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柴咲コウ:家族や親族の付き合いは難しい 親には「健康で」「もっと幸せに生きて」と願いも

 主演映画「兄を持ち運べるサイズに」(中野量太監督、11月28日公開)の公開を控える俳優の柴咲コウさん。共演したオダギリジョーさん、満島ひかりさんとのエピソードや今後やりたい役柄などを聞いた。(前後編の後編)

 ◇シャイなオダギリジョー 頼れる満島ひかり

 原作は村井理子さんのノンフィクションエッセー「兄の終い」で、警察からの電話によって、何年も会っていない兄(オダギリジョーさん)の死を知らされた理子(柴咲さん)が、「早く、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう」と東北へと向かう。警察署で7年ぶりに兄の元妻・加奈子(満島ひかりさん)とその娘の満里奈(青山姫乃さん)、兄と住んでいた息子の良一(味元耀大さん)と再会し、後始末をしながら、改めて家族を想いなおす……というストーリー。

 「オダギリさんとは2回目の共演で、かなりお久しぶりだったんですけど、スーパーシャイな方なんですよ。『メゾン・ド・ヒミコ』(2005年公開、犬童一心監督)という映画の時は、ちょっとプライベートな話もされていたんです。今回は、昔よりもシャイになっていて。スタッフの方も含めて、距離をもうちょっと近づけたいと思って、ロケのときに一緒に食事をしてお話ししました。

 満島さんは精神的には自分よりも年上に感じて、本当に頼れる大好きな方。お芝居に関係ないこと、例えば満島さんもご自身でお仕事をされていて、経理的なことまで全部ご自身でされているので、そういう細かいことまで相談していました」

 兄の息子役、12歳の味元さんについては、「子どもと思えないほど達観している部分があった」という。

 「本当に『人生何周目?』と感じられるところがあって、無邪気でお母さんが大好きな一面もあるんだけど、達観している部分もあって、不思議な空気をまとっていました。役柄としても、元から心開いている相手ではなかったのですが、監督が一番初めにみんなでケーキを食べながら会話しようみたいな会を開いてくれました」

 ◇「一人っ子がラク」 大切な人には「手を差し伸べちゃうかも」

 柴咲さん自身は一人っ子。以前は「年上のお兄さんが欲しかったこともあったけど、一人っ子ってラクなんで」と笑う。

 「今作の兄みたいな人と関わるのは大変そうだし、そもそもきょうだいだけでなくて、家族とか親族とかの付き合いの難しさみたいなものは感じています。言葉では言い表せない信頼もあるけれども、やっぱり関わる人が多いと煩わしい、大変だろうなっていうのが勝っちゃうと思う。

 自分のエゴでもあると思うんだけど、例えば親に対して『健康でいてほしい』『もっと幸せに生きてほしい』と思っても、本人に『うるさいな』と感じられてしまえばそれまでですし。言い過ぎない方がいいなって思うけど、しょうがないですよね。願うものは願いたいわけだから。葛藤です」

 兄の残していた荷物を整理し、ゴミ捨て場に投げ入れるシーンは、理子が吹っ切れたように見える。

 「断捨離ってやっぱり心の整理で私もやることがあります。理子は、兄が借りていた部屋に迷惑を掛けていたのが、きれいにして返したことで、一つの区切りになりますよね。スッキリしたことで、自分の奥底に眠っていた柔らかい部分で兄と対峙(たいじ)するみたいなことがあったんだろうなと思います。相手が亡くなっているからどうしようもないけれど、だからこそ実はどうにかしたかったという心残りがあってもしかして自分が救いの手を差し伸べていたら結末が変わっていたのかな、というのはずっとあったと思うんです」

 同作の兄のように自分勝手で嘘つきでろくでもないけれど、でも大切な人から助けを求められたら手を差し伸べることはできるのだろうか?

 「どうかなぁ。差し伸べちゃうかもしれませんね。完全に縁を切って他人になれるなら最後に何か施しをして去っていくけど、関係が続いていくとなると、無視できないかも。その関係性によりますけどね」

 最後に、これまでもさまざまな役柄を演じてきた柴咲さんに、これから挑戦したいことを聞いた。

 「やっぱりちょっと癖が強いとか、どっちかというと世間から煙たがられたり、『なんだこいつ』と思われたりする役はやりがいがあります。『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(6月公開、三池崇史監督)で演じた役を“怖い”って言われていたんですけど、『バトル・ロワイアル』(2000年公開、深作欣二監督)以来“怖い、怖い、怖い、怖い”って言われて、なんとなく快感でした(笑)」

 <プロフィール>

 しばさき・こう 8月5日生まれ、東京都出身。1998年にテレビデビュー。映画「バトル・ロワイアル」(2000年公開)で注目を集め、『GO』(2001年公開)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞と新人俳優賞をダブル受賞。NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017年)で主演を務める。歌手として、「RUI」名義や、福山雅治とのユニット「KOH+」などでも活動。2016年には「レトロワグラース」を設立、CEOを務める。

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