映画「PとJK」に金髪の不良役で出演した高杉真宙さん
人気グループ「KAT-TUN(カトゥーン)」の亀梨和也さん主演、土屋太鳳さんがヒロインを務めた映画「PとJK」(廣木隆一監督)が全国で公開中だ。今作は、三次マキさんが月刊少女マンガ誌「別冊フレンド」(講談社)で2013年から連載している恋愛マンガが原作。土屋さん演じる恋愛初心者の女子高生(JK)・本谷歌子(カコ)と、亀梨和也さん演じる男らしい警察官(P)の佐賀野功太の秘密の新婚生活を描いている。カコの同級生で金髪の不良・大神平助役で出演した高杉真宙さんに話を聞いた。
◇原作を読んだときから大神好き
高杉さんが演じる大神平助は、複雑な家庭環境の不良という役どころ。「もともと原作を読んでいてファンだった」という高杉さんは、「自分なりの大神のイメージがあったんです。自分の中でどうにか(そのイメージに)つなげていきたいと思って、最初は容姿から入っていきました」と役作りをスタートさせ、「映画には台本という“教科書”があり、原作とはまた違う部分が出てくる。映画ならではの大神をしっかりと作っていく中で、原作の大神に近づけていく部分を探しながら(役を)作っていきました」と語る。
原作の大神について、「不良といわれているけれど、すごく可愛いところがあるというか、あまり不良っぽくないなと思った」と第一印象を語り、「男らしいところもあり、読み進めるほど好きになっていきました」とお気に入りのキャラクターになったという。
大神の好きなところについて、「心情が動くキャラクターが好き」と自身の傾向を分析し、「好きになった女の子が結婚していて、『そんなことあるか!』というぐらい衝撃的(笑い)。大神はそういった壁がありつつもアタックして、警察官は嫌いだったけれど、功太のお陰で前に進めて成長している。カッコいいなという憧れもあります」と説明する。
自身が好きなキャラクターだからこそ、「自分でいいのかなとか、容姿や雰囲気も含めてもっと似合う方がいるのでは……という不安はあり、最初は緊張と不安が大きかった」とオファーを受けた当時の心境を振り返り、「お話をいただいたのはうれしくて、好きだからこそ演じたいという気持ちもあったので、どうにかして大神平助を表現したいと思いました」と並々ならぬ決意があったことを打ち明ける。
改めて自分の金髪姿を振り返り、「ちょっと懐かしい感じがしますが、ロケ先で毎朝起きるたびに自分の髪色に驚いていました」と笑顔で明かし、「人生で2回目の金髪で、最初は似合わないと思っていましたが、だんだん見慣れてきました」と語る。
◇自身がぐっとくる女性像は…
撮影現場での様子を「学校を使って撮影することが多かったのですが、最初は大神一人のシーンが多く、文化祭のシーンでやっと学生生活を送っている感じが出てきました」と笑い、「そのシーンをきっかけに皆さんとどんどん仲よくなれました。中でも(関西ジャニーズJr.に所属する永倉二郎役の)西畑大吾君は、すごく仲よくさせていただきました」と話す。
西畑さんとはかなり親しくしていたといい、「僕自身は人見知りな方ですが、西畑君はフレンドリーな感じで来てくれて、すぐ仲よくなれました」と喜び、「マンガやゲームの話をしたりしたのですが、(自分に)合わせてくれたのかな……?」と楽しそうに話す。
共演シーンが多い亀梨さんの印象について、「最初はあの亀梨さんということで、すごく緊張していました。物静かでクールなイメージだったのですが、僕が失敗したときも『大丈夫』『気にしなくていいから』って声をかけてくれました」と感謝し、「ご自身の経験も話してくださって、亀梨さんみたいに後輩に教えられる人になりたいと思いました」と真摯(しんし)に語る。
亀梨さんとの会話で印象に残っているのは、「一緒にご飯に行ったときに、テーブルマナーを教えてもらったのが一番、衝撃的でした」と明かし、「丁寧に教えてくれて本当にカッコいい。演技はもちろん、内面も本当にすてきでした」と尊敬のまなざしで語る。
大神はカコの真っすぐな接し方により、次第に心を開いていくが、自身を人見知りだと自認する高杉さんが心を開く瞬間は……?「閉じているわけではなく、開きにいけないだけなんです(笑い)」と訂正し、「ノックしていただいたらすぐに開くのですが、まずどんな人かを探っちゃうところはあります。どういう話題なら会話が続くのかなと思ったりするので、(相手から)話しかけてくだされば、すぐに話せると思います」と自己分析する。
映画では、大神がカコの素直な明るさに引かれていくが、高杉さん自身がすてきだと思う女性像について、「気が付く方」と告白し、「自分も割と気付く方なのですが、できないことも多いんです。そういうのをサラッとやる方はカッコいい。尊敬の念を込めてという意味では、同性に対しても一緒かもしれません」と語る。
◇「また一緒にやりたい」と思われる役者に
完成した映画を見て、「大神を演じていて一番印象に残っているのは、やっぱり“友情”の部分。大神は学校では独りぼっちなのに、カコはガンガン来てくれる。そこで「友だちだから」と言ってくれるカコに好意を抱き、さらに友達も増えていく。変化していく過程がとても好きです」としみじみ話す。
今作の撮影中に20歳を迎え、忘れがたい作品の一つになったと高杉さんは話す。「お祝いしてもらったとき、顔が(撮影で)ボコボコにされた(シーンの)後だったんです」と笑いながら切り出し、「殴った張本人の川瀬陽太さんがケーキを持って来てくださり、それがシュール過ぎて面白くて、20歳の誕生日はかなり衝撃的なものになりました」と再び笑う。
成人の仲間入りをしたが、今後の学生役については「日常で制服を着ることはなくなりましたが、仕事では着られるので、まだ20歳なのですが現場ごとに若返っている気分はあります」と笑顔で語る。
20代はどんな役者になっていきたいか、と聞くと「もちろんいろんな役をやりたいですが、一緒にお仕事をしたいと思っていただける役者になりたい」と切り出し、「そのときに求められているものに応えながら、それ以上のものを出せるようにしていけば、自然と『また一緒にやりたい』と思っていただけるのでは」と意気込みを語る。
そして、「まだ多くの役を経験しているわけではないので、自分にどういう役がはまるのかは僕自身も分かりませんが、たくさんの役を経験しながら、『他の役も見てみたい』と思われる役者になりたいです」と思いをはせていた。映画は全国で公開中。
<プロフィル>
1996年7月4日生まれ、福岡県出身。2009年に舞台「エブリ リトル シング’09」でデビュー。12年に公開された映画「カルテット!」で映画初主演を果たす。13年には特撮ドラマ「仮面ライダー鎧武/ガイム」(テレビ朝日系)に出演し注目を浴びる。15年には昼ドラ「明日もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~」(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演。P&G「ファブリーズ」のテレビCMに出演中。17年は出演した映画「ReLIFE リライフ」「トリガール!」「散歩する侵略者」などの公開を控えている。
(取材・文・撮影:遠藤政樹)