検索
2019年のNHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で主演を務める中村勘九郎さん(上)と阿部サダヲさん(下中央) (C)NHK
1 / 1

2019年のNHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で主演を務める中村勘九郎さん(上)と阿部サダヲさん(下中央) (C)NHK

中村勘九郎&阿部サダヲ:大河ドラマを「変えたい」 33年ぶり近現代描く 異色作「いだてん」への思い

 宮藤官九郎さんが脚本を手がける2019年のNHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」が6日にスタートする。日本人が初めて五輪に出場した明治の終わりから、東京に五輪がやってきた1964年まで、およそ半世紀を描くオリジナルストーリーで、主演を務めるのが歌舞伎俳優の中村勘九郎さんと俳優の阿部サダヲさんだ。大河ドラマで近現代史を取り上げるのは、1986年の「いのち」以来33年ぶりとなる。「ものすごくいい意味で大河ドラマって感じじゃない。何もかも違うと思います」と話す勘九郎さんと「(大河ドラマのイメージを)“変えたい”っていうのはありますし、“笑い”を日曜夜8時に持ってきたい」と意気込む阿部さんにドラマへの思いを聞いた。

いま、推されてます

 ◇宮藤官九郎脚本への信頼 インタビュー中、何度となく「面白い」を繰り返した2人

 「いだてん」のテーマは「“東京”と“オリンピック”」。勘九郎さんは日本で初めて五輪に参加したマラソン選手の金栗四三(かなくり・しそう)、阿部さんは「東京オリンピック」実現に執念を燃やす政治記者・田畑政治(たばた・まさじ)を演じ、“リレー”形式で主演のバトンをつなぐ。時に物語は時代を行ったり来たり。“落語の神様”と呼ばれる昭和の大名人・古今亭志ん生(ビートたけしさん)のパートがあったりと、これまでにない異色作となっているが……。

 インタビュー中、何度となく「面白い」を繰り返し、宮藤官九郎脚本への信頼を示していた勘九郎さんと阿部さん。それでいて「歴史もそうですし、スポーツのことや、当時の情報も入ってくるから、まぎれもなく大河ではあるんですけど。加えて、めっちゃ面白い」と力を込める。

 それぞれが演じる金栗四三と田畑政治は、誰もが知っている、歴史の教科書に出てくるような偉人ではない。その点については勘九郎さんも「本当に主役なのかなっていうような主役(笑い)」と認めているものの、そのことが作品の魅力を損なうようなことにはならず、阿部さんも「全体的に成し遂げてないような人を描くというのが面白い」と逆説的に自信をのぞかせている。

 ◇中村勘九郎は「食事も変えて」役作り 五輪で棄権が「本当に悔しくて」

 勘九郎さん演じる金栗四三は、目標に向かって真っすぐに突き進む太陽のような男。故郷・熊本の往復12キロの通学路を走り抜ける姿から、いつしか“いだてん”と呼ばれるようになる。ストックホルム五輪のマラソン予選会で当時の世界記録を27分も更新し、日本最初の五輪選手としてストックホルムに旅立つ。

 勘九郎さんは「金栗さんは偉人ではないですけど、マラソンのことしか考えてない。それが一貫して(脚)本には書いてあるので、僕はマラソンのことだけを考えて、あとは周りが支えてくれるので、やっていてとっても楽しいです」と充実した表情を見せる。

 役を通じて「何事にもいちずに情熱を注いで突き進んでいけば、どんなことでもを成し遂げることができると思えた」とも話す勘九郎さんは、「金栗さん自身、オリンピックでメダルを取ったわけではないんですけど、未来につながる何かを残すことができた思う。何かを情熱を注いでやっていれば、何かを得ることができるんだって、見て感じてもらえたら」と思いを寄せる。

 今回、マラソン選手の体形にするためにトレーニング以外にも「食事も変えた」と明かす勘九郎さん。想像以上に役と自分がオーバーラップする瞬間があったいい、「金栗さんのころは環境も今とは全然違うし、やっていて本当に大変だったんだろうなってことを身をもって感じることができた。史実として、ストックホルムでは棄権するって分かっていたんですけど、本当に悔しくて。あまりスポーツはやってこなかったし、役者に勝ち負けってないので、負ける悔しさが分からなかったんですけど、あのときは勝ちたかったって本気で思いました」と振り返った。

 ◇阿部サダヲ演じる田畑政治は「常識的じゃない」 それでも尊敬の念は増すばかり…

 一方、阿部さんが演じる田畑政治は、1964年の東京オリンピックの招致に成功する。もともとは水泳をこよなく愛し、世界と戦える選手の育成に燃えた指導者。大学卒業後、新聞記者として政治家たちと渡り合いながらスポーツの地位向上を目指していく。情熱家でロマンチストだが早とちりで落ち着きがないため、しばしばトラブルを巻き起こす……という人物だ。

 阿部さんは「田畑さんは頭の回転が速くて、プロデュース能力もすごい。記者なので言葉でガンガン攻めていく人」といい、「でも常識的じゃない。直談判が多いんです、そこに行くのかって(苦笑い)。周りは止めるのが大変だったんじゃないのかなっていう感じはしています。珍しいキャラクターですよね、どこでもかみついていくので。お茶の間の方に親しんでいただけると良いのですけれど」とちょっぴり心配そうだ。

 それでも田畑政治の功績には尊敬の念は増すばかり。「戦争もあって一度、招致を断念するんですけど、そこであきらめないで、やっていく。そういった意味でも強い人だと思いますし、みんなに希望を持たせたいっていう気持ちが大きくて、こういう方たちがいたから世界は平和でいられる、こういう人の功績があったから、今は選択肢が増えたっていうことが、ドラマを見れば絶対に伝わると思うんです」と熱い気持ちも。

 さらに阿部さんは「静かに『ハイハイ』って従順にやっていたら、(50年後に)田畑政治が大河ドラマの主人公になっていなかったはず」と持論を展開すると、「うそでしょうっていうくらいの行動力がないと周りの人は動かないと思うし、それくらいのことをしないと、世の中変わらないんだと思います」と思いを重ねていた。

 大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」は全47回。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

いま、推されてます

写真を見る全 1枚

エンタメ 最新記事

アクセス上位記事