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狂言師の野村萬斎さん主演の映画「花戦さ(はないくさ)」(篠原哲雄監督)が、3日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほかで公開される。天下人となった豊臣秀吉(市川猿之助さん)の暴君ぶりに“花で立ち向かった”僧侶、池坊専好(萬斎さん)の活躍を描く痛快時代劇だ。佐藤浩市さん、中井貴一さん、佐々木蔵之介さんらの豪華競演も見ものだ。
1573(天正元)年、京の中心にある六角堂に、花を仏に供えることで世の平和と民の幸せを祈る“花僧”がいた。その花僧、専好は、織田信長(中井さん)の前で生け花を披露するが、大失態を犯してしまう。窮地を救ったのは秀吉だった。十数年後。天下統一を果たした秀吉は圧政を敷き、自分の意にそぐわぬ者を次々と死に追いやっていた。かねて、花と茶の違いはあるものの、美を探究する者同士、専好と友情を築いてきた茶人の千利休(佐藤さん)も、ついに秀吉の逆鱗(げきりん)に触れてしまい……というストーリー。ほかに高橋克実さん、森川葵さん、吉田栄作さんらが出演。脚本を、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の森下佳子さんが担当している。
専好は、空気を読めず、物覚えも悪い上に口下手。権力には全く興味がない。花をいじり、民と向き合っている時が一番幸せという男。そんな専好を、野村さんが実に飄々(ひょうひょう)と、かつ生き生きと演じている。半面、クライマックスの、秀吉との真剣勝負で見せる鋭いまなざしからは覚悟がビシバシ伝わり、花を使った大胆かつ粋な“戦法”に、心の内で喝采を送った。
北野大茶会で専好が利休のために生けた花の斬新さや、茶室での秀吉と利休の緊迫したやり取りなど、見どころが随所にある。普段目にするものとは異なる、まるで工芸品のような生け花にも目を見張った。(りんたいこ/フリーライター)