映画「本心」に出演している三吉彩花さん
俳優の三吉彩花さんが出演する、池松壮亮さん主演の映画「本心」(石井裕也監督、11月8日公開)が話題だ。今作で三吉さんは“三好彩花”という漢字一文字違いの役柄を演じている。これは当て書きでなく偶然だったといい、「運命を感じた」という。現在28歳の三吉さんが、映画について、また間近に迫った30代について語った。(前後編の前編)
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◇「三好彩花」に「運命を感じざるをえない」
映画は、「舟を編む」(2013年)などで知られる石井監督の最新作で、「ある男」などで知られる平野啓一郎さんの同名小説(文春文庫/コルク)が原作。今からさらにデジタル化が進み、“リアル”と“ヴァーチャル”の境界が曖昧になった少し先の未来(物語の始まりは2025年)を舞台に、自由死を選んだ母の“本心”を知るためAIで母をよみがえらせることを選択する青年、石川朔也(池松さん)と、彼を取り巻く人間の心と本質に迫るヒューマンミステリーだ。三吉さんは、主人公の母の友人だった三好彩花を演じている。
「三好彩花」は原作にも登場するキャラクターで、作者の平野さんは執筆時、偶然この名前をつけたという。
三吉さんは、この役に出会い、「本当に運命を感じざるをえない。役名もそうですし、役柄についても。ちょうどこの作品を撮影する前に私自身の“本心”も何かさまよっていた部分があって、家族についてなど考えることがすごく多い時期だったので、そういった意味で(出演は)すごくいいタイミングでしたし、とてもご縁を感じました」と語る。
◇家族関係にコンプレックス「両親と向き合う時間を設けた」
「本心がさまよっていた部分」について、三吉さんは「私は家族との向き合い方が幼少期から結構難しかった」と吐露し始めた。
一人っ子の三吉さんは、「(家族との関係に)いわゆるコンプレックスのようなものがあって。三好という役を演じる上で、一度、自分の家族との向き合うことが意味を持つのではないか、この作品に生かせるんじゃないかと、両親と向き合う時間を設けたりしました」と明かす。
共演した朔也の母役の田中裕子さんからは「ナチュラルなプロフェッショナルさ」を感じた。
「田中さんはカメラが回ってるときも回ってないときも、ナチュラルにそこにたたずんでらっしゃるんです。その姿が本当にもう朔也のお母さんにしか見えなくて。きっとご自身の中では台本を読んでいろんなアイデアを持って臨んでらっしゃるんだなと思いますが、そこにナチュラルですが、プロフェッショナルさも感じました。田中さんが現場にいらっしゃるときは、現場が明るくて柔らかい雰囲気で、皆さん心地よく撮影に臨めていました」と大ベテランから現場で学ぶことも多かったようだ。
◇理想の女性像は「ちゃんと自分を持っている人」
7歳から芸能活動を始めて、現在28歳。30歳の足音も聞こえてくる年齢になった。三吉さんは「もう楽しみでしかないですね、30代は」と笑顔で語る。
「20代でやり残したことがあんまりないので、これからさらに人との出会いや世界も広がっていくと思いますし、どんどん自分の興味のあることや新しい出会いに飛び込んでいって挑戦していきたいという気持ちがあります。30歳ってやっぱり新しい章の始まり、新章突入という感覚があるので、何か新しいことを始めたりもしてみたい」と目を輝かせる。
そんな30代を踏まえて、10年後、40代目前はどうなっていると思うかと想像してもらうと……。
「そのときはそのときで、多分、30代に満足してる自分と、40代にこういうことしたいなと思ってる自分がいると思います。基本的には、あまり、あのときこうしておけばよかったとか後ろを振り返らないタイプなので、そのときそのときに自分に必要なこと、楽しいことに目を向けてるとは思います」
「あまり先のことは考えない。考えても2、3年先ぐらい」と語る三吉さん。
「今は仕事をすごく頑張りたい時期なので、とにかくこの流れを止めたくないという気持ちです。あと、あまり先のこと考えても、予期せぬことがいっぱい起こるので、先のことを考える時間があったら、今のことをより考えたい」ときっぱり。
それを踏まえて、理想の生き方は、「自分の意見はしっかり強く持ち続けたい、と思いますし、そういう芯の通った女性にはすごく自分も惹(ひ)かれます。ちゃんと自分を持っている人が、やっぱりすてきだなと思いますね」と語った。
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