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岡田健史:ブレークにも冷静 初めての映画出演で得たものとは?

 2018年に放送された連続ドラマ「中学聖日記」(TBS系)で俳優デビューし、ヒロインの女性教師をいちずに愛する生徒役でブレークした岡田健史さん(20歳)。映画初出演となる「弥生、三月 -君を愛した30年-」(遊川和彦監督)が3月20日に公開される。映画やドラマ、CMなどで活躍する現状をどう受け止めているのか、初めての映画出演で得たものとは? 岡田さんに話を聞いた。

 ◇高校球児から俳優へ ブレークにも冷静

 岡田さんは1999年5月12日生まれ、福岡県出身。小学生から野球を始め、高校時代は甲子園を目指した。残念ながら甲子園行きはかなわなかったが、野球部引退後、県大会出場の演劇部の舞台に“助っ人”として参加したのをきっかけに芝居に興味を持ち、俳優の道へ。そして、オーディションを経て、主人公の相手役に抜てきされたデビュー作「中学聖日記」でブレークした。

 そこから1年もたたないうちにドラマ初主演を果たすなど活躍を続け、今作で映画初出演。広く注目されている現状について、「僕はそれほど勢いがあるとは思っていません。あることがいいことでもないと思うし、悪いことでもないですし。ただ、そういう現象というだけで」と冷静に受け止める岡田さん。そうした考え方の背景には、「どんな時でも、自分が楽しんでやりたいこと、したいことを、しっかりと持っていたい」という信念がある。

 その一方で、「もちろん、見てくださる方々が増えていくということはすごくありがたいことですし、幸せなことです。僕はお芝居が好きでやっているので、そういう僕の姿を見て、応援してくださる方々がいるなら、その方々のために頑張れます」と感謝の気持ちも忘れていない。

 ◇映画初出演 収穫は「受けの芝居」

 映画は、ドラマ「同期のサクラ」や「過保護のカホコ」などの作品で知られる脚本家・遊川さんの2本目の監督作で、運命に翻弄(ほんろう)されながら30年間相手のことを思い続けた、波瑠さん演じる結城弥生と、成田凌さん演じる“サンタ”こと山田太郎の半生を描くラブストーリー。30年間、ひとりの人を思い続けることに岡田さんも、「すごくすてきなことだと思います。絶対に簡単なことじゃない。だからこそ、映画にする意味があると思います」と目を輝かせる。

 その上で「30年後といったら、僕も50歳。その30年間で、うれしいことも、幸せなことも、辛いことも、苦しいことも感じるのだろうと思うので、楽しみ、というか未知です。だからこそ、毎日を一生懸命生きるということを、僕はこの『弥生、三月』から教えられました」としみじみ語る。

 岡田さんが演じるのは、サンタが弥生とは別の女性と結婚して生まれた子供・あゆむだ。あゆむは幼い頃、学校の先生をしていた弥生に会い、それをきっかけに教師になる。今作での収穫は「受けの芝居」で、「今も課題です」という岡田さんは、撮影当時を振り返り、「あそこの空間では僕、孤独だったんです」と打ち明ける。「あそこの空間」とは、あゆむがあるできごとから、生徒やその保護者に謝罪を迫られる場面だ。

 「生徒からも、その後ろにいる保護者からも非難の目で見られている。その視線をどういうふうに受け止めるかによって、あゆむの立ち位置がものすごく変わるんです。僕が、『なんでお前たちがそういう顔をするんだよ』という上から目線でいれば、すごく偉そうなやつになるし、『違うだろうお前たち。もっと大切なことがあるんじゃないか』という視点に立てば、すごく寄り添える。そういうことを、できた、できなかったは別として、あの場で学ばせてもらいました」と真摯(しんし)に語る。

 ◇観客の人生のスパイスに 

 芝居の「難しいところが好き」だという。今年に入って、ひとり暮らしの家で料理をする時間もとれないほど忙しかったそうだが、それでも、このインタビューの前日、久しぶりに映画館で映画を見た。「ポップコーンの匂いがして、隣に知らない人がいる中で、あの音響、暗さの中で映し出される絵や音に触れ、やっぱり映画っていいな」と再認識したという。

 そして、映画の醍醐味(だいごみ)に「作品を見た人が感動したり、ともすれば、その人たちの私生活に影響を与えたりできること」を挙げ、「僕も、作品を見てくださる方々の、壮大な人生の中のちょっとしたスパイスになれたらいいなと思いながらやっています」と自身の俳優としての心構えを明かす。

 ◇オフは家事と筋トレ、台本読み 「イメージを覆すような役を」

 それだけにオフの日は、「朝起きて、トレーニングして、家事をやって台本を読んだら日が暮れています」と語るように、休みの日でも仕事の準備は怠らない。「気が休まらないのでは?」と質問を重ねると、「1日の中で、体を動かしたり、ぼーっとしたり、掃除したり、ところどころで息抜きのタイミングを入れているので、大変だなあ、しんどいなあとは思いません。僕、掃除好きなんです」とにっこり。ちなみにトレーニングとは、自分の体重を生かした「自重トレーニング」。腹筋と腕立て伏せを、朝、できる時に150回ずつこなしているそうだ。

 「自分の言葉を出すという作業をすることによって、(撮影当時の)自分の思いを改めて確認できたり、気づかされたりすることが多い」ことから、受けるインタビューを毎回、「すごくいい時間を与えてもらっている」と受け止めている岡田さん。今後、やってみたい役を聞くと、「何がいいでしょうね」と逆質問しつつ、「世間の皆さんが僕に対して抱いているイメージはたくさんあると思いますが、それを覆すような役をやってみたいです」と意欲を見せていた。

 <プロフィル>

 おかだ・けんし 1999年5月12日生まれ、福岡県出身。2018年、オーディションを経て、連続ドラマ「中学聖日記」で主人公の相手役に抜てきされ俳優デビュー。2019年、「博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?」(FBS福岡放送)でドラマ初主演。4月期に放送される連続ドラマ「MIU 404(ミュウ ヨンマルヨン)」(TBS系)に出演するほか、待機作として11月公開の映画「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」(深川栄洋監督)がある。

 (取材・文・写真/りんたいこ)

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