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映画「50回目のファーストキス」でヒロイン瑠衣を演じた長澤まさみさん
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映画「50回目のファーストキス」でヒロイン瑠衣を演じた長澤まさみさん

彼女がキレイな理由:長澤まさみさん 先輩女優からの一言で「女優の仕事に一生懸命なんだと思えた」

 女優の長澤まさみさんが、米ハリウッド映画のリメークとなるラブストーリー「50回目のファーストキス」(福田雄一監督、6月1日公開)で俳優の山田孝之さんとダブル主演している。今作で長澤さんは、一晩で記憶がリセットされてしまう短期記憶障害を抱えた米ハワイ在住の女性、瑠衣を演じている。全編ハワイロケの美しい景色の中で、瑠衣は山田さん演じる大輔と毎日、さまざまな形で出会い、お互い引かれ合うが……という展開。長澤さんに、山田さんと「毎日のようにキスシーンを撮影した」という撮影秘話や女優の仕事について聞いた。

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 今作は、2004年のハリウッド映画「50回目のファースト・キス」(ピーター・シーガル監督)が原案。プレーボーイの大輔(山田さん)はハワイ・オアフ島のカフェで地元の女性・瑠衣(長澤さん)と意気投合するが、瑠衣は交通事故の後遺症で、一晩で記憶がリセットされてしまう短期記憶障害を抱えていた。大輔は、毎日“初対面”の彼女にいちずに愛を告白し続ける。やがて瑠衣は、自身の障害と大輔の将来の夢のためにある行動に出る……というストーリー。

 ◇福田監督の演出を「2倍楽しめた」

 長澤さんは今作への出演が決まって基になった映画を観賞した。ヒロインについて「事故が原因で障害を負って、記憶をなくしてしまう、ちょっとかわいそうな人ではあるんですけれど、その事実にすごく明るく向き合っている」と表現する。作品全体も「家族の描かれ方なども明るくて、とってもすてきで、明るさに感動しました。その明るさに助けられて、シリアスになりすぎず、とても軽やかに見られる作品になっているなと思いました」と感想を語る。

 実写映画「銀魂」などコメディーで知られる福田監督がラブストーリーを撮るのは意外性があるが、長澤さんは「私は『俺はまだ本気出してないだけ』(2013年)を見ていて、(福田監督が)シリアスな作品も撮られていることを知っていたので、そんなに驚きはなかったです」という。

 さらに「コメディーってお芝居の中で一番難しい。コメディーは基礎がないとできないジャンルだと思います。でも、もともと舞台で土台作りからやってこられている方なので、きっと福田監督にとっては、ラブストーリーもそんなに難しいことではないのでは、という印象でした。福田監督の幅広さがこの作品にはとても必要だったと思うし、今作は福田監督にしか撮れない作品だったんじゃないかなと思います」と福田監督の懐の深さをたたえる。

 福田監督の作品には17年の映画「銀魂」から参加している。「今回、この作品で福田さんとご一緒できてよかったなという思いです。『銀魂』では2,3日しかお仕事できなかったんですけど、今回はがっつり出られて、2倍楽しめた感じというか。コメディー寄りの部分もあったり、でもシリアスな部分ももちろんあって、両方合わさった作品なので、私も、福田さんの演出を2倍楽しめた感じがして、すごくうれしかったですね」と喜んだ。

 ◇山田孝之との11年ぶり本格共演に…

 相手役の山田さんとは、映画「そのときは彼によろしく」(07年、平川雄一朗監督)以来11年ぶりの本格共演となる。長澤さんは「とはいえ、(17年に放送されたドキュメンタリー)『(山田孝之の)カンヌ映画祭』のナレーションをやったり、少し番組に出させていただいたりしたので、お会いはしているんです。こんなにがっつりと仕事するのは久しぶりなので、撮影前はとても楽しみにしていましたし、一緒にお芝居できてよかったな、と思います」とうれしそうに語る。

 山田さんの印象は「11年前と変わっていないですね。お芝居への取り組み方が全然変わらないので、真面目な方だなと思うし、作品のことを常に思ってお芝居されている方だから、自分の評価というよりは作品のことを常に思っている人なんだなと、変わらず感じました」という。

 ◇瑠衣の毎日がうそに見えないように…

 ハワイの美しい景色の中で、瑠衣と大輔は毎日のように新鮮なキスをする。福田監督は今作で、長澤さんの「笑顔の可愛らしさをたくさん見せたかった」という。長澤さん本人は、「そこはあまり意識してなくて。大輔との関係性がうそに見えないように、また瑠衣が毎日記憶を失うということがうそに見えないように私自身は重点を置いていましたので。笑顔については、福田監督がいいところを切り取ってくださったという恵まれた環境だったんじゃないかなと思いますね」と語る。

 またハワイというロケ地も影響してか、長澤さんの衣装はショートパンツなどが多く、さまざまなシーンで美脚を披露している。福田監督は衣装について「長澤さんが自分から脚を出したいと言ってきた」と話していたが、長澤さんは「監督はよく話を作るんです(笑い)。現場に行ったら、ショートパンツが用意されていました。多分、監督はキャッチーな言葉がお好きなので、そういうことを言われたのではないかと。サービス精神旺盛な監督なので(笑い)」と笑っていた。

 ◇女優の仕事「自己満足的な感覚にはなりたくない」

 女優として幅広い役柄を演じている長澤さん。女優という仕事について、「12歳でこの世界に入ってやってきたので、いまだにここにいることがすごく不思議、違和感を覚えることもときどきあるんです。いくつになっても、何年やり続けていても自信はないですし」と自己評価する。

 「最近、先輩の女優さんに『自信がないといえるのは向上心があるからだ』という言葉をいただいてから、自分がこの仕事に対して一生懸命になれているんだと思えました。17年やってきて、自信がないのは多分、今後も変わらないんですよ。それは性分だと思っているので。でも、それが向上心という感情なんだろうと。この気持ちが続けば仕事が楽しくできるのかなと思っています」とあくまで前を向く。

 長澤さんは自身のことを「自分のために頑張れないタイプ。仕事だから、やらなきゃいけないことだから頑張れるというタイプです」といい、「エゴになりたくない。お芝居をしていく上で、見ていただいた方の評価に対して、自分だけを見てもらいたいとか、自己満足的な感覚になると、どうしてもいいものが作れない、仕事も続けられない、という気がしています」と改めて仕事に対する姿勢を正した。

 次回は、多忙な日々を送る長澤さんの休日の過ごし方や生き方について聞く。

 <プロフィル>

 ながさわ・まさみ 1987年6月3日生まれ、静岡県出身。2000年、第5回「東宝シンデレラ」でグランプリ受賞。03年、映画「ロボコン」で初主演、同作で第27回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。04年、「世界の中心で、愛をさけぶ」で第28回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・話題賞など数々の賞を受賞。映画「涙そうそう」で第30回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した。15年に映画「海街diary」(是枝裕和監督)に出演。16年はNHK大河ドラマ「真田丸」、映画「アイアムアヒーロー」(佐藤信介監督)、劇場版アニメ「君の名は。」などに出演。17年は「追憶」(降旗康男監督)、18年は「嘘を愛する女」に出演。公開待機作に「銀魂2(仮)」(福田雄一監督、8月17日公開)「マスカレード・ホテル」(鈴木雅之監督、19年公開)がある。

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