映画「友罪」の一場面 (C)薬丸 岳/集英社 (C)2018映画「友罪」製作委員会
生田斗真さん、瑛太さんダブル主演の「友罪」が、25日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。薬丸岳さんの同名ベストセラー小説を、「64-ロクヨン」などで知られる瀬々敬久監督が映画化したヒューマンサスペンス。少年事件を起こしたと思われる人物とその友人、周囲の人々との交流を緊張感あふれるタッチで映し出している。罪を背負って生きる男を瑛太さんが渾身(こんしん)の演技で人間の業を見せ付けている。
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週刊誌のジャーナリストとして挫折した益田(生田斗真さん)は、とある町工場で働くことにした。同じ日、鈴木(瑛太さん)という男も働き始め、2人は同じ寮に入ることに。少しずつ友情が芽ばえ始めた2人だったが、元恋人で週刊誌記者の清美(山本美月さん)の情報に触れた益田は、鈴木を元少年Aではないかと疑い出す……というストーリー。佐藤浩市さん、夏帆さん、富田靖子さん、青木崇高さん、西田尚美さんらも出演している。音楽は、名匠ジャ・ジャンクー監督「四川のうた」(2009年)から、「聖の青春」(16年)までを手掛ける、パリを拠点に幅広く活躍する半野喜弘さん。
1997年の「神戸連続児童殺傷事件」から着想を得て、少年事件のその後を描いた原作は、吉川英治文学新人賞の候補となった。「ヘヴンズ ストーリー」(10年)「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(17年)などの瀬々監督が、実際の事件を意識しながらも切り離しつつ、加害者と被害者のその後の世界を重層的に描き出している。人間の心のあやうさや不条理が全編を貫き、見ていて心がザワザワする衝撃作となった。
犯罪の被害者と加害者の心情を突き詰めた重い題材を、生田さんと瑛太さんという若手実力派俳優2人の芝居のぶつかり合いで見せている。中学時代、いじめから友達を救えなかった益田。過去に過ちを犯したであろう鈴木。罪を背負った2人が、向き合うことで自分の内面を見つめ、苦悩していく。周辺の人々との緊張感もはらませ、ハラハラさせる。同じ監督の「64-ロクヨン」で新聞記者を熱演していた瑛太さんが、過去を背負う男の心情を目線や言葉でこまやかに演じ、圧倒的な芝居にうならされる。(キョーコ/フリーライター)
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