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取材に応じたmiletさん
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取材に応じたmiletさん

milet:五輪閉会式の歌唱で話題 今年は去年を「上回る」 反省ノート、料理、剣道、茶道 ルーツを聞く

 東京五輪の閉会式で「愛の賛歌」を歌って話題を呼んだシンガー・ソングライターのmilet(ミレイ)さんが、2月4日公開の映画「鹿の王 ユナと約束の旅」の主題歌「One Reason」を歌う。miletさんに、毎晩つづっているという“反省ノート”や、幼少期のエピソード、主題歌に込めた思いを聞いた。

 ◇大切にしているのは夜の時間 “反省ノート”や料理で心を整理

 「寝る前に、反省ノートみたいなものを書いています。仕事で歌った時は音源を聞き直して、地道にノートに書き込んで。前にできなかったことができるようになったら、そこもチェックしています。少しでも自分の成長している点を知りたいので、その日を振り返るのが大切な時間です」と語る。2019年にメジャーデビューし、2020年、2021年と連続で紅白出場。東京五輪の閉会式でパフォーマンスするなど快進撃の裏で、地道な努力が垣間見える。

 「仕事以外のことでも、うまくいかないことがあると、どうやったら解決できるかをすぐノートに書いて整理するタイプの人間です。心を整理すると、ただ不安だった気持ちを、解決に導いていけるような感じがして。何をすればいいかが、はっきり分かるので時間削減にもなります。効率を求めるタイプなので、自分に合ったスタイルですね」

 自分と向き合うもう一つの方法は料理という。「夜に翌日のご飯を作ることが多いですね。ご飯を作るのも、いろいろと手間ひまかけたり、手際よくするにはどうすればいいか考えたり。音楽とはまた違う脳みそを使って、より活性化されている感じが楽しくて、ストレス発散になっています。しかも翌日おいしい物が食べられる。一石何鳥なんだろうっていう感じ」

 仕事などが忙しい時にこそ、体に良い物を食べるように意識しているといい、米は玄米、調味料はオーガニックにするなど、日常的に食べる物から変えていった。「甘党なので、甘い物だけは我慢できないんです。オートミールや米粉でクッキーを作ったりしています。自分で作ると、材料も決められるので、罪悪感フリーです。

 あとは、いろんな種類の紅茶をストックしています。歌う時には、スロートコートっていう喉に良い紅茶を飲むんですけど、気分転換にはいつも飲まないようなスパイスの効いた紅茶を飲みます。今のオススメはシナモンティー。蜂蜜やメープルシロップ、豆乳を入れてミルクティーにして飲むと、体が温まっていいですね」

 ◇子供時代は剣道や茶道で礼儀を学ぶ ピアノは意外にも「向いてなかった」

 「両親からは、何かをしなさいと言われたことがあまりなくて。私だったら、自分みたいな子供がいたら、あれしろ、これしろって言うんですけど」と冗談交じりに話す。

 両親から言われることが少なかった分、日常の礼儀や作法は習い事で学んだ。「剣道をやって礼儀を学んで、茶道をやって所作を覚えて。何でこういう動きが必要なのかということから学んだので、今でも自分の体に染みついています。たくさんの経験をさせてもらったことはありがたいですね」

 ピアノも習ったそうだが、意外にも「向いてないなって思ったら、すぐやめさせてくれた」と明かす。「いろいろと向いていることを両親が一緒に探してくれて、その都度手伝ってくれた。将来子供を持つことがあったら、自分も同じようにしたいと思う育て方をしてもらっていました。すごく自由に生きさせてもらって、だからこそ自分がやりたいことを見つけることができたのかな」

 ◇主題歌「One Reason」は「最大限の愛の歌」 思い浮かんだのは両親の顔

 映画「鹿の王 ユナと約束の旅」は、強大な帝国が支配する世界で、突如としてまん延した謎の病から生き延びた“父と娘”や、その病から多くの命を救おうと奔走する“天才医師”、故郷のために戦う“謎の女”など、過酷な運命に翻弄(ほんろう)される登場人物たちと謎の病の壮大な戦いを描いた。病と向き合う人々の姿が現代にも重なって見える。

 この作品の原作を読んだmiletさんは、壮大な物語に圧倒され、自分の歌が「負けないか」と心配したこともあったという。「自分が歌える中で最大限の愛の歌を作らせていただきました。自分がどんどん大自然に入っていくような感じになり、すごく没入しながら書き終えることができました」と振り返る。出来栄えについては「ほっとしました。ちゃんとこの物語についていける大きさの曲を作ることができた」と自信を見せる。

 曲を作っている時に思い浮かべたのは両親だった。思いを巡らせるうちに「巻き戻せない時間」に思いをはせるように。「両親を愛してはいるけど、私が知らない両親の顔があるし、私が生まれる前の両親ってどういう人たちだったんだろうとか。私が会っているすべての人たちに過去がある。その人の過去も愛せるような大きな人でありたいと思いました。逆に自分も愛する人に、自分の過去のこととか、ありのままを知ってもらいたいなと思い、いろいろな歌詞につながっていきました」

 ◇気持ちは前向きに変化 「想像しても、それを上回っていくんだろうな」

 miletさんにコロナ禍で変化したことを聞くと「逆に前向きになった」と自分でも驚いた様子。「もともとネガティブになりやすい性格で、ライブも何回か中止になり、落ち込むことはありましたが、その度に早くみんなに歌を届けたい、元気になってほしい、という思いを込めて曲を制作するようになりました」と振り返る。2月2日に発売したアルバム「visions」にも変化があり、「希望にあふれる歌といいますか、背中を押せるような曲たちを届けられるといいな」と話す。

 今後の目標を聞いてみると、少し考えてから「去年は想像していないような舞台に立たせてもらえることが本当に多かったので、今年も想像したとしても、それを上回っていくんだろうなって。自分で自分に期待しています」と、前向きだ。「ノンストップで、駆け抜けていきたい。振り落とされないよう、みんなについてきてもらえたらなって思いますね!」

<プロフィル>

 ミレイ シンガー・ソングライター。東京都出身。2018年より本格的に音楽活動をスタートさせ、2019年に「inside you」でメジャーデビュー。2022年2月2日にセカンドアルバム「visions」をリリースした。NHKウインタースポーツテーマソングに採用された「Fly High」やドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日本テレビ系)の主題歌「Ordinary days」を収録。

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