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女優の松岡茉優さん主演の映画「蜜蜂と遠雷」(石川慶監督)が、10月4日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。それぞれの思いを胸に、国際コンクールに出場したピアニスト4人が、互いの演奏に影響を受けながら成長していく姿を描く。松岡さんはじめ、松坂桃李さん、森崎ウィンさん、鈴鹿央士さんの迫真の演奏シーンは必見だ。
原作は、2017年に直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸さんの同名小説。若手の登竜門と言われる国際ピアノコンクールに、世界各国から名うてのピアニストたちが集まった。母の死をきっかけにピアノから遠ざかっていた元天才少女の栄伝亜夜(えいでん・あや、松岡さん)。今回が最後のチャンスと年齢制限ギリギリで挑戦する妻子持ちのサラリーマンの高島明石(松坂さん)。亜夜とは幼ななじみで優勝の最有力候補・マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎さん)。今は亡き著名なピアニストに才能を見いだされた謎の少年、風間塵(鈴鹿さん)。それぞれの思いを懸けた戦いが始まる……。
見ながら息が詰まった。4人はライバルであっても、いがみ合っているわけではない。むしろ、互いの演奏に触発され、高め合っている。ドロドロした感情もギスギスした感覚もない。それでいて、演奏が始まると見ているこちらの心がざわめき立ち、演奏が終わると同時に大きなため息が出て、その時初めて自分が緊張していたことに気付く。4人の演奏はそれぞれに独創的。歩んできた人生の差を物語る。
ボブヘアを揺らしながら躍動感たっぷりに演奏する松岡さん、ほっそりとした指を鍵盤に走らせる松坂さん、優勝候補らしい堂々とした演奏で魅了する森崎さん、そして、心底楽しそうに鍵盤をたたく鈴鹿さん。実際に奏でるのはプロのピアニストだが、松岡さんたち4人は、ピアノの先生から運指はもとより筋肉や骨の構造といったピアニストの動きを学んで撮影に臨んだという。その迫真の演奏を、ぜひ大きなスクリーンで楽しんでほしい。(りんたいこ/フリーライター)