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2009年に公開された細田守監督の劇場版アニメ「サマーウォーズ」が18日、「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系、午後9時)で放送される。俳優の神木隆之介さんが声を担当した数学が得意だが気弱な高校生の主人公・健二が、ひょんなことから暴走するAI(人工知能)に、家族や地元の人たちとともに知恵と勇気と絆を武器に立ち向かう……という青春ストーリー。健二が世界を救うため「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!」と叫びながらエンターキーを押すクライマックスが印象的な作品だ。神木さんに、「サマーウォーズ」の見どころや神木さんが声優として出演している公開中の劇場版アニメ「メアリと魔女の花」の収録秘話、引く手あまたの現状などについて聞いた。
「サマーウォーズ」は、数学の天才だが気の弱い高校生・健二(神木さん)が、憧れの夏希先輩(桜庭ななみさん)から、恋人のふりをするアルバイトを頼まれ、本家のある長野県上田市を訪れるが、ひょんなことから世界のライフラインを支える仮想世界を混乱させた犯人に仕立てられ……というストーリー。谷村美月さん、富司純子さん、仲里依紗さん、中村正さん、永井一郎さんも声優として出演している。
◇「声の仕事が楽しい」と思えた作品
――「サマーウォーズ」はもう8年前の作品ですが、ご自身の高校生のころの声を聴かれていかがですか。
今回の放送の企画で「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!」ボタンというのがありまして当時の声を改めて聴いてみたんですけれど、あまり変わってなくてびっくりしました(笑い)。確かに(今より)少し高いですね。地声で出せる高さではあるんですけれど、今はもう少し(地声が)低くなったなというのはあります。ただ、さっきちょっと「よろしくお願いします」と話してみたら、当時と同じような声が出たので、まだ大丈夫かなと。
「サマーウォーズ」が放送されると友達も結構見てくれているみたいだし、ネットとかでも一緒に「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!」とつぶやいてくださっている人も大勢いらっしゃるというので、すごくありがたいなと思っています。皆さんの中に「夏といったら『サマーウォーズ』を1回は見ないといけないよね」と、ちゃんと心に残っている作品になれているんだなと感じられたので、すごくうれしいですね。
――神木さんにとって「サマーウォーズ」はどういう存在ですか。
声のお仕事ってすごく楽しいんだって思えた作品ですね。高校1年生で節目というか、人間的にもいろいろ考えを広げていきたいという年でもあったので。すべてのことに意識をし出すそんなときに、こういう家族(がテーマ)の作品に携わることができてよかったなと。この作品はやっぱり基盤というか、この仕事をやらせていただいている中で「サマーウォーズ」の存在は大きいですし、自分の中で経験としてちゃんと残っているなということは感じました。
――「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!」のシーンはとても有名ですが、それ以外にここを見てほしいというシーンはありますか。
家族で話しているシーンは絶対に見てほしいなと思います。本当にキャストの皆さん全員で(集まって)声を録(と)っていたので、僕にとってもすごく貴重な経験でしたし、忘れられない思い出になりました。別々に録っていないからこそ家族観というか、ちゃんと人と人とが会話している温かさというのが出ているので、そこは見ていただきたいなと思います。
1人暮らしの人たちはもちろん、社会に出たり、学生でも一人で戦っているという意識があると思うんですけれど、実は家族全員で戦っているし、家族で支え合っているんだと。同じ方向を向いて戦っている人は家族なんだということに気付くところがすごくあると思います。
あと、(劇中で)おばあちゃんが「ご飯は家族で食べるものだ」と言っていましたけれど、当たり前のことですけれど、1人暮らしじゃそんなこともできないですから、久しぶりに実家に帰ってみたいなと思ってくれればすごくうれしいです。気付くところが多い作品で、今後もずっと見続けてほしいなと思います。
◇12歳という年齢は意識しなかった
――「メアリと魔女の花」公開から1カ月以上たちましたが、周囲の反応は?
「娘や息子と見に行ったよ」という声が多いですね。友達も見に行ってくれているんですけれど、今回は親戚が結構声をかけてくれて。「子供たちと見に行ったよ」とか。同年代というより家族連れが見に行っているという印象ですね。
――子供に響く作品になっている印象ですが。
プロデューサーの西村義明さんが、アニメ化するにあたって「子供にうそをつかない」とおっしゃっていました。夏休みだし、子供たちに見てもらえたらうれしいなと思います。
――主人公のメアリの声を担当した杉咲花さんが神木さんの収録がとても早くて驚いたとおっしゃっていましたが、ピーターの声はやりやすかったですか。
いやいや、出番も少なかったので(照れ笑い)。もともと4時間で収録するスケジュール設定だったんですよ。最初、僕は絶対無理だと思ったんですけれど、なんとか4時間で録り切りました。全然(声優に)慣れているということではなく、メアリよりは確実にせりふ量が少なかったし、ピーターは苦しんでいるような、せりふにならない声が多かったので。
――苦しんでいる声はどんな工夫を?
本気で人間が苦しんでいる声は、すごく低い声になるし、聴き苦しいじゃないですか。大人と子供では苦しんでいる声も聞こえが違うと思うので、ピーターは僕より12歳年下の12歳なので、難しかったですけれど、意識するところではありました。監督がオーケーしてくださったということは、ピーターの少年らしさは表現できたのかな、と。分からないことだらけでそこは本当に監督任せだったので、監督がオーケーしてくださったのが自分の中では安心材料になりました。
――声は12歳ということで高めに意識しましたか?
最初それも考えたんですけれど、あんまり意識しない方向にしました。12歳だから高くしなくちゃとなると、多分、僕じゃなくてもいいと思うんですよね。年相応の男の子や女性が少年の声をやられたほうが、より少年らしさが出ると思うので。これまで(声優は)地声でやらせていただいていた僕が、ピーターをやるということは何か(声が)高くなくてもいい理由があるはずだと。だからほぼ地声というか、12歳ということはあまり意識しないでやらせていただきました。
ただちょっと精悍(せいかん)さというか、冒頭から最後に向けてピーターもすごく成長するので、感覚的ではありますけれど、少年から青年期を迎えつつあるのかなということは少し意識しました。
◇同世代や後輩の活躍「うれしい」
――「メアリ~」も公開中ですし、出演している実写版「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」も先日公開されました。引く手あまたの現状をどう思いますか。
引く手あまたではないです(笑い)。いつ首を切られるか分からない、そういう状況でお仕事をやらせていただいているので。もちろん公開作品に多く出させていただいているというのは、ありがたいことですし、ドラマもやらせていただけるのも本当にありがたいなって。でも、いつも不安です。明日(その場に)いるのか、いないのかの世界なので、本当にビクビクしながらやっています。
――神木さんと同世代の方が活躍されていますが、どう思われますか。
うれしいですね。最近で一番びっくりしたのが竹内(涼真)君が同い年だったんですよ。下だと思っていたら93年組の同い年で。同世代が増えることはもちろん後輩が増えるのはうれしいことですし。僕らの仕事って、皆さんに楽しんでもらえる作品に対して向き合っているので、同じ方向を向いているはずなんですよね。仲間が増えていくんだなと思ったらうれしいですし、もっとみんなと仲良くなって切磋琢磨(せっさたくま)しながらいろんなことをやっていきたいなと思っています。
――「神木きゅん」といわれて先輩から可愛がられるタイプですが、それについては?
うれしいです。姉がいるし、多分小さいころは自分が一番年下で、年上の人たちと接することが多かったからですかね。学園ものってあんまりやったことがないんですよ。高校の同級生たちが学園もので共演していて、そこに僕は入ってなくて(笑い)。誰かの息子役だったり、大人と話す機会が多かったから、ある種、年上の方のほうが話しやすいというか、安心して話ができる。逆に後輩とは何を話していいか分からない。何の話題で盛り上がってくれるんだろうって。はやったゲームとか、同世代じゃないから(分からない)。「今、何がはやっているの?」って考えてしゃべらなくちゃいけないのかなと思うと緊張するし、今でも年下には頑張って話題を探そうとしています(笑い)。
<プロフィル>
かみき・りゅうのすけ 1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。95年にCMデビュー、99年にドラマデビューを果たす。主な映画の出演作は「妖怪大戦争」(2005年)、「桐島、部活やめるってよ」(12年)、「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」(14年)、「バクマン。」(15年)、「3月のライオン」(17年)などがある。公開中の映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」に出演。劇場版アニメの声優として「サマーウォーズ」(09年)、「君の名は。」(16年)などに出演した。公開中の映画「メアリと魔女の花」にも出演。
*18日の「金曜ロードSHOW!」枠で「サマーウォーズ」を放送中、テレビを見ながらスマートフォンで遊べる特設サイトが開設される。ストーリーに合わせて、健二に届いた暗号を解いたり、夏希と一緒に花札「こいこい」ができるほか、クライマックスシーンの名ぜりふ「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!」がサイト上で“追体験”できる。
*「サマーウォーズ」をイメージしたコラボカフェスタンド「OZ STAND-オズ スタンド-」が東京スカイツリー(東京都墨田区)のツリービレッジに期間限定で開店している。同所限定のコラボメニューを提供。31日まで。