ばかりがいる秘密の自治社会が存在する東京を舞台に、弱き者を助ける裏警察官・久保塚早紀の活躍を描く。2016年4~6月にはテレビドラマ版が放送された。映画では、誘拐殺害事件を巡り、久保塚らとアジア人犯罪組織、ヤクザによる抗争が繰り広げられる。ドラマ版に引き続き松田さんが久保塚、相棒の鈴木を浜野謙太さんが演じるほか、須賀健太さん、安藤サクラさんらが出演している。
マンガ・すぎむらしんいちさん、脚本・リチャード・ウーさんによるマンガ「ディアスポリス-異邦警察-」が原作。密入国し東京に住む外国人たちが自分たちを守るべく組織した秘密組織・異邦都庁(裏都庁)。銀行や病院、警察組織「ディアスポリス」などがあり、久保塚早紀(松田さん)は唯一の異邦警察の警察官として日々奮闘していた。ある日、満身創痍の大けがから回復した久保塚は、仲間たちとパーティーに興じていると、裏都民の一人・マリアの誘拐事件が発生。相棒の鈴木(浜野さん)とともに久保塚は捜査に乗り出し、監禁先を突き止めるが、すでにマリアは殺されていた。殺害現場から逃げたのがアジア人犯罪組織「ダーティ・イエロー・ボーイズ」の周(須賀さん)と林(NOZOMUさん)という情報をつかみ、久保塚は2人の足取りを追跡するが……というストーリー。
アンダーグラウンドな世界観と、主人公・久保塚のキャラクターが原作人気を支えていたが、負けず劣らずで独特の空気感とスタイリッシュさでドラマ版でも楽しませてくれていた。そういった期待値が高い中で見た劇場版は、開始早々から壮大なスケールと味わいのある映像で一気に裏都庁が存在する東京へと心を連れていってくれる。時系列的にはドラマ最終話のその後の物語だが、映画から登場するキャラクター中心に展開されていくので、たとえドラマを見ていなかったとしても、その面白さが薄れることはない。チャイニーズマフィアと裏都庁、そして謎のヤクザたちの争いは各組織のバディ感が心地いい。コミカルな要素もありつつ、哀愁やぐっとくる描写もあり、生きることはあがくこと、世界や人間のあり方について考えさせられた。3日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。