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俳優の菅田将暉さんと、監督としても活躍する韓国の俳優ヤン・イクチュンさんがプロボクサーに扮(ふん)した映画「あゝ、荒野/後篇」(岸善幸監督)が、21日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開される。前編で「片目」こと堀口(ユースケ・サンタマリアさん)の運営するボクシングジムに入り、トレーニングを重ねる中で、兄弟のような絆を築き上げた、菅田さん演じる「新宿新次」こと沢村新次と、ヤンさん演じる「バリカン建二」こと二木建二。前編の1年後を舞台にした後編では、2人が別々の道を進み始める。新次とつながりたいと切望するあまり取った行動に心が震えた。
原作は、劇作家、詩人、エッセーストなど、マルチな才能を発揮した寺山修司(1935年~83年)が遺した唯一の長編小説。ジムの立ち退き話が進む中、ついに新次は因縁の相手、山本裕二(山田裕貴さん)との対戦が決まる。厳しい減量に励む新次に付き合いながら、自分も新次のようになりたいと望む建二。そして、新次と裕二の対戦当日、建二の姿は観客席になかった……というストーリー。
新次の恋人、曽根芳子(木下あかりさん)や、ボクシングジムのスポンサー宮本太一(高橋和也さん)の愛人、君塚京子(木村多江さん)、建二の父親、二木建夫(モロ師岡さん)ら、前編では表面的に描かれていた人々が、後編ではより深く関わり合い、彼らの因縁も明らかになっていく。
建二を「兄貴」と慕い、いつまでも一緒にいたいと思っていた新次と、新次のように強くなりたいと願った建二。その思いが高じ、建二の取った行動は驚くほど突飛なものだ。しかしそれは、建二の純粋さと不器用さの表れでもある。
リングに上がり、「僕はここにいる。だから愛してほしい」とつぶやく建二に、胸をかきむしられた。これは建二と新次の究極のラブストーリーだと確信した。
新次に焦点を当てた前編に対して、後編では建二にスポットライトが当たっている。純粋で心優しく不器用な建二になり切ったヤンさん。その演技に心をつかまれた。(りんたいこ/フリーライター)