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話を聞いた東京警察病院の澤田彰史医師
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話を聞いた東京警察病院の澤田彰史医師

夏バテ:医師がすすめる回復法 「質のよい睡眠」と「ビタミンB」

 暑さの盛りは過ぎたものの、まだまだ夏バテが続く季節。夏バテからしっかり回復する方法を東京警察病院の澤田彰史医師に聞いた。

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 ◇夏バテの原因は「自律神経の乱れ」 栄養不足も

 澤田医師によると夏バテの主な原因の一つは「自律神経の乱れ」。自律神経は、起きて活発に活動しているときに働く交感神経と、リラックスしているときや眠っているときに働く副交感神経が、決まったリズムでシーソーのようにバランスをとりながら働いている。「涼しい屋内と暑い屋外を行き来する」「暑さのために眠りが浅くなる」などの原因でリズムが乱れ、バランスが崩れやすくなるという。

 また「夏は、食事がそうめんやうどんなど食べやすい炭水化物が多くなったり、甘いジュースやアイスなどで済ませてしまったりする傾向にあるので栄養が偏りやすいこと」も一因となる。さらに暑さで熟睡できないことで、深夜2時ごろに多くなる成長ホルモンの分泌が阻害され、「体の代謝が悪くなったり、回復力が落ちる」ことも夏バテにつながるようだ。

 ◇深夜0時までに就寝 午前6~7時に起床を

 自律神経の乱れに有効な対策の一つは「質のよい睡眠」。理想は「深夜0時前に寝て、朝6~7時に起きること」だ。

 澤田医師は「成長ホルモンは深夜2時くらいに最も多く分泌されるが、そのときに深い眠りについていることが必要。そのためには、約2時間前の深夜0時までには寝て、深夜2時に深い眠りについている状態にしないといけない。夜中の2時にふとんに入っても遅いのです」と解説。また休みの日などにダラダラと昼ごろまで寝てしまうと、抗酸化物質としての役割をもつメラトニンというホルモンの分泌にも悪影響があるという。

 「メラトニンは朝、太陽の光を浴びると分泌がストップし、その14時間後に分泌が再開するという“タイマーのスイッチがON”になります。しかしダラダラと寝ていると、メラトニンのタイマーがうまく働かず、夜に眠れなくなったり、逆に昼間に眠くなるという悪循環が起きる」とのこと。さらに「メラトニンは夜間に睡眠をうながすだけでなく、体をサビつきから守る強力な抗酸化物質としての働きもあります。質の悪い睡眠や睡眠不足はメラトニンの分泌を阻害し、体のサビつきを進行させ、老化を早めているのも同然なのです」と指摘している。

 ◇うなぎや豚肉だけでなく、大豆製品でビタミンBを摂取

 栄養不足の解消にはバランスのよい食事が欠かせない。なかでも不足すると疲れやすくなるといわれているビタミンBについて「炭水化物(糖質)をエネルギーに変えるときにビタミンBが必要。夏に食事が炭水化物に偏るなど、食事のバランスがよくないとビタミンBが不足しがちになる。うなぎや豚肉料理が夏バテ解消に食されるのは、ビタミンBが豊富なため」といい、澤田医師はビタミンBが豊富な食材としてうなぎや豚肉のほか、豆腐・枝豆などの大豆製品や、ごま・落花生などを挙げている。「特に、大豆製品は植物性たんぱく質や大豆イソフラボンという抗酸化物質も豊富に含まれているので、この時期にかぎらず積極的に摂取することをおすすめします」と解説した。

 早寝早起きで得られる質のよい睡眠と、ビタミンBを意識したバランスのよい食事で、夏バテを解消し、秋に向けて体調を整えたい。

 <プロフィル>

 さわだ・あきふみ。1973年東京都生まれ。群馬大医学部卒。日本抗加齢医学(アンチエイジング)会専門医、日本形成外科学会専門医。NPO法人日本サプリメント評議会評議委員。東京警察病院形成外科に勤務しながら、他のクリニックや医療施設でも、美容外科手術、レーザー治療、やけど・にきび治療など幅広く医療に従事している。著書に「見た目年齢の9割は肌で決まる!30歳からのメンズ・アンチエイジング」(クリーク・アンド・リバー社)、「ぐ~たらな私の はじめてのアンチエイジング」(総合法令出版)、「ほうれい線は消せる!」(PHP研究所)などがある。自身の健康法としては「深夜0時までの就寝」と「通勤や院内での階段移動」、「置き換えダイエット」などをしており、以前は82キロあったメタボ状態の自身の体重を68キロ(マイナス14キロ)まで減らした経験もある。

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