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仲間由紀恵:息子&娘役の成長をまさに母の目で見守る 「成長を感じられてうれしかった」

 俳優の仲間由紀恵さんが映画「STEP OUT にーにーのニライカナイ」(堤幸彦監督、3月7日沖縄県先行公開、3月14日全国公開)で子ども2人を育てるシングルマザー役を演じる。故郷の沖縄での撮影や息子、娘役の子どもたちとの触れ合いについて聞いた。(前後編の前編)

 ◇15歳で上京 「沖縄を出る不安はよく分かる」

 沖縄出身の仲間さんは中学を卒業した15歳で上京した。

 「高校から親元を離れて生活をしながら、仕事をしていくことになって。東京に出てくる前はなじめるかなとか、いろんなことを学んでいけるかなっていう不安もありました。映画でも描かれている、子どもたちが一歩ずつ前に進んでいくことへの不安感っていうのは、すごくよく分かります」

 その不安は、海に囲まれた沖縄で生まれ育ったことも大きい。

 「島から東京に行くって言うのはやっぱり大きな出来事なんですよね。飛行機に乗ってびゅんと行けるという単純に思えるようなことではなくて。テレビで見ていて、電車がある場所なんて別世界のようで、ちょっと高いハードルのように感じていました」

 子どものころは「琉球舞踊の先生になりたかった」という。

 「幼稚園生の時から中学3年生まで琉球舞踊をずっとやっていたんです。なので、小学生のころはずっと琉球舞踊の先生になりたいなって思って、たぶん文集にも書いていました。コンクールとか発表会があって、それに向けて集中げいこのようなものがありました。青春の思い出です」

 ◇母のまなざしで見守った子ども役 クランクアップにも駆けつけた

 「沖縄のおおらかさとかしなやかさとか、具体的なものではないですが、私の中にあって生きているものだと思っています」という仲間さんが生まれ育った沖縄での撮影だったが、今回、初めて行く場所も多かったという。

 「コザのほうとか、米軍基地が近くにある場所とか、こういう沖縄の顔もあるんだな、ということを発見しましたね。できるだけ、沖縄の空気を感じながら、沖縄のリズムでお芝居がしたいなと思っていました。母親役で、そこに住んでいる人の役で、弁護士だったり、会社員だったり、なにかの職業を演じることではないので、早口でわざとまくしたてて説明をするようなせりふもないですし、“そこに生きている人”っていう空気感を意識しました。今回は監督がオール沖縄ロケをしたいということだったので、スタッフさんたちも含めて、その時期は沖縄に住んで空気を一緒に感じながら作品に入っていけたのがありがたかったです」

 息子の踊(よう)を演じたSoul(ソウル)さん(16)、娘の舞を演じた又吉伶音(またよし・れん)さん(11)に対しては、まさに母のような思いで見守っていたという。

 「伶音ちゃんは、なかなかしゃべらないし、感情を表に出さないという役柄だったので、難しそうだなと思っていました。緊張感を持って現場にのぞんでいたんですけど、撮影の合間では、差し入れが気になってしょうがない感じでした(笑)。私も差し入れをするのがすごく楽しいなって思いながら、『きょうは何を食べたの?』『いくつ食べたの?』と聞くと『四つ食べたけど、スタッフさんに止められた』って。沖縄アクターズスクールに通っていて、自分の憧れや夢についても話してくれました。

 Soulくんは本当に真面目で、役にも真剣に取り組んでいました。お芝居が初めてだというプレッシャーもあるし、ちゃんとやらなきゃって不安も抱えながら現場に入ってたんですけど、どんなときも持ち前の集中力、勘の良さで、本当に日々成長していました」

 仲間さん自身は5人きょうだいの末っ子として育った。

 「末っ子なので、やっぱり一番甘えるっていうところはありますよね。みんなが気にしてくれるし、ずっと周りに頼っていたいタイプ。伶音ちゃんが演じていた妹の舞もそういうところがあるかな?と思いました。この作品で、どこに泣けるかというと、やっぱりきょうだいの絆。本当に毎回、泣けてくるんです。2人の絆の強さがすてきだなって」

 10代の2人のことを語るときの柔らかいまなざしは、母そのもの。先にクランクアップを迎えていた仲間さんは、2人の最後を見届けるために、沖縄に行ったという。

 「みんなの最後が見たくて。まなざしの強さが全然違って、すごく意識を持ってお芝居ができるようになったんだなぁと、成長を感じられたのがうれしかったです」

 <プロフィル>

 なかま・ゆきえ 1979年10月30日生まれ、沖縄県出身。1995年、ドラマ「日本一短い母への手紙2」(日本テレビ系)でデビュー。2000年に出演した連続ドラマ「TRICK」(テレビ朝日系)の売れないマジシャン山田役、連続ドラマ「ごくせん」シリーズで熱血教師・山口久美子(ヤンクミ)役で注目を集めた。ほかの出演作にNHK大河ドラマ「功名が辻」(2006年)、映画「大奥」(2006年)など。2008年の映画「私は貝になりたい」で、「第32回日本アカデミー賞」主演女優賞を受賞した。2002年から09年までに4度「NHK紅白歌合戦」の紅組司会を務めた。2014年9月、俳優の田中哲司さんと結婚。2018年6月、双子男児を出産。

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