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原菜乃華:今月22歳に 「好きなことを好きと言うこと」で自分らしく 「同じ価値観の人が集まってくれる」

 ルイス・キャロルの名作「不思議の国のアリス」を日本で初めて劇場版アニメ化した「不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-」(篠原俊哉監督、8月29日公開)で主人公・安曇野りせの声を演じた俳優の原菜乃華さん。新海誠監督の劇場版アニメ「すずめの戸締まり」で主人公を演じて話題を集めた原さんに、自身の声や20代のうちにやりたいことなどを聞いた。

 ◇「声に影がある」が自信に 「次は人間じゃないものを」

 アニメは、現代の少女・りせが、ある日ワンダーランドに迷い込み、アリスと出会うことで物語が動き出していく。りせ役のオファーを受け、「もう声の仕事をすることはないんだろうなと思っていたので、びっくりした」と語る原さん。

 「声のお芝居は『すずめの戸締まり』以来で、そのときにプロの声優さんのすごさを実感しました。今回、声をかけていただけてすごくうれしかったのと同時に、一度経験したからこその不安もありました。

 私は声が高くて早く話してしまう癖があるみたいなんです。前作は高校生役だったので、それで良かったんですけど、今回は二十歳を超えている就活中の大学生なので、前回とは全く違う落ち着いた声を聞かせてほしいと言われたのがすごく難しかったですね。できるだけ焦らず自分が思う以上にゆっくり話すようにしました」

 もともと声はコンプレックスだったというが、「任せたいと思ってもらえていることはありがたく、自信にもなった」という。

 「『原さんの声は、影があってすてきです』と言ってもらえたのがすごくうれしかったです。その言葉を支えに乗り越えました。次は動物とかキャッチーなキャラクターとか無機物とか、人間じゃないものもやってみたいです(笑)」

 ◇悩んだときは自身で決断 「人のせいにできないので頑張れる」

 原さんは「不思議の国のアリス」の絵本を小さい頃に読んで、「何を食べていたらこんな話を思いつくんだろう?(笑)」と衝撃を受けたという。

 「先の展開が全く予想できない。出てくるキャラクターたちも全然一筋縄ではいかない変なキャラクターだけど、愛着が持ててとても心ひかれて繰り返し読んでいました」

 今作の主人公がアリスではなく、いわゆる普通の女の子・りせであることは、「ファンタジーにあんまり馴染みのない方でも、入り込みやすい入り口を作ってくれている」と考えている。

 「りせは多くの方が共感できるキャラクターだと思います。すごく真面目で几帳面(きちょうめん)で頑張り屋さんだけど、SNSに囲まれている世代だからか、流されて自分の本当に好きなものを見失いがちなところもあって。私自身も横並びでいることに安心感があるタイプなので、学生時代に『真面目だけどつまらないよね』と言われたこともあり、りせに共感できました」

 原さんもりせのように進路で悩んだ経験がある。そんなときは悩みつつも、自身で決断してきたという。

 「お仕事を続けるかどうか悩んだ時、どっちに行ってもきっと苦しいことに変わりはない。全然お仕事がない状態で続けるのもしんどいだろうし、ずっと物心ついてからやってきたことを諦めて、今までの全部が無駄になるって思うのも苦しいだろうから、だったら、可能性がある方の“苦しい”にかけたいって思って続けることにしました。どっちに転んでも楽しいことも苦しいこともあって、どちらにせよ後悔はあるので、ちゃんと自分で決めようって思っています。責任は全部自分が取らなきゃいけないし、人のせいにできないので、頑張れているのかもしれません」

 ◇「落ち込むときはとことん落ち込む」

 忙しい日々で自分を保つために意識しているのは「好きなものを好きと言うこと」と力を込める。

 「同じものが好きな人や同じような価値観を持った人が、周りに集まってきてくれる気がしますし、そうじゃない人は自然と離れていく。私は一人の時間もとても好きなので、人の意見に流されず、自分の中でちゃんと整理する時間が作れるような生活をしていたいなと思います」

 落ち込んだときなどに自分を元気づける方法があるか聞くと、「ないです」と即答。

 「私の場合、友人に会ったりおいしいものを食べに行ったり、そういうことで根本的なものは何も解決しないと気づいたので。勝手に時が解決してくれるだろうし、どこかのタイミングで嫌でも切り替えなきゃいけない時が来るから、もう落ちるところまでとことん落ち込んでみようって思っています」

 今月26日に22歳になる。20代のうちにやっておきたいことを尋ねた。

 「仕事でしか行ったことがないので、プライベートで海外旅行がしたい。シンガポールに行って『マリーナベイ・サンズ』に泊まってみたいです。英語は全く話せないし外交的じゃないので、英語ができて外交的な友達と一緒に行けたらなと思っています(笑)」

 <プロフィル>

 はら・なのか 2003年8月26日生まれ、東京都出身。2009年デビュー。映画「はらはらなのか。」(2017年)で長編初主演。劇場版アニメ「すずめの戸締まり」(2022年)で主人公・岩戸鈴芽役に抜てき、第18回声優アワードで新人声優賞を受賞。映画「ミステリと言う勿れ」(2023年)で、第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。NHK連続テレビ小説「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)、連続ドラマ「ちはやふる-めぐり-」(日本テレビ系、水曜午後10時)に出演中

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