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俳優の舘ひろしさんが主演の「連続ドラマW 60 誤判対策室」(全5話)が6日からWOWOWプライムで毎週日曜午後10時に放送される。今作で、検察庁から左遷された女性検察官役を演じた星野さんに主演の舘さんらとの撮影秘話などを聞いた。
ドラマは、石川智健さんの小説(講談社)が原作。過去に担当した事件で無実の人間を冤罪(えんざい)に陥れ、罪滅ぼしの気持ちを抱いている定年間際の刑事・有馬英治(舘さん)は、飲み屋で2人組の客が殺人したことをほのめかしているのを耳にする。冤罪を疑った有馬は、死刑が確定している古内博文(康すおんさん)の存在を突き止めて調査をするが、古内の死刑執行のタイムリミットが迫っていた……というストーリー。星野さんは、検察庁から左遷された女性検察官・春名美鈴役を演じている。
◇演じたのは「素直さから離れたキャラクター」
――出演依頼が来たときの印象は。
WOWOWのドラマに出たいと思っていましたから、まずうれしかったですね。映画「夏の終り」(2013年)や「私の男」(14年)で熊切和嘉監督の作品も見ていて、俳優を魅力的に撮る監督だなと思っていました。舘さんも初めての共演なので「わーお!」という感じでしたね。
――舘さんの印象は?
気さくな方でしたが、想像以上でしたね。人を魅了するスターだと思いました。今回(舘さん)は、スターのような役ではないのですが、カッコ良かったのは間違いありません。定年間近の刑事を演じますが、かつてはバリバリだったバックグラウンドがあるわけで、その姿を舘さんだからこそ感じられます。この人がどうやって生き生きと戻っていくんだろう? その先を見続けたい……という魅力がありました。
――弁護士役を演じた古川雄輝さんの印象は。
共演は(NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に続いて)2回目ですが、前は1、2日で終わったので、寡黙(かもく)な方という印象でした。今回はチームを組んだわけですが、声がすてきという印象があって、「モデルのような人がしゃべってる」という感じでした。私が演じる春名もそう思ったはずで、その感情は役作りに使わせていただきました。
――自身の役を演じる上で気をつけたことを教えてください。
勉強を頑張ってきた女性で、素直さから離れたキャラクターですね。頭がいいから何事も冷静に判断して、上から見ているように見えてしまう。対策室は3人が所属していますが、舘さんや古川さんになめられないようと構えていて、そういう心の状態を作っておくことでしょうか。最初は、脚本だけでは分かりづらく、引っかかりが見つからなかったのですが、1日リハがあって、時間がもらえたので修正できました。
◇舘が「俺は芝居に興味がないんだよ」
――撮影時のエピソードは?
(舘さんの所属する)石原プロは差し入れが豪華なことで有名ですが、「大名巻き」があって、舘さんから「おいしいでしょう? 僕が見つけてきたんだ。最近デパ地下を覚えたんだよ」とおっしゃっていました。名古屋に通う仕事があって、(東京駅の)大丸の地下で見つけたそうで、思い出の味と似てるらしいんです。プライベートが見えない方なので、「(デパ地下に)行くんだ!」と思いました。
――現場の雰囲気は?
監督がニコニコして、楽しそうにされていました。「いい感じですね」と褒めて伸ばしていましたし、すべての出演者にそういう方針で接していました。役者も肯定してもらえると心にスペース(余裕)ができますから、新しいアイデアも生まれますし、監督のマジックにかかった現場でしたよ。
――現場で舘さんは?
舘さんは「俺は芝居に興味がないんだよ。カメラワーク、画(え)が面白いね。この画角はいいね」とおっしゃっていました。あれだけ長い間活躍してきたのにもかかわらずです。そう尋ねると「俳優に向いてないからできたんだよ。皆さんの方がお上手ですから」と答えられました。だから(気難しいスターを気遣うようなピリピリした)緊張感がなく、それも大きかったと思います。もちろん周りは気を使い、舘さんが早く来ると(私たちも)呼ばれたりするのですが、舘さんはどうも現場を感じていたいようで、早く入るようなんです。だからピリつく感じではないんですよ。
◇「お芝居が面白い」と思ったのは最近
――星野さんにとって女優とはどういう存在ですか。
単純なことですけれど、仕事であると同時に好きなこと。子供のころからやってきて、唯一続けることができたものです。女優のきっかけは、弟が興味があって、テレビに出る機会があったので、私も「やってみたい」と言ったんです。当時の私は暗い女の子だったので、(親も)「その性格が直るなら……」と応援してくれました。小学1年生のころで、劇団に週に1回レッスンに行っていたので、習い事の一つという感覚でした。
――かつては、あがり症だったそうですが、それなのに女優を目指したんですね。
本当ですよ。今でこそ取材を受けられるようになりましたが、10代のころは、取材をした人が困っていたと思います。(当時は)自分の言葉で話すのが苦手だったのだと思います。女優は、台本で練習をしてそれを発揮するので、女優の仕事に抵抗はなかったですね。「お芝居が面白い」と思えたのは最近なんです。20代のころは「好きだけでこのままやっていけるのか」と思っていた時期がありました。やっとそこから抜けられました。
<プロフィル>
ほしの・まり 1981年7月27日生まれ、埼玉県出身。子役として活躍後、94年にNHK連続テレビ小説「春よ、来い」に出演。