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NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「まんぷく」で、ヒロインのめいで“タカちゃん”こと神部(旧姓・香田)タカを演じた女優の岸井ゆきのさん。その岸井さんが主演する映画「愛がなんだ」(今泉力哉監督)が全国で公開中だ。映画は、成田凌さん演じる田中マモルに恋をした会社員、山田テルコの“痛い”日常生活を描いていくが、テルコを演じる岸井さんは、普段どんな生活を送っているのか。本人に聞いた。
◇オフの日の過ごし方
映画のテルコに休日の過ごし方をたずねたら、おそらく満面の笑みで、「マモちゃん(マモル)といられればそれで幸せ!」と答えるだろう。対して岸井さんは「演劇を見に行きたくて、映画も映画館で見たい」タイプ。余暇はそのための時間に充てたり、友人と会ってお茶を飲んだりして過ごすという。
長い休みがとれたら、「外国に行きたい」そうで、「ロンドンに行きたいし、トルコにも行きたい。アメリカやイタリアにも行ったことがないので行ってみたいです。いくらでも(笑い)」と、思いは尽きない様子。1月中旬に行われたこのインタビューの少し前にはベトナムに初めて一人旅をしてきたそうで、「一人旅がまたしたいです」と言いつつ、「でも、この間、充電したばかりなので、しっかりお仕事したいと思っています」と笑顔を見せる。
◇長過ぎる散歩
劇中では、人工の壁を登るボルダリングにも挑戦。テルコの唯一の女友達・坂本葉子役の深川麻衣さんはするすると登っていくが、テルコはすぐに脱落。ちなみに深川さんとは、「まんぷく」では姉妹役を演じている。岸井さんは深川さんの登りっぷりを、「すごかったです」とたたえつつ、自身は学生時代、器械体操をやっていたが、「ボルダリングはほんとにダメでした。よく分からなかった。この次はここに足を乗せてという印があるのですけど、全然順番通りにいかなくて」と苦笑交じりに明かす。
普段スポーツはしていないが、「すごく歩きます」とのこと。このインタビューが行われたのは、「まんぷく」の撮影のために、ほとんど大阪で暮らしているとき。スタジオから宿泊先までの約1時間の距離を歩くようになったという。というのも、スタジオにいると動かないまま1日が終わってしまいがちで、「そうすると血の巡りも悪いですし、気持ちも滞っちゃいますし、リフレッシュするために歩いて帰ったりしていたのですけど、物足りなくなってきて」と、その経緯を語る。
また、「すごく寒いときにぬくぬく温かい格好するのが好き」で、その格好で、レイトショーの映画を見に行くこともあるそうだ。そのときも開映に間に合うように1時間前に家を出て、歩いて行くのだという。「ですから運動をしているというつもりはないのですけど、散歩にしては時間は長いなと(笑い)。でも、それで気持ちもだいぶ整理されますし、走るよりは、私の性に合っていると思っています」と、岸井さんならではのリフレッシュ法を明かす。
◇器用になりたくない
2009年にドラマ「小公女セイラ」で女優デビューした。以来、16年にはNHK大河ドラマ「真田丸」での主人公・真田信繁の側室のたかや、ドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」での主人公にぞっこんの“自称シンガー・ソングライター”、さらに17年の映画「おじいちゃん、死んじゃったって。」でのちょっとひねくれた主人公など、さまざまな役を演じてきた。その中において、「こういう人になりたいとか、こういう女優さんになりたいというのはないんです」と語る岸井さん。
ただ、「器用になりたくないなとは思っています」と明かす。「技術的なことやいろんなことを知って、こういうふうにしたらこう見えるとか、そういうことでお芝居をしたくないと思っています。あくまでも感情と脚本と監督と、一緒に戦いながら作っていきたいです。こなしていくようなことが今後あったら、自分で自分が許せないと思うんです。あくまでも自分と向き合って、感情でお芝居していたいなと。いくつになっても、そういうふうに作品を作っていきたいと思っています」。それが岸井さんの、作品との向き合い方だ。
岸井さんが主演する映画「愛がなんだ」は、直木賞受賞作家の角田光代さんが、03年に発表した同名の恋愛小説(角川文庫)が原作。成田凌さん演じる田中マモルに恋をした会社員の山田テルコの“痛い”日常生活が描かれている。マモルが恋する年上の女性、“すみれさん”を江口のりこさんが演じるほか、テルコの女友達・坂本葉子に深川麻衣さん、葉子にいちずな思いを寄せるナカハラに若葉竜也さんが扮(ふん)している。19日から全国で公開。
<プロフィル>
1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。2009年にドラマ「小公女セイラ」で女優デビュー。16年にはNHK大河ドラマ「真田丸」で主人公・真田信繁の側室・たかを演じた。17年の映画初主演作「おじいちゃん、死んじゃったって。」で第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。他の映画出演作に「ピンクとグレー」「森山中教習所」「だれかの木琴」「闇金ウシジマくん Part3」「太陽を掴め」(すべて16年)、「ここは退屈迎えに来て」(18年)などがある。
(取材・文・撮影:りんたいこ)