映画「天間荘の三姉妹」に出演するのんさん
女優で創作あーちすとののんさんが出演する映画「天間荘の三姉妹」(北村龍平監督)が公開された。マンガ家の高橋ツトムさんの代表作「スカイハイ」のスピンオフ作品「天間荘の三姉妹ースカイハイー」が原作で、門脇麦さん、大島優子さんと三姉妹を演じることでも話題になっている。のんさんに、演じた役柄や共演者について、落ち込んだときに自分を元気づける方法などを聞いた。
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◇“ギフト(役割)”を求めている少女、たまえ
出演が決まったときのことを「映画化することしか決まっていない状態で、迷いはありましたが、残された人の思いに寄り添うという原作が素晴らしく、実現するならぜひ参加したい、と思いました」と、のんさんは振り返る。
同作でのんさんが演じたたまえは、天涯孤独の身で、交通事故で臨死状態に陥る。そして、謎の女性、イズコ(柴咲コウさん)に連れられて、天界と地上の間にある街、三ツ瀬にある「天間荘」にやってくる。
「生きている私たちは、亡くなった方の考えを想像するまで至りませんが、この物語は亡くなった方の目線で語られます。“亡くなった人は残された人たちのことを思ってくれているんだ”と想像できると、残された人も動き出せるんじゃないかなと思いました。
たまえは、両親がいなくてすごく傷ついている女の子。“人に必要とされていない”と葛藤しながら、自分が生きていくための武装で、明るく振る舞っているように感じました。
私はハリウッドで有名なやり方で“ノート”を書いています。役の解釈を明快に定義して脚本を読みやすくします。今回は人生の目的として、“ギフト(役割)”を求めていると考えました。たまえのギフトは現世にはなかったけれど、三ツ瀬で見つけられました。そのおかげで、周りのみんなの思いを背負って、天界へ旅立つか、現世に戻るかという選択に決断を下せたんです」
◇大スターのギアの入れ方に感服
劇中では、イルカトレーナーとして奮闘する姿も印象的だ。
「イルカとのシーンは、やってみないと分かりませんでした。こちらが意志を持っていないと言うことを聞いてくれないんです。賢くて従順なイメージだったのに、『思ってたのと違う!』って。でもそんな“ちょっと悪い子”なところも可愛いと感じました。
トレーニングは大変でした。イルカのおなかの上に乗って移動する際は、体重移動でかじを切るので、体幹が必要。ヒレに乗ってジャンプしてもらう大技にも挑戦しました」
共演者はほかに、三田佳子さん、中村雅俊さん、永瀬正敏さん、寺島しのぶさんと、豪華な大先輩の名前が連なっている。
「ミーハーなんで、『やった~!』ってテンションが上がりました。特に三田さんと共演できるのがうれしくて。一緒のシーンの撮影では、カメラが回ったときの集中力がさすがでした。たたずまいや声の響かせ方で、一瞬で三田さんが演じられた“財前様”になるんです。そのギアの入れ方は、大スターが培ってきた積み重ねなんだな、と感じました。あと、三田さんが現場に来ると晴れるんです(笑い)」
◇“ヒーロー”のイメージを変えるべきではない
これまでの出演作から、明るく前向きで、周りを元気にするようなイメージが強い。のんさん自身は、そのイメージをどう感じているのだろうか。
「私は“ヒーロー的”な役柄で皆さんに知ってもらいました。ダメダメで無鉄砲ながら人生を切り開いていく、そういう役のイメージを払拭(ふっしょく)すべきではない、と。もちろん、イメージを変えることが得な人もいますが、私の場合はストライクのゾーンが深かったと思うんです」
ヒーローのイメージを持ち続けてもらうため、演じる役柄をどう解釈し、どう取り組んだかをしっかり伝えることを心がけていたが、最近は少し意識が変わってきたという。
「ただ役者だけをやっていたときは、作品のことや演じた役のことが伝わればよくて、自分自身の感情とか、自分がどう振る舞うかとか、自分の人間性が伝わるという部分はあまり考えていませんでした。
創作あーちすとという肩書きもついた“のん”になり、急激に発信する側だという自覚が芽生えてきて、自分自身が持っているメッセージをきちんと伝えられるように気をつけています。役柄だけじゃなくて、のん自身のヒーローポジションを、見てくれる人にどうアピールするかを意識するようになったんです」
◇落ち込んだときは「私を褒めてください」
プライベートでは、ヒーローであろうとはまったく思っていないという。
「テンションが上がったときはめちゃくちゃ明るいけど、そうじゃないときはけっこうクールな感じかもしれません。
落ち込んだときは、仲のいい人に吐き出して寝る! 自分を褒めてくれる保証がある人に、『私を褒めてください』とお願いします。たくさん褒めてもらって、ポジティブになってから寝ると、けっこう忘れられるんです。自分の悪かったところは、あとで反省して解決します」
水にまつわる作品への出演が続いているが、“水ものを極めたい”という思いはあるのかも聞いてみた。
「自分ではその思いはないですが、たまたま続いていて。出身も山のほうなのに、海のほうだと思われていることも多いです(笑い)。
極めたいと思っているのは、洋服を作ること。作るのが好きで、いちから作ったり、リメークしたり、いろいろやっています。夏はワンピースを作ったし、最近はトートバッグを作りました。いつか、そういった表現が求められれば、自作の洋服で登場することもあるかもしれません(笑い)」
<プロフィル>
のん 1993年7月13日生まれ。兵庫県出身。2016年、劇場アニメ「この世界の片隅に」(片渕須直監督)で主人公すずの声を演じて話題となった。2019年に自身が初監督を務め、主演・脚本・撮影・編集を担当した作品「おちをつけなんせ」を配信。今年は主演映画「さかなのこ」(沖田修一監督)が公開された。アート、音楽などの発信も続けている。
*……映画「天間荘の三姉妹」は、マンガ家の高橋ツトムさんの代表作「スカイハイ」のスピンオフ作品「天間荘の三姉妹ースカイハイー」が原作。身寄りのない少女・小川たまえ(のんさん)は交通事故に遭い臨死状態となり、「もう一度現世に戻って生きる」か「天へと旅立つ」かを決断できるようになるまで、天空の町・三ツ瀬にある旅館「天間荘」で働くことになる。そこで腹違いの姉、天間のぞみ(大島優子さん)とかなえ(門脇麦さん)に初めて出会う………というストーリー。
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