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イラストレーターで俳優のリリー・フランキーさんと、女優の清野菜名さんが共演する映画「パーフェクト・レボリューション」(松本准平監督)が29日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで公開される。車いす生活を送る男性クマ(リリー・フランキーさん)と、過去のつらい体験から心に障害を持つ風俗嬢ミツ(清野さん)が、周囲の偏見をものともせず、愛を貫こうとする姿を描いたラブストーリーだ。障害者の愛と性というテーマと真摯(しんし)に向き合いながら、取っつきにくい内容にはなっていない。むしろ、素直に面白いと思える作品に仕上がっている。
脳性まひを抱えながら、障害者の性への理解を訴え続ける活動家、熊篠慶彦さんの実話に基づいて製作された。幼少期に脳性まひを患い、車いす生活を送るクマは、ある講演会で、クマの話に共鳴したという若い女性ミツから猛烈なアプローチを受ける。最初は子供の戯言(ざれごと)といなしていたクマだったが、「クマピー、大好き!」と真っすぐな気持ちを向けてくるミツに、徐々にほだされていく……というストーリー。小池栄子さん、余貴美子さん、岡山天音さんらも出演している。
クマとミツの交際に否定的な周囲の反応を見ながら、本当の幸せって何なのだろうかと考えずにはいられなかった。
違和感を抱いたのは、テレビ番組の女性ディレククターの言動。テレビ映えさせるために2人を、「障害者らしく」「風俗嬢らしく」見せようとする。一体「らしさ」とは何なのだろう。私たちは、勝手な思い込みや自分の価値観を、気付かぬうちに他人に押し付けているのではないか……映画の端々に、障害を持つ人たちの本音と、障害を持たない人間のおごりがうかがえ、深く考えさせられた。
とはいえ、映画はからりとしていて、笑いすら漏れる。リリー・フランキーさんは、スケベ心丸出しのクマを自然体(?)で演じ、清野さんも傍若無人な振る舞いを屈託ない笑顔で帳消しにしてしまうミツを、実にチャーミングに演じている。
クラブで、車いすのクマとミツが、銀杏BOYZの曲に合わせて踊るシーンがある。2人の仲むつまじさをはやし立てる周囲の若者の拍手がやけに温かく聞こえ、心に響いた。(りんたいこ/フリーライター)