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4月1日公開の映画「あやしい彼女」(水田伸生監督)で主演した女優の多部未華子さん。多部さんは、倍賞美津子さんが演じる73歳の毒舌おばあちゃん・カツが、ひょんなことから若返った姿を演じている。カツは名前を節子と変え、髪形や服装も変えて生活し、歌手デビューのチャンスをつかむ……という心温まるコメディー作。1960年代の名曲を歌う場面も多く、撮影前に3カ月間、音楽の特訓を受けたという多部さんに、撮影の苦労やエピソード、女優という仕事について聞いた。
◇倍賞さんの演技からインスパイア
多部さんは今作の役柄について「オリジナル版を見て、すごく楽しめて、グッときました」といい、また水田監督の評判を聞いて、「すごくすてきな作品で、またすごくお会いしてみたい監督さんだったので、(この役を)やりたいと率直に思いました」と演じられることを喜んだ。
見た目は20歳で中身は73歳という役柄に、「73年間生きてきた重みや深さは体験したことがないので、想像でしかない部分があって。倍賞さんとお話をする機会をいただいたり、お芝居を見学させていただいたり、想像しながら、出来上がったという感じです」と倍賞さんの演技からインスパイアされる部分が大きかった。
倍賞さんとは撮影現場で話し、「(役柄についての)共通認識をお互い確認しました。戦災孤児で、逃げ足が速くて、愛に対して貪欲というか愛情深いという、そういう共通認識を2人で常に持っていようねとお話をしました」と役への理解を深めた。
◇歌うシーンに苦労
今作で多部さん演じる節子は、歌で人々を魅了し、注目を浴びる。歌については「撮影が始まる前に、歌のレコーディングは全部済ませておかなくてはならなくて。歌う4曲はすごく練習しました。でもなかなか自分の中に成長が見えずに、苦労しました」という。練習中、レコーディングの期日が迫ってくると焦りも感じたが、「最終的には気持ちや感情が大事だと思ったので、撮影は始まっていませんでしたが、台本を読んで一生懸命、想像しました」と他の作品にはない苦労もあった。
ライブシーンで多部さんは伸びやかに歌い、観客とのコール&レスポンスなども堂に入っている。今回演じてみて、歌手になりたいなんていう夢も生まれた? 「全然ないです(笑い)。むしろ大変だなと。アーティストさんは、ライブで何曲も歌って、踊ったり、走り回ったりするので、すごく尊敬します」と改めて感じたという。
◇落ち着いた演じやすい現場
現場の雰囲気は「落ち着いた雰囲気で、割と静かな現場でした。水田監督と仕事をしたことが多いスタッフの方が多数いらっしゃったので、スタッフ同士のやりとりがすごく慣れていてスムーズで、本当に役者が一番芝居をしやすい環境を監督やスタッフさんが作ってくださったり、演じやすい現場にしてくださったと思います」と落ち着いて演技できた。
多部さん演じる節子と恋に落ちる要潤さん演じる音楽プロデューサーの小林拓人とのキュンキュンするデートシーンもあるが、「すごくすてきに感じました。要さんがいらっしゃるとすごく現場が和むというか、意図的にではなく、要さんの人柄で自然と現場が盛り上がるというか。すごく心強かったです」と語る。
そんな多部さんにとって女優の仕事とは? 「今までやめていないということはきっと楽しんでいると思いますし、演じていてすごく楽しいので続けていくのだろうと思いますが……。絶対に続けていきたいというそこまで強い願望はなく、日々を楽しんでいて。一つの作品を生み出していく人たちの中に交じって作品に参加できることは楽しいことだと思うし、すごく幸せだなと思います」と思いをはせていた。
次回は、休日の過ごし方や今後について聞く。
<プロフィル>
1989年生まれ、東京都出身。2005年の映画「HINOKIO」(秋山貴彦監督)のオーディションで1000人の中からメインキャストに抜てきされる。同年に公開された「青空のゆくえ」(長澤雅彦監督)とともに、第48回ブルーリボン賞新人賞を受賞。本格的な連続ドラマ出演となった07年の「山田太郎ものがたり」(TBS系)ではテンションの高いヒロインを熱演し、コメディエンヌとしての才能も発揮。演技の幅を広げ、その後も映画やドラマ、舞台、CMとさまざまなジャンルで活躍、舞台「農業少女」で第18回読売演劇大賞・優秀女優賞杉村春子賞を受賞した。主な映画出演作に「夜のピクニック」(06年、長澤雅彦監督)、「君に届け」(10年、熊澤尚人監督)、「映画 深夜食堂」(15年、松岡錠司監督)、「ピース オブ ケイク」(15年、田口トモロヲ監督)など。