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アンソニー・ホプキンスさんが“サスペンスの神”とうたわれたアルフレッド・ヒッチコックにふんした「ヒッチコック」(サーシャ・ガヴァシ監督)が、5日から全国公開される。第85回米アカデミー賞でメークアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされていた今作は、1959年公開の「北北西に進路を取れ」のワールドプレミア直後から物語が始まる。ヒッチコックは、次なる作品に猟奇連続殺人エド・ゲインの事件を取り上げることに決めるが、映画会社から題材のおぞましさゆえに出資を断られ、自己資金での製作を決意。妻アルマ・レヴィルの協力で、新作「サイコ」(1960年)に着手していく様子が描かれる。アルマを演じているのは、「クィーン」(06年)で米アカデミー賞主演女優賞に輝いたヘレン・ミレンさんだ。
映画は、ヒッチコックの自信家の一面を見せる一方で、撮影がうまくいかないと高熱で倒れるなどの精神的あやうさや、思いのほか、嫉妬深い男だったことを明かし、また「サイコ」にまつわる撮影秘話を知ることができる。しかし、なんといっても今作の最大の収穫は、アルマという女性の存在を知ることができたこと。彼女はヒッチコックの妻であると同時に優れた映画編集者で、かつ脚本家でもあり、正式にクレジットされた場合とそうでない場合があったようだが、ヒッチコックの全作品に協力していたという。確かに、今作を見ると、彼女がいかにヒッチコックの仕事に貢献していたかがよく分かる。
今作は、「ヒッチコック」というタイトルがつき、メークアップでヒッチコックに化けたホプキンスさんに何かと視線が注がれがちだが、むしろ主人公は、彼を支えたアルマであり、彼女とヒッチコックの夫婦愛の物語だ。5日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)