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「連続ドラマW 坂の途中の家」に主演した柴咲コウさん
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「連続ドラマW 坂の途中の家」に主演した柴咲コウさん

彼女がキレイな理由:柴咲コウさん SNS時代の発信「もっと想像力を高めないと」

 女優の柴咲コウさんが主演するドラマ「連続ドラマW 坂の途中の家」が、27日からWOWOWでスタートする。今作は直木賞作家の角田光代さんの小説を映像化。柴咲さんが演じるのは、乳児虐待死事件の補充裁判員に選ばれた専業主婦、山咲里沙子。柴咲さんは今作で主題歌の作詞も手がけた。どのようなイメージで詞を書いていったのか。また、台本を読んだときどんなことを思ったのか。柴咲さんに聞いた。

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 ◇登場人物に共感

 ドラマは、我が子を殺(あや)めた母親が、なぜ、そのような凶行に走ったかを裁判を通じて探っていく。それに従い視聴者もまた、被告人が置かれた状況が決して他人事とは思えなくなってくるはずだ。

 柴咲さんも「私も、実際にあってもおかしくないことだと思いましたし、私自身は子育てをしたことはないですけど、例えば人生の中ですごくつらい目に遭うと、そのあたりの記憶が曖昧になるという経験はあります。それが今回のような事件となってしまって、記憶がないことはおかしいという周りの判断だったり、常識だったり、そういうものがすごくリアルに描かれていて、本当に自分がこの主人公だったらとか、被告人だったらとか、いろいろ思いをはせて夢中になってしまいました」と台本を読んだ感想を語る。

 ◇テーマは「水」

 今回、柴咲さんは、主題歌の作詞も担当した。もともと曲が先行で、そこに詞を乗せていくというスタイルが多く、昨年12月末にすでに撮影が終わり、また、メインビジュアルも出来上がっていたため、「今回はすごくスムーズに(詞が)出てきました」と話す。

 自身の中では「水」がテーマにあり、「雫の音が頭の中でぐるぐるしていた」という。曲のタイトルは「silence(サイレンス)」。メインビジュアルの、赤ん坊を抱きしめる里沙子の表情を示しながら、「この表情も、人によって読み取り方が違うと思うのですけど、私は自分の経験上、失望していたり、絶望していたり、虚無感にかられると、普通の顔になったりするな、と思うんです。そういうときって、凪の状態というか、静かに見える。でも、中身にはすごく深い闇があって、その部分を少しずつ掘り下げていくというか、対峙(たいじ)していくというか。逆に、底辺にいるところから少しずつ回帰していくというか。そういうイメージで作りました」と述懐する。

 ◇女優業と音楽

 柴咲さんは、「演じることはチームでやることで、自分がその作品の中での一つの役割を与えられて演じるという感覚なんですけど、歌となると“自分のもの”で、自分の世界で作ることができるという感じなんです」と両者の違いを指摘する。

 特に今回のように主役を演じ、その主題歌も担当する場合は、「一つの物語を二つの見方で切り取る感じ」だといい、音楽の方は「完全な自分視点でつむぐことができる」点で「再プロデュースみたいな感じ」とし、その点では「自分が関わっていたり、物語を知っていたりするものの方が書きやすいですね」と説明する。

 ちなみに、作詞をする際は、手書き、パソコンに打ち込む、両方ともあり、一度パソコンに打ち込んだものを手で書いてみたりすることもあるという。「そのときにどういう字を書くかというのも興味深くて。丸文字っぽくなったり、すごくシャープになったり変化するので不思議だなと思います。その文字を見て、また作られるものがあるんです」と、自身の創作スタイルを明かす。

  ◇豊かだけれども闇もある

 今回のドラマで伝えたいこととして、「人間って、世間の常識や“普通”ということにそんなに縛られなくてもいいんじゃないかな」ということをまず挙げ、続けて、昨今の日本は、「すごく豊かではあるけれど、そうではない闇の部分もある」ことに言及。そして、「そういった中で自分の考えを押し付けたり、正義というものも口にし過ぎると悪になってしまうのかなと感じたりしていることが、自分自身、最近あります」と話す。

 しかも最近はSNSが普及し、それによる弊害も起きている。それについて柴咲さんは、「特に相手を攻撃したりとか非難をしたりするときは、それでもそれを言うべきなのかと考えてから発言しないといけないと思いますし、自分が言われたらどうか、自分に返ってきたらどうなのかと、もっと想像力を高めていかないといけないなと思います」と警鐘を鳴らす。その上で、「そういう思いは、この時代だからということもありますが、この作品に関わってより一層強くなりました」と、今作に出演しての収穫を語った。

 ドラマは、夫と3歳の娘と平穏な日々を送っていた主婦の山咲里沙子(柴咲さん)は、生後8カ月の娘を虐待死させた女性、安藤水穂(水野美紀さん)の裁判の「補充裁判員」に選ばれる。子を持つ同じ母として、被告人の水穂に嫌悪感を抱く里沙子だったが、公判を重ねるにつれ、徐々に水穂に自分を重ねていくことになる……というストーリー。里沙子の夫を田辺誠一さんが演じるほか、伊藤歩さん、高畑淳子さん、風吹ジュンさんらが出演する。27日からWOWOWプライムで毎週土曜午後10時に放送。全6話で第1話は無料放送。

 次回は、休日の過ごし方や今後の展望、輝き続けるための秘訣(ひけつ)を聞く。

 <プロフィル>

 しばざき・こう 1981年8月5日生まれ、東京都出身。1998年に芸能界デビューして以降、数々の映画やドラマで活躍。2017年にはNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で主人公の井伊直虎を演じる。主な近年の映画作品には「信長協奏曲」(16年)、「ねことじいちゃん」(18年)。待機作として「燃えよ剣」(20年)がある。歌手としても活躍する一方で、16年にはアパレル、食品、エンターテインメントの3事業を展開する「レトロワグラース」社を設立。18年にはファッションブランド「ミヴァコンス(MES VACANCES)」(https://mesvacances.jp/)を立ち上げるなど企業家としても活動している。18年、環境省の環境特別広報大使に任命された。

 (取材・文・撮影/りんたいこ)

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