「バーニー みんなが愛した殺人者」の一場面 (C)2011 Bernie Film,LLC and Wind Dancer Bernie,LLC.All Rights Reserved.
「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラックさんとリチャード・リンクレイター監督のコンビでおくる「バーニー みんなが愛した殺人者」が13日から公開される。町の人気者が町の嫌われ者を殺害……。米テキサス州の田舎町で起こった実際の事件を元に、地元の住民たちのインタビューも交えながらつづる。人間のおかしみをじわじわとにじませる作品だ。
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テキサス州の田舎町カーセージ。バーニー(ブラックさん)は葬儀社で働く39歳の男。仕事が丁寧で、遺族への配慮もこまやかと評判だ。市民活動にも熱心で、町のみんなから信頼され愛されていた。あるとき、石油で膨大な財産を築いた人物の葬儀を執り行ったバーニー。引きこもりがちになった未亡人マージョリー(シャーリー・マクレーンさん)を気遣ううちに、彼女にすっかり気に入られてしまう。彼女は町一番の嫌われ者で、友だちがいなかった。やがて、バーニーは葬儀社を退社し、マージョリーの専属マネジャーとして彼女の会社の役員となった。住み込みで働くうちに、次第に彼女に支配されていく……という展開。
題材と配役がピッタリだ。殺人をしても嫌われないほどの町の人気者バーニーをブラックさんが演じることで“ブラックな”おかしさがにじみ出てきて目が離せない。嫌われ者の老婦人を演じるマクレーンさんとの組み合わせも絶妙だ。マージョリーが料理をクチャクチャとかみすぎて相手にイライラ感を与えるというシーンなど、見ているこちらもイライラしつつ、笑ってしまう。実際の地元民たちも負けてはいない。名優と素人のハーモニーで、何が真実なのかよく分からなくなってくる効果を生み出している。その結果、後半の裁判シーンが妙に真に迫っている。他人にいい人と思われていると、いい人を続けようと思ってしまうもの。誰にも好かれる善人と友人がまったくいない人間は、同じような“弱さ”を抱えて生きているのかもしれない。13日からヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)、新宿シネマカリテ(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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