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取材に応じた貫地谷しほりさん
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取材に応じた貫地谷しほりさん

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貫地谷しほり:「夫とはすごく相性がいい」 結婚が転機 「円満な夫婦生活をあきらめたくない」

 俳優の貫地谷しほりさんが、映画「オレンジ・ランプ」(三原光尋監督、6月30日公開)で俳優の和田正人さんとダブル主演を務める。39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された丹野智文さんの実話をもとに、夫婦の9年間の軌跡を描く物語。貫地谷さんは、夫を支え前を向く妻、真央を演じる。「素の自分にも近いけど、私は明るいだけではなく、夫に厳しいですよ」という貫地谷さんに、自身の結婚生活や作品について聞いた。

 ◇2019年に結婚 夫は「台本を読みたがる」

 2002年に映画デビューし、昨年、20周年を迎えた。長くキャリアを重ねるなかで、転機の一つは2019年の結婚だという。

 「結婚して家族をもったことは大きな転機。今までとは優先順位も変わりました。忙しいことを言い訳にしていた家のことも、きちんとやるようになったし。もともと家事が得意なほうではありませんでしたが、もっと不得意な人と結婚しちゃったので」

 夫とは仕事の話はあまりしないが、俳優の仕事には理解がある。

 「作品のオンエアを一緒に見て、隣で感想を言ってくれます。芸能界の人じゃないので、やたらと台本を読みたがるんです。たまに相手役をしてくれますが、せりふを読むのがたどたどしくて全然進まない(笑い)」

 映画の中で「あきらめたくないもの」について語るシーンがあるが、貫地谷さんにとってそれは夫との生活。

 「夫とはすごく相性がいいと思います。円満な夫婦関係が続くように努力したい。けんかではなくて話し合いができる夫婦でいたい。劇中で真央と夫の晃一の絆を感じるシーンがありますが、自分も予測できない出来事があったときに支えられる夫婦でいられたら、と考えました」

 印象的だったのは、真央の強さ。「認知症を発症した夫に対して『自分でできることは自分でやってもらう』という真央は強いと思う。私がその立場だったら不安だし、自分でやったほうが効率がいいと思ってしまう。不安を抑えて夫を尊重できる信頼感には、愛も感じます」

 また、演じる際に意識したのは真央の明るさだという。「どこまで明るくやればいいか、監督と相談して演じました。素の自分にも近いけど、私は明るいだけではなく、夫に厳しいですよ」と笑う。

 ◇“知ること”が次の一歩になる

 同作に出演が決まる前は、認知症についての知識はあまりなかったという。病気やけがで生活が変わってしまうことは誰にでも起こりうるし、予見できない。劇中では、頼れる制度があることや、認知症の本人や家族がどのように暮らしているか、リアルな生活が描かれている。

 「過去に見た作品では、認知症はすごく悲しいイメージでした。でも今回の作品は、とても前向きで、周りの人の協力を得ながら、普通に生活していける、こんなに優しい世界があるんだと驚きました。モデルになった丹野さんも、1人で現場にいらして、病気のことは言われないとまったく分からないほど。国や自治体の制度や、認知症ご本人の生活を知っていれば、次の一歩を踏み出す手がかりになります。“認知症になっても障がいがあっても安心して暮らせる社会”になるはずです」

 ◇行動力に必要な筋力は落としたくない

 同作では、病気に理解がない人の思い込みによって傷つく様子も描かれる。貫地谷さんは世間の思い込みで傷ついた経験はあるのだろうか?

 「“エゴサ”はけっこうするほうで、昔は傷ついたこともありましたが、今は誰に何を言われなくても気にしなくなりました。大事なのは自分のマインドがどこにあるか。自分がどう思って取り組んだ作品なのか。自分が心躍るものに向き合えて、そのうえで誰かに褒められたらうれしいです」

 完成した今作を見て、思い出した言葉があるという。

 「エンターテインメントは人を楽しませるだけでなく、社会の実情などを後世に伝える要素もある、と言われたことがあります。私も世の中の役に立つ作品に出たいと思っていたし、今回の作品をいろんな人に知ってもらえるのは幸せです」

 現在、37歳。「思い立ったら即、行動タイプ。年を重ねても、そういう行動力はなくしたくないので、それに見合う筋力を落とさないように、筋トレは続けたい」

 ちなみに、今やってみたいのはキャンプ。「飯ごうとか竹で炊くご飯がおいしそうで。これは十数年言い続けてまだできていないんですが(笑い)」

<プロフィル>

 かんじや・しほり 1985年12月12日生まれ。東京都出身。2002年、映画デビュー。2004年、映画「スウィングガールズ」(矢口史靖監督)で注目を集める。2007年、NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で主演。2013年、初主演映画「くちづけ」(堤幸彦監督)で第56回ブルーリボン賞最優秀主演女優賞を受賞。テレビ、映画、舞台、声優など、さまざまな分野で幅広く活動している。

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