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乳がんの「ステージllB」と診断され、昨年4月に左乳房全摘出とリンパ節切除の手術を受けたアイドルグループ「SKE48」の元メンバー、矢方美紀さんの映像日記を基にした番組「26歳の乳がんダイアリー 矢方美紀」がNHK総合で7月1日午後10時50分から全国放送される。治療を続けながら、声優という夢に向かって進み、乳がんについての発信をし「私の経験を自分や周りの人に置き換えてほしい」と語る矢方さんに話を聞いた。
◇「人ごとに思わないことが大切」 小林麻央さんがきっかけでセルフチェック
矢方さんは、セルフチェックが乳がんの発見につながった。きっかけになったのは、乳がんで2017年6月22日に亡くなったフリーアナウンサーの小林麻央さんだ。面識はないものの、小林さんのブログなどを見て「自分もセルフチェックをしてみよう」と思ったことが今につながっている。
乳がんを公表した後、男性から「女性だから気をつけなきゃいけない」とよく言われたという。「乳がんは男性もなる病気。割合は女性の方が多いけど、女性しかならないと思っている方も多いと思う。(乳がんについて)恥ずかしがらずに積極的に知ってほしい。胸のことだから冷やかすような人もいるけど、それは本当にダメ」とまずは知ることが肝心だ。
さらに「人ごとに思わないことはすごく大切」と呼びかけ、乳がんの触診を体験できる模型に触れてみることを勧め、自分の胸に異変を感じたら「恥ずかしいと思わずに病院に行ってほしい」とアドバイスする。
◇映像日記が「イヤだなと思ったときも」 見つけた意義は…
NHK名古屋放送局のホームページに公開している映像日記は、矢方さんが手術を受け、乳がんを公表した後の2018年5月からスタート。抗がん剤や放射線などの治療、脱毛や爪の変色といった副作用、仕事、食事などが、矢方さんによる“自撮り”でつづられている。映像日記を基にした番組は、これまでにNHK BS1や、東海3県、中部7県などで放送されたほか、番組を基にした書籍も発売された。
映像日記について「日々、仕事が終わって、家に帰って一日の総括のような感じで撮っています。イヤだなというときもありました」と振り返る矢方さん。「でも“自撮り日記”があったから、自分の状況を知ってくれる人がいて、より自分のやりたいことや、自分の考えを伝えることができた」と病気のことをオープンにすることで、得られるものもあった。
また、そのときどきの治療や副作用の経過、心境を率直に伝えることから「(同じ病気を)体験された方や家族の方に治療や、生活のことが分かってもらえる」と発信の意義を感じている。個人のブログも、趣味のことなどを中心に書き続けており、「病気をしているけど、病気を中心に暮らしているわけではないんです。ブログでは“生活のすべてが病気”というわけではないということを伝えたい」と思いを語った。
◇「つらくて泣いた」と言われることもあるけれど…
映像日記をはじめ、さまざまな方法で、自身のことを発信する矢方さん。「『つらくて泣いちゃった』と言われることもあるけれど、私は自身の体験や経験を、見ていただいた方や、周りの人に置き換えてほしいと思っています。自分や、自分のおばあちゃん、娘、お母さんなどを思い浮かべながら、身近な人をより大事にしてほしい」と周囲への感謝の思いを込めながら語る。
「自分自身も病気になって『なんで私が』って思った」と打ち明けつつ、「ただ『かわいそう』と思って終わるのではなく、いろいろなことを考えたり、思い出したりするきっかけとなって、いろんな方に(番組などを)見ていただけたらうれしい。こういう生き方もあるんだなと前向きに思ってもらえれば」と笑顔を見せた。
◇子供のころからの夢に向かって 「声の仕事は勇気をもらえる」
矢方さんは今、声優という子供のころからの夢に向かって努力を続けている。小学5~6年生のころに見たテレビアニメ「鋼の錬金術師」の主人公の声を演じていた朴ロ美(ぱく・ろみ)さんをきっかけに、声優という職業を意識するようになったといい、現在は基礎を学ぶため、週に6日間行われているレッスンを受ける日々だ。
乳がんと診断された当初は、手術で容姿が変わることに対し、「どうすればいいんだろうとか、女性として見られるのかなとも思った」と振り返りつつ、「だけど、だんだんそれも関係ないと思えたんです。『声が出なくなります』と言われたら、すごく落ち込んだと思いますが、手術が終わった後も10日ほどで仕事に復帰できた。復帰した場所もラジオだったし、声を使う仕事は勇気をもらえる。仕事ができる場所があるという喜びでもあるし、声の表現に集中できると思えたので(自分の声を)どんどん磨いていきたい」と目を輝かせる。
目標は朴さんのような「強くて美しくてカッコいい声優」。直近の目標は「声優としてアニメの作品でデビューすること。キャラクターをいただけるのもうれしいし、自分にしか演じられない役をつかむことで、一つ自信になるのかな」と話し、「声優の奥深さや魅力を伝えられる人になりたい」と笑顔を見せた。
さらに今年、若年性乳がん体験者のための患者支援団体「Pink Ring」やファッションブランドとともにコラボTシャツを発売するなど、発信の幅を広げている。Tシャツは「乳がんの患者さんも、そうじゃない人も愛用できるもの」と考えて素材にこだわり、白地に矢方さんが描いた猫のイラストがプリントされたデザイン。価格の一部が同団体に寄付される。