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映画化された「悪人」「怒り」などで知られる吉田修一さんの小説「犯罪小説集」(KADOKAWA)が、俳優の綾野剛さん主演で映画化されることが21日、分かった。映画のタイトルは「楽園」で、女優の杉咲花さんと、俳優の佐藤浩市さんの出演も発表された。綾野さんと佐藤さんが出演した映画「64-ロクヨン-」などで知られる瀬々敬久監督が、メガホンをとる。2019年公開。
映画は犯罪をめぐる“喪失”と“再生”を描くヒューマンサスペンス。ある夏の日、Y字路で幼女・愛華の誘拐事件が発生。犯人は見つからず、事件直前まで愛華と一緒にいた紡は、心に深い傷を負うことになった。事件から12年後、高校を卒業した紡(杉咲さん)は、街のホームセンターで働いていた。祭りの前日、紡はリサイクル品を販売している孤独な男性・豪士(綾野さん)と出会う。そして祭り当日、12年前と同じY字路で再び少女の行方不明事件が発生し、犯人と疑われた豪士は、驚きの行動に出るのだった……。それから1年後、東京で働いていた紡は祭りの前日に帰省し、養蜂を営む善次郎(佐藤さん)と出会う。ある日、善次郎が計画した村おこしの話がこじれ、村人たちの怒りを買ってしまう。村八分になってしまった善次郎は狂気に陥り、恐るべき事件へと発展する……というストーリー。
綾野さんは「ただただ、そこに存在すること。映るのではなく、居る。それだけです。杉咲さん、浩市さん、お二人との大切な時間を、いとおしく抱きしめながら過ごしたいと思います」と意気込みを語り、本作で綾野さんと初共演する杉咲さんは、「綾野さんとは、これまで何度か映画の授賞式などでお会いする機会があり、その度に『いつか一緒にやろうね』と声を掛けてくださっていたので、今回ついにご一緒させていただけることをとてもうれしく思います」と喜んでいる。
佐藤さんは「作者の吉田さんも監督の瀬々さんも、そして僕自身も、最後に背中を押されるその瞬間の人間のもろさ、怖さに目を向けていきたい。『楽園』はそれを体現する作品です」と語っている。
瀬々監督は「綾野剛さんの持つ繊細さと危うさ、杉咲花さんの凛(りん)とした純粋さ、映画に生々しい力を与えてくれると思う。そして今回は佐藤浩市さんに静謐(せいひつ)な狂気を。そんな震える魂を共に描き、今までにない犯罪と人生の映画になることを目指し、現場に臨もうと思っています」と期待している。