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中川大志:転機は「ミタ」 順調すぎる歩みに“怖さ”「早いうちに挫折を」

 2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」で豊臣秀頼を演じ、今年に入り「きょうのキラ君」「ReLIFE リライフ」と映画主演作が立て続けに公開されるなど、活躍の場を広げている若手俳優の中川大志さん(18)。若手と聞いて、山崎賢人さんや菅田将暉さん、野村周平さん、竹内涼真さんらの名前を思い浮かべる人も多いと思うが、彼らはいずれも20代前半で、中川さんはさらに下の世代の“唯一の10代主演級俳優”といえる。この春に高校を卒業し、大学などに進学せず「仕事一本」でやっていくことを表明している中川さんに、キャリアの転機や演技への思いなど聞いた。

 ◇「家政婦のミタ」出演で俳優として「やっていきたい」と…

 中川さんは1998年6月14日生まれ、東京都出身。俳優として最初に注目を浴びたのが、2011年放送の大ヒットドラマ「家政婦のミタ」(日本テレビ系)で、 松嶋菜々子さん扮(ふん)する主人公の家政婦が派遣される阿須田家の長男を演じた。中川さんは「俳優としてやっていけそうだと思ったことは正直ないですし、この先もないかもしれないけれど、ただ俳優として『やっていきたい』『すごくお芝居が好きなんだ』って思い始めたのは、『家政婦のミタ』に出させていただいたころ。中学1年生の時で、初めて連続ドラマのレギュラーをやらせていただいて、ありがたいことにそのあともドラマの現場に立たせていただいて、本当にこの1~2年が自分の中では怒涛(どとう)だった」と振り返る。

 中川さんは「小学校の時にスカウトされて、本当に“フワッ”と将来のことを考えて(芸能界に)入ったわけではない自分が、気づいたらそういう状況に立っていた」といい、「今まで経験したことがないくらい忙しくて、学校もあって体もきつかったはずなんですけど、『現場に行きたい』ってどんなに疲れていても思っている自分がいた。本当に現場が好きなんだなって、今まで感じたことのない気持ちになった」としみじみと思い返す。

 ◇本当に大きかった「真田丸」出演 大河ドラマは「また戻りたい場所」

 そんな「家政婦のミタ」から約5年が経過し、数々のドラマ・映画に出演。今や“唯一の10代主演級俳優”へと成長を遂げた中川さんだが、昨年の「真田丸」出演は、自身のキャリアにおいて「本当に大きかった」という。「それこそ『ミタ』と前後して『江』(11年)と『平清盛』(12年)に出させていただいて、『真田丸』は3回目の大河ドラマだったんですけど、歴史あるNHKの日曜夜の枠なので、そこにしかない独特の空気感、作品としてのオーラ、緊張感があった。ここでしか生まれないものとか、ここでしか発見できないことがある場所だなって改めて感じましたね」と明かす。

 さらに「自分みたいな若い役者が、あれだけの大先輩に囲まれ、お芝居をさせていただけるのはすごく幸せなことだなって、かみ締めながらの毎日だった」といい、「大先輩の芝居を一番いい場所で堪能し、現場の立ち方とか、全てにおいて本当にありがたい環境で学ばせてもらって。終わった今でも『見てましたよ』とか、僕のことを知らなかった世代の方にも言っていただけますし、本当に大きかったって思います。やっぱりまた戻りたい場所だなって、今後もそこを一つの目標にしていきたいですね」と目を輝かせる。

 ◇目指すは「純粋に役として作品の中にいられる俳優」 否定されたいとも…

 今年公開の主演映画「きょうのキラ君」「ReLIFE リライフ」はどちらも高校を舞台にした青春ストーリーだ。中川さん自身も以前に「現役の高校生として、等身大で学生を演じられるのが武器だと思っていた」と語っていたが、高校卒業を機にこの先どんな役者を目指していくのだろうか。中川さんは「いざスクリーンの前で、お客さんに作品を見てもらう時、自分自身の色や匂い、そういった余計なものを一切、忘れてもらえるような、純粋に役として作品の中にいられる俳優になりたいですし、そこはブレたくない」と話す。

 また「フィクションである以上、ドラマも映画もうそはうそなんですけど、できるだけそこに説得力は出したいっていうのもあるし、その時、その場で自分に何を求められるのか常日ごろ、一番に考えてはいます」と語る。そして、「こんなにも現場がしょっちゅう変わる仕事っていうのも世の中にそんなには多くはないと思うので、柔軟性っていうのも大事ですし、監督や作品によっても作り方は異なる中、どんな現場に行ってもどんな演出の仕方にも柔軟に対応できて、なおかつ自分の持っている力をできるだけ多く出せるようになりたいです」と力を込める。

 その一方で、「(役者をしていて)正直、怖いなって思いもある」と順調すぎる歩みに漠然とした不安をのぞかせる中川さん。「まだまだ経験も少ないですし、そういった状況で、主演として現場に立たせていただく恐怖、自分が『できている、やれている』と勘違いしてしまう怖さというか……。だから今は、これまで以上にもっともっと高い壁にぶつかって、早いうちに挫折を味わえるような作品や監督に出会いたい。怒られたり、否定されたりとか、少なくなっていくのが嫌だなって思うので、そういう意味でも、勘違いしないために、いっぱい壁にぶつかりたいですね」と話していた。

 <プロフィル>

 なかがわ・たいし 1998年6月14日生まれ、東京都出身。小学4年生の時にスカウトされ、2009年7月、俳優デビュー。10年10月に映画デビュー。11年に大ヒットドラマ「家政婦のミタ」(日本テレビ系)に出演。16年、NHK大河ドラマ「真田丸」の秀頼役で注目を浴び、現在は主演映画「きょうのキラ君」が公開中で、女優の平祐奈さんのダブル主演作「ReLIFE リライフ」も15日に公開される。  

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