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女優の加藤ローサさんが10年ぶりに出演した映画「凪(なぎ)の島」(長澤雅彦監督)が8月19日に公開される。子供たちの心の成長や、心温まる家族の姿を描く作品。プロサッカー選手の妻で小学5年と3年の男の子の母親でもある加藤さんは、小学4年の娘を育てるシングルマザーの看護師を演じる。瀬戸内海を臨む風光明媚(めいび)な場所で3週間に及ぶ撮影に臨み、「めちゃくちゃリフレッシュしました!」と笑顔を見せる加藤さんに、撮影について聞いた。(全3回の1回目、取材・文/りんたいこ)
◇子育てを経て親子の自然な空気感が出せるように
「離婚する前はとても大変で、母親として娘を守ることに必死だったと思います。でも島に戻ってきて、今は母親のもとで心からリラックスして自分を取り戻す平和な時間を過ごしている。状況は違いますが、私が撮影に入ったときの感情とリンクして、すごく共感できました」
夫のアルコール依存症が原因で離婚し、故郷の島に住む母親の元に一人娘の凪と身を寄せることになった真央の心情を、そう推し量った加藤さん。
「10年前は子供とどう接していいか知らなかったし、分からなかったと思います。今回は(凪を演じた新津)ちせちゃんの人柄もあってなのか、最初から会話をたくさん交わしてコミニュケーションが取れたので、(親子らしい)自然な空気感は出せているんじゃないかな。(ちせさんは)本当に可愛かったです」と自身の子育てが、作品にもいい影響を及ぼした。
◇3週間の地方ロケを家族が応援 夫は「やっておいで」
加藤さんは、2011年にプロサッカーの松井大輔選手と結婚。2人の男児に恵まれ、家庭を優先させたいと芸能活動を休止していたが、2019年の配信ドラマでドラマに復帰。昨年、10年ぶりに地上波ドラマ「きれいのくに」(NHK)に出演した。
今回は山口県にある瀬戸内海の島で3週間の撮影が行われた。小学生の子供を持つ母親にとって不在にするには長い期間だったが、旧知の監督の存在と、家族の協力が出演を後押ししてくれた。
「とてもありがたいと思いましたが、これまで3週間も家を空けることがなかったので大丈夫かなという不安要素はありました。でも、子供も大きくなったし、長澤監督にはこれまで2度、お世話になっていて今回が3回目という信頼感もあり、それほど迷わずにやってみようと決意しました。
子供たちは、『映画館で見られるの?』と出演をすごく喜んでくれて。夫も10カ月いたベトナムから帰国して『(子供たちの面倒は)見られるよ。やっておいで』と快く送り出してくれました」
瀬戸内海を望む風光明媚なロケ地は「心のデトックス効果が抜群だった」と顔をほころばせる。
「めちゃくちゃリフレッシュしました。コロナ禍での撮影ということもあって、撮影の休みがあっても東京には戻らないようにと言われていたので、島で過ごしていました。10年分のたまったものが取れた気がします(笑い)」
◇プロフィル
かとう・ろーさ 1985年6月22日生まれ。鹿児島県出身。高校1年のときにファッションモデルとしてデビューし、2004年、結婚情報誌「ゼクシィ」のCMで注目される。翌年の映画「東京タワー Tokyo Tower」で本格的に女優デビュー。
*……「凪の島」/両親が離婚し、母の故郷である山口県の瀬戸内にある小さな島で暮らすことになった小学4年の凪(新津ちせさん)。母(加藤ローサさん)と、祖母(木野花さん)と暮らし、普段は明るくふるまうが、母へ暴力を振るうアルコール依存症の父(徳井義実さん)の姿が目に焼きついて離れない。島の住民に見守られ、凪は少しずつ笑顔を取り戻していくが……というストーリー。
*……次回は8月16日掲載予定