ジョニー・デップさんが海賊ジャック・スパロウに扮(ふん)した人気シリーズ最新作「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」(ヨアヒム・ローニング監督、エスペン・サンドベリ監督)が、7月1日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほかで公開される。かつてジャックと冒険を共にしたウィル・ターナー(オーランド・ブルームさん)とエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイさん)の息子ヘンリー(ブレントン・スウェイツさん)が登場し、ジャックと共に伝説の秘宝を巡る大冒険を繰り広げる。とにかく見せ場がたくさんあり、息つく暇もないほどだ。
父ウィルにかけられた呪いを解くために、伝説の海の秘宝“ポセイドンの槍”を探しているヘンリーは、槍の手掛かりを握る女性天文学者カリーナ・スミス(カヤ・スコデラリオさん)と出会う。ジャックも、過去の出来事から自分に復讐(ふくしゅう)を誓う“海の死神”サラザール(ハビエル・バルデムさん)から逃れるために、ポセイドンの槍を必要としていた。やがて3人は共にポセイドンの槍を探し始める。そんな彼らを、サラザールとキャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュさん)が追いかけてくる……というストーリー。
元「ビートルズ」のポール・マッカートニーさんがジャックのおじ役で出演。ブルームさんとナイトレイさんが久しぶりに姿を見せる。日本語吹き替え版では、ヘンリーの声を俳優の中川大志さん、カリーナの声を女優の栗山千明さんが担当している。
ハイライトシーンに出る海の表情の変化には驚いた。続くジャックとサラザールの対決は、興奮のあまり握る拳に力が入った。ジャックがサラザールに恨みを持たれる原因となった“魔の三角海域”のエピソードでは、まだ“青二才”のジャックの機転と鮮やかな操舵にワクワクさせられた。CGとはいえ初々しいジャックを見ることができ、得した気分になった。
これまでとは一味違う人間くさいバルボッサなど“悪役”にも魅力がある。特に、恐ろしい形相ながら悔しさと悲しみがにじみ出たサラザールは、見ているうちに不憫(ふびん)さが募り、同情した。相変わらず豪華キャストはにぎやかで展開は目まぐるしい。それがこのシリーズの持ち味。存分に堪能してほしい。(りんたいこ/フリーライター)