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俳優の吉高由里子さん主演のNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)が話題だ。吉高さん演じる主人公のまひろ(紫式部)は、初回から理不尽に母を殺され、殺した相手が心を寄せる藤原道長(柄本佑さん)の兄という事実をのちに知ることに……。その後、2人は結ばれるが、身分の違いから思いがすれ違う。毎回キュンのあるラブ展開に、「こんな大河見たことない」と、その少女マンガのような内容が評判を呼んでいる。まひろと道長のラブ展開にスポットを当てて、「光る君へ」の3月末に放送された第13回までを振り返る。
◇初回から母を殺されるという波乱含みの展開に
「光る君へ」は63作目の大河ドラマ。平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。脚本を、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さんが手掛け、きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生を映し出す。
1月7日に放送された第1回では、京に生を受けた少女、まひろ(のちの紫式部、落井実結子さん)は、父・藤原為時(岸谷五朗さん)の政治的な立場は低く、母・ちやは(国仲涼子さん)とつつましい暮らしをしていた。ある日まひろは、三郎(のちの藤原道長、木村皐誠さん)と出会い、互いに素性を隠しながらも打ち解け、再び会う約束を交わす……と展開した。
同回のラストで、横暴さを指摘された道長の次兄・藤原道兼(玉置玲央さん)が馬を駆っているときに、運悪くまひろと接触しそうになり、驚いて落馬してしまう。道兼は怒りの導火線に火が付き、刀を手に取ると、間に入ったちやはを後ろから一刺し。ちやはは帰らぬ人となってしまう……という悲劇が起きた。
第2回(1月14日放送)では、ちやはの死から6年、母の死因を隠した父・為時との関係が冷め切る中、まひろは代筆仕事に生きがいを感じる。一方、道長(柄本さん)は官職を得て、宮仕えをしていた……と展開した。
第3回(1月21日放送)では黒木華さん演じる源倫子が登場した。倫子は源雅信(益岡徹さん)の娘で、宇多天皇のひ孫。後に道長と結婚する。育ちの良いお姫様といった雰囲気でおおらかさと強さを併せ持つ人物。同回では、まひろと交流する姿が描かれ、「すっご~い。まひろさんは漢字がお得意なのね」と語りかけるシーンもあった。
第5回(2月4日放送)では、道長が右大臣家の子息であり、6年前に母を手にかけた道兼の弟であることを知ったまひろは、ショックを受けて寝込んでしまう。一方、まひろが倒れたことを聞いた道長は、自らの身分を偽ったことを直接会って説明したいとまひろに文をしたためる。風刺劇を披露する散楽の一員、直秀(毎熊克哉さん)の導きで、ようやく再会することができたまひろと道長だったが……と展開した。まひろは道長に、6年前、母を道長の兄、道兼に殺されたことを号泣告白し、視聴者は「心揺さぶられた」と反応した。
◇“いつもの廃邸”での濃厚で美しいラブシーンも話題
第9回(3月3日放送)では、まひろと道長を結びつけ、「ポジション的には少女マンガの影のヒーロー」ともいわれた直秀(毎熊さん)が悲しい最期を迎え、視聴者に衝撃を与えた。その死に責任を感じ、「余計なことをした」と後悔にさいなまれながら、必死になって穴を掘り、直秀と仲間たちを弔った道長の慟哭(どうこく)も話題になった。
まひろと道長の廃邸での濃厚で美しいラブシーンも描かれた。
第10回(3月10日放送)では、思いを募らせた道長から「あなたに再び会いたい」という漢詩を受け取ったまひろは、廃邸へと向かう。道長から「2人で遠くの国へ行こう」と乞われるまひろだったが、道長への愛を伝えながらも、「誰よりも愛しい道長様がこの国を変えていく姿を、私は死ぬまで見つめ続けます」と返す。思いが通じ合っていることを知った道長はまひろを抱き寄せ、そのまま結ばれる……。
第11回(3月17日放送)でもまひろは道長に誘われ、いつもの廃邸へ。勢いよく道長の胸に飛び込み、唇を重ねるまひろだったが、「俺の心の中でお前が一番だ」という道長の「妻になってくれ」との言葉が、「妾(しょう)として、そばにいてくれ」という意味だと分かると、道長を拒絶。
道長は、「どうすればお前は納得するのだ。言ってみろ。遠くの国に行くのは嫌だ。偉くなって世を変えろ。北の方でなければ嫌だ。勝手なことばかり言うな」と言い残し、まひろの前から去る。一人残されたまひろは涙を流した。禁断の恋のシーンのBGMに、大河らしくない“泣きのギター”が切なく響き、話題になった。
第12回(3月24日放送)では、道長からの文を受け取り、いつもの廃邸へと走るまひろ。道長以外の男性の妻にはなれないと考え直し、「妾でもいい」と心に決めたまひろだったが、その思いを伝える前に道長から「左大臣家の一の姫(倫子)のところに婿(むこ)入りすることになった」と言われて、ショックを受ける。そして、「倫子様は大らかな素晴らしい姫様です。どうぞお幸せに」と思ってもいないことを口走る。そんな2人のやりとりが、“残酷なほどすれ違う2人”と評判になった。
第13回(3月31日放送)では、父・為時が官職を得られず、貧しい暮らしが続くまひろは、働きに出ようとする。道長の妻となった倫子はまひろの身を案じ、自分のところで雇おうとするが、まひろは「他で決まってしまった」とウソをつき、倫子の申し出を断る。
その後、倫子は「これ、殿の部屋で見つけたのだけれど、大切そうに文箱の中に隠してあったの」と言ってまひろに文を見せる。それはまひろが書いた漢詩だった。どうやら倫子は、道長の“もう一人の妻”明子(瀧内公美さん)との間に文のやりとりがあったと考えているようだったが、漢詩の意味を聞かれたまひろがスラスラと答えると、倫子は「もういい」と不快感をのぞかせた。自身が送ったラブレターを解説させられるまひろに「胃がキリキリするような展開」と視聴者の間で話題になった。
まひろ(紫式部)と道長は、時に惹(ひ)かれ、時に離れ、陰に陽に強く影響し合う“ソウルメイト”という位置づけ。4月7日放送の第14回以降も2人の“ムズキュン”関係を見守っていきたい。