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映画「生理ちゃん」の一場面 (C)吉本興業 (C)小山健/KADOKAWA
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映画「生理ちゃん」の一場面 (C)吉本興業 (C)小山健/KADOKAWA

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注目映画紹介:「生理ちゃん」二階堂ふみ主演 生理痛因を擬人化したキャラが秀逸 仕事や恋に懸命に生きる女性を描く

 女優の二階堂ふみさん主演の映画「生理ちゃん」(品田俊介監督)が、11月8日からヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほかで公開される。生理痛の原因を擬人化したキャラクター「生理ちゃん」に振り回されながらも、仕事や恋に懸命に生きる女性たちを、ユーモラスかつ温かい視点で描いている。

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 原作は小山健さんの同名マンガ。2017年にウェブマガジン「オモコロ」で連載がスタートし、2019年8月の時点で累計2000万PVを突破。2018年6月にコミックスがKADOKAWAから発売されて、重版されるなど話題になり、今年の第23回手塚塚治虫文化賞短編賞に輝いた。マンガ誌「月刊コミックビーム」で連載中。

 二階堂さんは突然やって来る生理ちゃんに振り回されながらも、仕事や恋にひたむきに生きる女性編集者・米田青子を演じている。ほかに、伊藤沙莉さん、岡田義徳さん、須藤蓮さんらが出演。ドラマ「ルパンの娘」などを手掛けた品田監督がメガホンをとった。

 女性ファッション誌の編集部で働く米田青子(二階堂さん)は、公私共に充実した日々を送っているが、デートの約束が入っている時や仕事で悩んでいる時でも、毎月お構いなしに生理ちゃんがやって来る。編集部で清掃のバイトをする山本りほ(伊藤さん)は人生を半ばあきらめ、日々「煮え湯飲み子」というペンネームで毒のあるSNS投稿をしている。そんなりほの元にも生理ちゃんはやってきて……。

 真っ赤な唇にぱっちり眼(まなこ)の生理ちゃんのブサカワ具合が絶妙。常に同じ表情にもかかわらず、登場する場面や対する側の心境によって、すねているようにも、怒っているようにも見えるのが面白い。相手によって生理ちゃんの大きさが変わったり、容赦なく「生理パンチ」をお見舞いしたりするところも、コミカルかつ分かりやすい。原作同様「童貞くん」や「性欲くん」も登場するが、いつも際どいせりふを連発しては強制退場させられるため、爪痕は残すも出番は少なめだ。

 りほが、青子と後輩の山内(須藤さん)に突然コラムを依頼されて逃げ出す場面や、自虐しつつも芽ばえた恋心に一喜一憂する場面など、アラサー女子のこじらせ描写も秀逸で、応援せずにはいられない。

 交際中のシングルファーザーの久保(岡田さん)から思いがけないプロポーズを受けて戸惑う青子が、久保の娘から冷たい仕打ちを受けるシーンでは胸が痛むが、媚(こ)びることなく、自分のスタンスを貫き通す真っすぐさに勇気付けられる。

 外から見えなくても、多かれ少なかれ誰もが内面には厄介ごとを抱えながら生きている。そんな当たり前だが忘れがちなことを、ピンクの生理ちゃんが気付かせてくれる。女性はもちろん、男性にも、ぜひカップルで見てもらいたい作品だ。(渡邊玲子/フリーライター)

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