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彼女がキレイな理由:木村多江さん 女優の仕事「人間の美しさを幅広く表現したい」

 女優の木村多江さんが出演した映画「ねこあつめの家」(蔵方政俊監督)が全国で公開中だ。2014年10月にリリースされ、累計2000万ダウンロードを記録したスマートフォン用ゲームアプリ「ねこあつめ」を実写映像化。映画は、スランプになった若手作家・佐久本勝(伊藤淳史さん)が移り住んだ田舎の古民家に猫が集まってきて、一緒に過ごして癒やされているうちに生き方を見つめ直す……という展開で、この作品で木村さんは佐久本の移住先のペットショップ店主で猫の生態に詳しい寺内洋子役を演じている。木村さんに、映画の撮影エピソードや見どころ、女優の仕事について聞いた。

 ◇スランプ中の作家が古民家で「ねこあつめ」

 映画「ねこあつめの家」は、若くして新人賞を受賞し、一躍人気作家となったが現在は大スランプ中の若手小説家、佐久本勝(伊藤さん)が主人公。担当編集者の十和田ミチル(忽那汐里さん)は、そんな佐久本を励ますが、逆に佐久本を苦しめるだけだった。ある夜、佐久本は不思議な占師から予言を受け、おかしな不動産屋(大久保佳代子さん)の勧めで、多古町という片田舎の古民家に移り住むことを決める。場所は変われど暮らしは変わらず、下降線をたどる毎日を送っていたある日、途方に暮れて縁側で庭を眺めていると、1匹の猫がふらりとやってくる。ほどなくして猫は庭から出て行ってしまうが、どうしても猫が気になる佐久本は、 ペットショップの店主・洋子(木村さん)からアドバイスを受けて猫が来やすい庭作りを始める……というストーリー。

 ◇猫には「こちらから歩み寄りたくなる吸引力がある」

 木村さんと猫の接点は「飼ったことはないんですけれど、小さいころずっと幼なじみの家に猫がいっぱいいて、いつもそこの家の猫と遊んでいました」といい、「前から好きだったので、この映画で猫と遊べてすごく楽しかったです」と笑顔で語る。

 そんな猫の魅力とは? 「こちらが歩み寄りたくなるような吸引力かな。犬みたいにこちらに来てくれるわけじゃないので、自分から行かないといけないけれど、猫には行きたくなるような魅力がありますね。『プン』と、どこかに行かれたりすると余計にキュンとなったり。人間の心理として逃げるものは追いたくなる。恋愛にも似ているというか……」と表現する。

 ◇映画になると聞いたときの猫好きの反応は?

 大ヒットゲームアプリが基になっているが、「アプリは知っていました。うちの子供がすごく好きで、その影響でうちの母がやっていて……」と言い、それが映画になると聞いて「周囲もびっくりしていました。どんな感じになるんだろうと。でも確かに『ねこあつめ』を映画にしたらこんな感じ、こうやって猫が集まってくる、もし自分が主人公だったら(集まってきて)うれしいな、みたいな感じかなって」となじみはあった。

 木村さんが出演すると聞いたときの周囲の反応は「猫と会った?とか、猫とたくさん遊べた?とか。やっぱり猫が好きな方たちはすごく聞いてくださいましたね」と好意的な反応だった。

 ◇現場では猫が安心するように話しかけた

 今作にはもちろん猫が多数出てくるが撮影での苦労は? 「私はいっぱいいるところ(佐久本の家)には行かなかったので、猫専門のペットショップで1、2回ぐらいしか触れ合わなかったんですけれど、触れ合った子はすごくいい子でおとなしくて。スタッフさんたちがいっぱいいるので逆に怖がっていて、私からずっと話しかけて安心するように体をくっつけてましたね」と穏やかな表情で語る。

 木村さんが今回演じる役はペットショップの店長という猫の生態に詳しい役どころだが……。「撮影場所のペットショップの方にいろいろとお伺いしました。それより(自分が演じたキャラクターが)ところどころにしか出てこないので、どう演じるかを考えました。犬好きの人と猫好きの人ってキャラクターが違うので、猫好きの方が少し個性的というか、オリジナリティーがあるという印象で、どうしたら個性的な猫が好きな人を演じられるかなと考えて、お芝居で作ることを意識してやりましたね」と演技について明かす。

 木村さんが演じる洋子は佐久本にズバズバと言う役だが、「私が自由にやらせていただいて、監督がそれを受け入れてくださった感じです(笑い)。『猫が好きという雰囲気を出したい』と監督に言って、監督も確かにそういう方向でやってほしいと言ってくださったので。自分なりに、(猫好きな)個性的な感じで作ろうかなと」と自分からアイデアを出したという。

 ◇自分が疲れていないか見つめる時間にしてほしい

 今作の見どころについて、「今ってみんなストレスを抱えていて、癒やしを求めています。その癒やしがこの映画にはあるかなと思います。あと、ゆっくり自分と向き合うことをしていかないと、人って脳が疲労しちゃうところがあるので、映画を見て、自分の健康や体、心が疲れていないかと見つめる時間になったらいいなと思いますね」とメッセージを送った。

 女優の仕事は「ずっと続けていきたいなと思っています」と話す木村さん。今後演じてみたい役どころは? 「いろんな役をやりすぎていていったいどれをやっていないのか分からないですけれど、人間の内面が出るような役をやりたいですね。人間の美しさって、20代は外見の美しさがあって、だんだん内面の美しさを磨かなきゃいけないなと思っていて。人間らしい部分、喜怒哀楽の喜んで楽しいハッピーなときだけじゃなくて、苦しんでいる姿もすごく美しいなと思うので、そんな感情とか、人間のいろんな美しさを幅広く表現できたらいいなと思います。弱さとか、切なさとかそういうのも含めて。でもコメディーはいつもやりたいですね(笑い)」と力強く語った。

 “薄幸女優”といわれたこともある“はかなげ”な雰囲気の木村さんだが、意外にもコメディー好きだ。「(コメディーを演じるのは)楽しいですね。今回も普通の人だけど、少し遊ばせてもらおうと思って、いままでやったことのないキャラクターにしてみました。毎回新しいキャラクターを作るのは楽しいですね」と晴れやかな笑顔で語った。

 次回は、休日の過ごし方や最近気になるファッションアイテムなどについて聞く。

 <プロフィル>

 きむら・たえ 1971年3月16日生まれ。東京都出身。舞台女優として活動後、96年に「炎の消防隊」でドラマデビューを果たす。初主演映画「ぐるりのこと。」(2008年、橋口亮輔監督)で第32回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞ほか数多くの賞を受賞。主な出演作に「沈まぬ太陽」(09年、若松節朗監督)、「ゼロの焦点」(09年、犬童一心監督)、「東京島」(10年、篠崎誠監督)、「MY HOUSE」(12年、堤幸彦監督)、「夢売るふたり」(12年、西川美和監督)、「くちびるに歌を」(15年、三木孝浩監督)、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16年)、「バースデーカード」(16年、吉田康弘監督)、「金メダル男」(16年、内村光良監督)、「幸福のアリバイ~Picture~」(16年、陣内孝則監督)、「RANMARU 神の舌を持つ男」(16年、堤幸彦監督)などがある。

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