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仲間由紀恵:子どもたちがいて仕事もできる今が幸せな場所 我が子には「好きなものを見つけて進む強さを持ってほしい」

 映画「STEP OUT にーにーのニライカナイ」(堤幸彦監督、3月7日沖縄県先行公開、3月14日全国公開)で、子ども2人を育てるシングルマザー役を演じた俳優の仲間由紀恵さん。自身も2児の母である仲間さんに子育てや母としての思いを聞いた。(前後編の後編)

 ◇シングルマザー役で感じた母の強さ 「子どもの進む道を応援できる母になりたい」

 仲間さんが演じた朱音(あかね)はシングルマザー役。仕事を掛け持ちして必死に働いている。

 「子ども2人をなんとか育てていかなきゃいけないということで、どこかいっぱいいっぱいの中でやってきているんだろうなと想像して、母親としては、なんというか“停滞期”のようなものなのかなと感じました。目の前のことをコツコツとやるしかないという状況だったと思うんですけど、その中で子どもは成長していくし、その成長は止まらないので、そういうものを目の当たりにして、焦ってしまう部分があるんだろうなって。どうしていいかわかんないっていう、それがずっと続いていくつらさも共感できる部分。

 でも、つらいときにあらためて、子どもを見つめる。そういうことができる母親だったな、と思います。投げ出したくなるくらい、どうしたらいいかわからないこともいっぱいあるんだけど。子どもを純粋にまっすぐな瞳で見て、家族を信じてあげられる。そういう母の強さを感じました」

 作中で、「私じゃ、あの子たちを幸せにしてやれない」と言うシーンがある。

 「自分だけじゃこの子の成長を広げてあげられないって決断する時のつらさってものすごいだろうなと思うんですけど。それを自分で認めて、誰かに託す。そこもやっぱり母の深い愛なんですよね。自分の子どもなんだから自分の目の前に置いておきたいに決まってるんですけど、子どもが前に進みたいって言ってるんだから。それをかなえるためにはどうすればいいか考えて決断する潔さは本当に強いなと思います。

 最終的には、いろんな思いで、子ども自身が自分の人生を決めるっていうところに到達しますけど、親子の絆の形、愛の形がすてきだなって思う作品。やっぱり一番は子どもたちが自分で好きなものを見つけて、それに向かってどんなふうに進んでいきたいのかを応援してあげるっていうことが、母親としての役割ですよね。そんな母親になりたいな、と思います」

 2018年に双子の男児を出産したことを発表した仲間さん。役柄で演じた母親像が、自身の子育てにも影響することはあるのだろうか?

 「朱音は母親としてワンステップ踏めたと思うので、そういうのは私の中にも残っているとは思います。あんまり深くは考えないんですけど、演じた役で母親としていいなって思う部分は無意識にマネをすることもあると思います。うちの子どもたちはまだ夢はないと思いますが、これから自分たちの好きなことを見つけられて、それに向かって進んでいけるような強さを持ってほしいなと思います」

 ◇双子の子育て中 「感謝しながら集中してのぞむ」

 出産前後で仕事に対する考え方に変化はあったのだろうか?

 「出産する前は、ほぼほぼ仕事の時間でしたが、今は家のこともやらなければいけないし、子どものこともやらなければいけない。セリフを覚えるとか、一つの仕事に対して、準備にかけられる時間が限られるようになってきたので、その分、集中してやるようになりました。あと、できるだけ計画的にとは思っています。そうは言ってもなかなかできないんですけれども、1カ月ぐらい先の予定をちゃんと見ながら、『ここでセリフを覚えないと間に合わない』とか、考えるようになりました。子育てと仕事を両立できているとは言い切れないかもしれませんが、計画はしっかり立てています」

 仕事を長く続けている中で、大切にしていることを聞いた。

 「今は自分だけでいろいろできる状況ではないので、周りに助けてもらいながら今があるということを忘れないで、皆さんに感謝をしながら仕事をする。一つの仕事に時間をたくさんかけられない分、集中してのぞみたいと思っています。そういう思いは大事にしたい」

 現在45歳。年齢を重ねて意識していることは、「できることをできるときに」だという。

 「体力が落ちているのはすごく感じますし、疲れるなっていうのはすごいあるんですけど、健康に気をつけて食事を意識する、とか、普通のことで。あまり無理をせず、できることをできる時にやる。無理をすると、つらくなるし、長続きしないので、できる限りのことをやるっていう感じですね」

 映画のタイトルにある「ニライカナイ」は理想郷という意味。仲間さんにとってのニライカナイとは?

 「劇中では、ニライカナイっていうのは誰もが幸せでいられる場所。自分がそこにいて、幸せだと思える場所です。私でいうと、子どもたちがいて、お仕事も周りに協力してもらいながらできている、ありがたい状況があるので、すでにある意味、私にとっての幸せな場所だと思っています。これを継続できるように努力し続けて、未来のニライカナイに向かって頑張っていきたい。そのためには、目の前のことを一生懸命やることです」

 <プロフィル>

 なかま・ゆきえ 1979年10月30日生まれ、沖縄県出身。1995年、ドラマ「日本一短い母への手紙2」(日本テレビ系)でデビュー。2000年に出演した連続ドラマ「TRICK」(テレビ朝日系)の売れないマジシャン山田役、連続ドラマ「ごくせん」シリーズで熱血教師・山口久美子(ヤンクミ)役で注目を集めた。ほかの出演作にNHK大河ドラマ「功名が辻」(2006年)、映画「大奥」(2006年)など。2008年の映画「私は貝になりたい」で、「第32回日本アカデミー賞」主演女優賞を受賞した。2002年から09年までに4度「NHK紅白歌合戦」の紅組司会を務めた。2014年9月、俳優の田中哲司さんと結婚。2018年6月、双子男児を出産。

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