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劇場版アニメ「天気の子」のビジュアル (C)2019「天気の子」製作委員会
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劇場版アニメ「天気の子」のビジュアル (C)2019「天気の子」製作委員会

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注目映画紹介:「天気の子」新海ワールド全開 美しい風景と音楽、10代の男女の葛藤 予想をはるかに上回る完成度

 最終興行成績が250億円を超えるメガヒットとなった「君の名は。」(2016年)の新海誠監督の新作劇場版アニメ「天気の子」が、7月19日にTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開された。間際まで作業が続いたため、試写会を一切行わず、それによって内容が公開までベールに包まれていた今作。前作の歴史的ヒットもあり、新海監督の3年ぶりの新作に対する期待はいやが応にも高まっていた。ふたを開けてみると、予想をはるかに上回る充実した作品に仕上がっている。美しい風景描写、10代の男女の葛藤、RADWIMPSの心象風景を映し出す音楽……。“新海節”ともいえる場面がこれでもかと続き、スクリーンに目がくぎづけだった。

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 「天気の子」は、天候の調和が狂っている時代、離島を飛び出し、東京にやってきた高校1年生の家出少年・帆高が、孤独な日々の果てに見つけた仕事は怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。ある日、連日降り続ける雨の中、都会の片隅で一人の少女・陽菜と出会う。陽菜はある事情を抱え、弟・凪と2人でたくましく暮らしていた。そして彼女は祈るだけで空を晴れにできる不思議な能力を持っていた……というストーリー。醍醐虎汰朗さんが帆高、森七菜さんが陽菜の声優を務めるほか、小栗旬さん、本田翼さん、倍賞千恵子さん、吉柳咲良さん、平泉成さん、梶裕貴さんらが出演している。

 原作・脚本は新海監督、音楽はRADWIMPS、キャラクターデザインは田中将賀さん、企画・プロデュースは川村元気さんと「君の名は。」と同じ座組で、企画は「君の名は。」が公開されたちょうど1年後の2017年からスタートしたという。

 タイトル通り、空や景色の描写が多く出てくるが、その繊細さや美しさにはうっとりと見とれてしまう。またRADWIMPSによる音楽は、予告で流れている「愛にできることはまだあるかい」など前作よりさらに映像とのフィット感に磨きがかかった。新海監督が「完成へと導いてくれた」という「グランドエスケープ(Movie edit)」では女優の三浦透子さんがボーカルを担当。力強いサウンドに生きる勇気すら感じられる。帆高の挙動不審な行動や、あやうい独り言、陽菜の作るおいしそうな料理など、ときどき笑いや明るい要素もちりばめ、まさに新海ワールド全開。

 新海監督が「不安」と口にする結末は、確かに「賛否が分かれる要素」かもしれない。それは、見た人それぞれで考えることでこの作品は完成するのだろう。とにかく、一度見ると何度も見たくなる作品だ。(細田尚子/MANTAN)

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