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米倉涼子×綾野剛×横浜流星:新春SP鼎談 「映画を超えるという監督の気持ちを信じて」 Netflixシリーズ「新聞記者」を語る

 2019年に公開されて大ヒットした映画をさらにパワーアップしたNetflixシリーズ「新聞記者」(2022年1月13日より世界配信)。主演の米倉涼子さん、共演の綾野剛さん、横浜流星さんの豪華な鼎談が実現した。(編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)

 監督は映画版に続き藤井道人さん。政府の「国有地払い下げ事件」をめぐり、真相を追う新聞記者・松田杏奈(米倉さん)と、組織の論理に翻弄(ほんろう)される若手官僚・村上真一(綾野さん)、新聞配達をしている就活生・木下亮(横浜さん)の姿が描かれる。

 本作で心を揺さぶる演技をみせる3人が、ドラマへの思いや舞台裏のエピソードを語った。

 ◇撮影は緊張の日々。思いを溜め込んで演じた(米倉)

 ――今回のモチーフの一つは「政府の公文書改ざん事件」。映画同様、現実社会とリンクする内容が衝撃的です。みなさんがこの作品を引き受けた理由は。

米倉さん:ずっと社会派ドラマをやりたいと思っていて、このお話をいただいたんです。ちょうど独立したときで、役者さんによっては神経質になる内容ですが、日本アカデミー賞を受賞した藤井監督があの映画をどうシリーズ化するのかも興味が湧いて。ドラマで映画を超える、という監督の気持ちを信じようと思いました。

綾野さん:誰と一緒に作品を作るかが大切なことです。今回は藤井監督が声をかけてくださり、米さん(米倉さん)と流星(横浜さん)と聞いて十分でした。

横浜さん:僕も監督が藤井さんであることと、お二人と共演できることです。

 ――藤井組の撮影はいかがでしたか。

綾野さん:藤井監督とは「ヤクザと家族 The family」を経て、今回は2作目です。今作もどんなに苦しい出来事が起きても、その時間さえ愛そうという心持ちでした。

米倉さん:私は藤井監督とは今回が初めてです。衣装合わせでお会いしたら、長身のイケメンが現れて。私はすごく背が高いし監督も高いので、テーブルがすごく低かった……(笑い)。撮影は、大人になってからこんなに緊張したことはないというほどの緊張の毎日でしたけど、とにかく監督の期待に応えたいという思いでした。

横浜さん:僕は監督に、映画版で描けなかったことを託すと言ってもらって、すごく幸せで。プレッシャーと覚悟をもって亮を演じました。撮影では毎回、自分の知らない自分を引き出してもらえて、楽しい時間を過ごせました。

 ――新聞記者、若手官僚、就活生と、異なる視点で「真実」を追う3人の演技がみどころです。役作りで意識したことは。

米倉さん:私は我慢、ですね。私は普段、外国人と接する機会が多いせいか、伝えたいことをボディーランゲージで表現することが多いんです。でも今回はそれをすごく我慢しました。思いをため込みながら演じたんです。

横浜さん:僕が意識したことは、素直に、真っすぐいることですかね。

綾野さん:すてき。

横浜さん:亮は周りの人の言葉や出来事に影響されて揺れ動きます。それを素直に受けとって、真っすぐに演じたいなと思いました。一般市民の代表みたいな役でもあるので、若い方々が共感できる存在にしたかったです。

綾野さん:意識した事は、村上さんにとっての自己保身的な「たられば精神」を捨てるという事でした。

 ◇勇気あるこの作品を、世界のドラマ好きに届けたい(米倉)

 ――完成作は、3人のケミストリーが炸裂(さくれつ)した、渾身(こんしん)の社会派ドラマに。ご覧になった感想は。

米倉さん:このドラマにはさまざまな立場の人がいるけれど、出演者の役作りがすごく強くて、すべての人の味方になれるんです。一番悪役に見える人にも恐怖があることを感じられて……。そう思えるほど細部まで作りこんだ演出に、強い印象を受けました。

横浜さん:亮は松田と出会い、彼女が真実を追求する姿に影響されて成長します。僕も亮と同じように、松田についていきたい気持ちになりました。剛さん演じる木下とはワンシーンだけの共演です。亮にとっては一番の敵なのに、部屋で彼を見たとき、「この人にも事情があるんだ」と感じて……。そんな剛さんの演技を、役者として吸収しなければと思いました。

綾野さん:全6話で、松田さんのまなざしに映る景色が変わるんです。その柔軟な表情に“真実は一つだけれど、その見方はたくさんある”と感じました。亮さんは、国民代表のような存在。この物語が終わったとき、彼の瞳に何が映っているのかを僕たちは一番大事にしなくてはならないのではと思いました。

 ――今作が世界配信されることについてメッセージを。

綾野さん:このドラマは、一つの可能性の第一歩。まずは、この一歩を見てほしいです。

横浜さん:文化の違う方たちがこのドラマを見たら、どういう受け取られるのか。多くの人に、この作品で生きる人たちの思いが彼らに届けばという気持ちです。

米倉さん:「新聞記者」は、勇気を持った作品だと思います。でも、日本ではなかなかこういう社会派ドラマが作りづらいんですよね。私はアメリカの社会派映画を見るのが好きなので、他国の人たちに、その選択肢の一つとして見てもらえたらうれしいです。

 ――最後に、2022年の抱負をお願いします。

米倉さん:太く短く、ご縁とチャンスを大切に進みたいです。

綾野さん:年明けの第一作が「新聞記者」になるので、ここからが本番です。

横浜さん:ぼくは、挑戦し続けていきたいなと思います。

 *……Netflixシリーズ「新聞記者」は1月13日配信

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