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女優の永作博美さんが主演している放送中のWOWOWのドラマ「連続ドラマW 沈黙法廷」。永作さんは今作で高齢者の不審死連続事件の容疑者に浮上する家事代行業の女性・美紀を演じている。せりふが少なく何を考えているか分からない美紀という女性を演じることは、「新しい挑戦だとしか言えない」と語る永作さんに、今作での撮影の苦労や現場の雰囲気、また、女優の仕事について聞いた。
◇不審死に関わる容疑者として浮上した女性が主人公
ドラマは、佐々木譲さんの「沈黙法廷」(新潮社)が原作。1人暮らしの高齢者の絞殺体が発見され、捜査線上に家事代行業を営む女性・山本美紀(永作さん)が浮上する。美紀の自宅マンション前には、事件を捜査する警視庁赤羽署の刑事たちのほかに、埼玉県警も訪れており、美紀の仕事先で複数の不審死が発生していた事実が明らかになる……というストーリー。WOWOWプライムで毎週日曜午後10時に放送。
◇美紀役は「新しい挑戦としか言えない」
永作さんは今作で演じた役どころについて「新しい挑戦であるとしか言えないですね。私が近づこうと思っても近づけないところがあって。あまりにも背負っているものが大きくて」と語る。本性が見えない女性だが、「共感するところはあります」という。
例えば「どうしようもなかったら人生をあきらめる……とか。私が(演技を)やりようがないように、ああ、この人も(人生を)やりようがなかったんだなと。自分が悪いのかもしれないと思ってしまう(負の)感情の連鎖などは、自分にも当てはまるし、世の中にも当てはまるんじゃないかなと思いますね。『貧乏は犯罪ですか』というせりふがあるんですが、すごく象徴しているような気がして。静かながら、ずんと(重く)響くところがいっぱいある作品だなとは思います」と語る。
◇同じ役は一つもない
これまで永作さんは犯罪者の役を演じたこともあるが、「毎回思いますけど、どんなに似たような役だと人が言おうと、同じものは何一つないなと。(いろんな役が来る)年齢に達しているというのはちょっとうれしいことでもあります。だから、役をもらうたびに、縁があって自分に来た役を新鮮な気持ちでどれも(台本を)読める」と今作でも新たな気持ちで役と向き合った。
「(芝居の)手がない役」と美紀について表現する永作さん。メークは「私の中で美紀という人は化粧っ気はあまりないというイメージだったんですけれど、逆にメークさんがそれなりにしてくださる感じがあって、ちゃんと化粧する人なんだなと。そこは私の中で新しい人になった気がしましたね」とメークによって印象が少し変わった。
服装は「刑事もので皆さんスーツだったので、ちょっと色を入れたいと、スタッフは試行錯誤してくださったんですけれど、やっぱり、地味な方向にしてもらいましたね」と地味な色合いになった。
◇市原隼人との純愛シーンにキュン
ドラマは重い雰囲気だが、撮影現場は「皆さん、和気あいあい仲良くやっていましたね」と明るい雰囲気だったという。ただ「私、主演なんですけど、皆さんとあんまりお会いする機会がなくて(笑い)。特に警察の(キャストの)方とかは皆さん相当ワイワイやっていらっしゃると聞いたんですけれど、その場にいることがなくて。だいたい、一日中、留置場とか、一日中、接見とか。(刑事役の)大倉(孝二)さんとか(杉本)哲太さんとかとしか会わないという感じで。かなり孤独な毎日を過ごしていました」と残念がる。
市原隼人さんが演じる高見沢弘志と美紀の恋愛関係について、「純愛になっていたのがちょっとキュンとしました。若い方の純愛ものは今、たくさんありますけど、こういった微妙な年齢での純愛ものは難しいし、でも実際には皆さん、求めていらっしゃるところだと思うので。そこはすごく(台本を)読んで秀逸だなと思いましたね。でも、最初の方の幸せな天国のようなシーンの撮影は早く終わってしまって……」と語る。
弘志役の市原さんとの共演シーンは「最初のころは照れながらやってました。市原さんは素直に好青年を演じてくださったので、気持ちよくこちらもやらせてももらいました。美紀にとってみれば、その場所(弘志との関係)が生きながらの天国だと思っているので、とにかく、普通の女性が楽しく生きているように見えたらいいなと思って演じました」と生き生きと演じられた。
カメラが回っていないところでは、市原さんと「いろいろ話しましたよ。お酒の話やご飯の話、おうちの話とか。彼はグルメですね。というか、おいしいものが大好きみたい。いろいろ紹介してくださいました。あと『やっぱり、いいオリーブオイルはおいしいよね』とか、こだわりをよく話していたので、すごくこだわっているんだなと思いながら」と楽しく過ごせたという。
◇女優の仕事「役に貢献したい」
さまざまな役柄を演じてきた永作さんにとって女優の仕事は、「縁があったんだろうなと思います。そして、私にとってやる必要があったんだろうなと。だからちゃんと演技する役に貢献しなきゃいけないなと思いますね。どうやったらこの役を助けられるのか、ということはいつも考えています」と運命的なものを感じている。
女優として他人の人生を演じることには「責任を感じます」という。「その人の人生、役柄一人一人の人生を充実したものにしたい。ちゃんと印象に残る人にしたい。いなくてもよかったという人にしたくない」と力を込めた。
次回は、永作さんの休みの日の過ごし方や女性としての生き方について聞く。
<プロフィル>
ながさく・ひろみ 1970年10月14日生まれ、茨城県出身。映画やテレビドラマ、舞台など幅広い作品に出演。主な映画出演作に、「ドッペルゲンガー」(2003年)、「空中庭園」(05年)、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(07年)、「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」(10年)などがある。11年の「八日目の蝉」では第35回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞ほか、映画各賞を受賞した。近年は、映画「四十九日のレシピ」(13年)、「さいはてにて-やさしい香りと待ちながら-」(15年)、「ソロモンの偽証」(15年)などに出演。WOWOWのドラマは「私という運命について」(14年)以来2度目の主演となる。