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1月7日スタートの新ドラマ「シジュウカラ」(テレビ東京系、毎週金曜深夜0時12分)で主演を務める山口紗弥加さん(41)。夫も息子もいる40歳の売れないマンガ家が、22歳の美しい青年に心惹(ひ)かれていく“年の差”ラブストーリーに挑戦する。
「私の実年齢からすると、18歳差って20代前半の方になるので、健康面でいろんな迷惑をかけちゃうんじゃないかとか、どうしても心配が先に立つと思うんです(笑い)。でも結局、互いに幸せなら、恋に年齢は関係ない。その恋に責任を持てるなら、体裁や体面なんてものは無視しておけばいいんじゃないかなあという思いはあります」
そう語る山口さんに、相手役の板垣李光人さんとの撮影秘話や自身の恋愛観、プライベートでハマっていることなどを聞いた。
◇感情にウソがないように演じたい
山口さんが演じるのは、自作がなかなか日の目を見ず、長年売れっ子マンガ家のアシスタントを務める主人公、綿貫忍(わたぬき・しのぶ)。一時はマンガをやめる決意を固めたが、思いがけず10年以上前に描いたマンガが電子書籍で大ヒット。新作を描くことになった忍がアシスタントを募集すると、そこにやってきたのが、板垣さん演じる橘千秋だった。
「年の差がある恋を表現する上で、感情にウソがないように演じたいという思いは常にあります。ドラマにする以上、ファンタジーにはしたくない。なので、例えば台本に “手を重ねる”という描写があったとして、自分の心情的に難しいなあという場合には、監督と話し合ってその描写を撮影しないという選択をすることもありました。またその逆に、どうしてもこの描写は必要だというときには、どうすれば成立させられるかとあれこれ試してみたりして。ひとつひとつの動きを丁寧に確認しながら、まるでガラス細工を扱うように、繊細に、大切に撮り進めていくような現場です」
板垣さんの印象を聞くと、「本当に美しいです」と山口さん。
「造形の美しさもさることながら、内面の美しさがそのたたずまいにあふれていて。板垣さんが視界に入ると目をそらせなくなるんです。撮影の合間など、実はこっそり板垣さんを愛(め)でています(笑い)。美しさは癒やしです。なので、劇中、忍が千秋に見ほれてしまうシーンでは難なく、しかも堂々と見ほれることができたのですが、カットがかかった途端に猛烈な恥ずかしさが襲ってきて……板垣さんのお顔ををまともに見られなくなってしまいました(笑い)。板垣さんって、19歳とは思えない落ち着きがあって、『お休みの日は何をやっているの?』なんて気安く聞いてはいけないような雰囲気をお持ちなんですよ。なので、撮影の合間はほどよい距離感というものを大事にしています」
◇自分と忍が重なる部分も
忍は40歳の節目に、恋と仕事、同時に訪れた人生の“セカンドチャンス”に戸惑いつつも、自分自身の不確かな人生観と向き合う。
「私自身、38歳のときに初めて連続ドラマの主演というお仕事をいただきました。全く予期せぬタイミングで、まさかの大抜てきでした。そして、それはまさしく私の人生の“セカンドチャンス”だったと思います。忍はその名のとおり、言葉をのみ込み耐え忍んできた女性で、千秋との出会いを機に自分を取り戻し、自分らしいマンガ、自分らしく生きることを模索し始めます。私も40代になり、自分らしい表現をしたいという思いで毎日を過ごしているので、なんとか自分を幸せにしようと生きる忍の姿に、自分自身を重ねています」
◇穏やかな恋を でも結婚は…
“不倫なのに純愛”を描く本作で、恋する女性のときめきを体現する山口さん。自らの恋愛や結婚についてはどのように考えているのだろうか。
「恋愛に関しては、互いに敬い、互いの時間や大切にしているものを尊重できる相手と、穏やかな愛を育めたらすてきだなあと思います。忍の千秋への思いがピンク色だとしたら、私の理想の恋はオフホワイトとかクリーム色かなあ(笑い)」
ドラマでは、忍は、夫の洋平がビリー・ジョエルの歌を歌う姿を見て惹かれたというエピソードが描かれる。山口さんは「男性が仕事をする顔にドキッとする」という。
「ふだんフランクな人でも、仕事の顔になるとキリッとして急に緊張感が高まる感じ、ありません? その真顔になった瞬間にハッとすることがあります。真顔にちょっと弱いかも(笑い)」
一方、結婚については「全く考えていない」ときっぱり。
「ほんとに私、大丈夫?と心配になるほど結婚に興味がなくて。独身の友人とよく話しているのは、『将来、孤独死にならないよう生存確認だけはちゃんとしようね』って(笑い)。世の中、いまだに結婚は女性の幸せみたいな考え方がありますが、いくつになっても恋愛していいし、愛のかたちは自由でいいと思います。しかも、女性が年上の歳の差のある恋愛ってどうしてこうも受け入れられないんだろう。演じていてすごく悲しい気持ちになるし、怒りを感じることすらあります」
◇離島にハマる いつかトカラ列島へ
取材中、終始笑い声が絶えない。「暮らしの中で幸せに感じる瞬間は?」と尋ねると、意外な答えが返ってきた。
「今朝、コーヒー豆を挽(ひ)いていたんですね。挽きたては香りもよくておいしいけれど手挽きだから疲れるし、このガリガリタイムを面倒だと感じるようになっていたのですが、今日は豆を挽きながら、『あーいま、すごく幸せ』って思ってしまって……ああ、私はきっと疲れているんだなと実感したばかりで……(笑い)。あっ!一番の幸せありました! 真夜中のラーメン! 撮影が深夜におよぶ帰宅時、あまりに空腹で眠れそうにないときは、マネジャーにお願いして(店に)寄ってもらうんです。罪悪感を蹴散らして食べる豚骨ラーメンは最高に幸せですね(笑い)」
2022年に挑戦したいことは、離島めぐりだという。
「沖縄の離島に行ったとき、不便であることがぜいたくというか、何にもないことがクリエーティブでたまらなく幸せで、“好奇心に満ち満ちた旅” の魅力にハマってしまって。いま、目をつけているのが、トカラ列島の「宝島」という島で、そこは空から見るとハート形なんです。東京からだと移動に丸一日かかるそうなんですが、いつか宝島で冒険したい!と思っています」
(取材・文/服部広子)