映画「リングサイド・ストーリー」で瑛太さんとダブル主演した佐藤江梨子さん
女優の佐藤江梨子さんが、俳優の瑛太さんとダブル主演した映画「リングサイド・ストーリー」(武正晴監督)が、14日に公開された。映画「百円の恋」の武監督による人情ラブコメディーで、プロレス団体「WRESTLE-1」で働き始めたことで、少しずつプロレスに魅了されていく佐藤さん演じる江ノ島カナコと、10年来の恋人で売れない役者である瑛太さん演じる村上ヒデオの奮闘を描いている。4年ぶりに映画の主演を務めた佐藤さんに作品の魅力、見どころを聞いた。
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ヒデオは7年前に大河ドラマ出演を果たしたものの、最近はオーディションに落ち続け、カナコのヒモ同然の生活を送る毎日。ある日、カナコが勤め先の弁当工場を突然クビになってしまい、プロレス好きのヒデオからプロレス団体が人員募集していることを聞き、その団体で働き始める。一方ヒデオは、仕事に夢中になっていくカナコが浮気をしていると勘違いし、嫉妬のあまりとんでもない事件を起こしてしまう……というストーリー。武藤敬司さん、黒潮“イケメン”二郎さん、K-1世界王者の武尊さんら、プロレスラーや格闘家も多数出演している。
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――4年ぶりの主演映画、出演依頼を受けたときの気持ちはいかがでしたか。
すごくうれしかったです。妊娠したり、出産した後は、どうしてもお母さんの役が多かったんですが、これは独身女性の役と言われた。一瞬ダイエットしようかと思ったんですが、「そのままでいいです」と言ってもらえたので助かりました。「百円の恋」の武監督の新作と聞いたときは、私も何かストイックなことを求められるのかと思って、お受けするかどうかは脚本を読んでから……とも思ったんですが、これは絶対やらなきゃと思いました。
作品の世界観が本当にすてき。大人になればなるほど、夢を持っていることを内緒にしちゃったり、憧れの女優さんに対して「この人と自分はかけ離れているから」と躊躇(ちゅうちょ)しちゃう。この作品で、夢を持つことって本当にすてきなことだし、応援してくれる人に(主演の話が来たことを)言った方がいいんじゃないかという気持ちになったんです。旦那さんに「子供がまだ小さいんですけれど、映画の主演の仕事が来た。やっていい?」と相談したら、「いいじゃん、やりなよ!」って言ってくれました。
――「江の島カナコ」の役作りはいかがですか?
自分で思っていた「江の島カナコ」は、独身のころの自分や感情を優先して(役作りを)考えていたんですが、監督に「この女性は、彼氏をとても愛していて、応援団みたいな感じ。とても家族的な感じですよ」と言われて、ストーンときた(落ちた)。1回全部忘れて、もしこういう人(夢を追いかける恋人)がいたら、逃げ道を作ってあげられるような女性ってすてきだなと思ったんです。
(自分は)息子がまだおむつをしてて、おむつがパンパンなだけで、「(夫に)おむつくらい替えてよ!」とか言って怒っちゃうんですけれど、もっと優しい人になれたらいいな、と思いました。(演技は)途中から、「自分の息子がこんな(瑛太さん演じるヒデオのようなダメ男)ふうになっても、誰か助けてあげて!」という(母親のような)気持ちでやっていました(笑い)。
――瑛太さん演じる「村上ヒデオ」はダメ男ですが、カナコにとってのヒデオはどんな存在ですか。
カナコさんは、自分の父親が亡くなっているので、小さいころから母子家庭の期間が長くて、しっかりしなきゃという設定。割としっかりしてはいるんですが、男の人に対して免疫が少ない気がします。劇中にも出てくるエピソードですが、父親がミュージシャンをあきらめて、手に職を付けようとしたら亡くなるので、「夢を見させてくれる男って貴重よ」というせりふがあるように、夢があることに対する尊敬が大きい人なんです。本当に、ヒデオを信じているんだと思います。
――格闘界のトップアスリートたちとの共演はいかがでしたか。
本当にすごい! 黒潮“イケメン”二郎さんに対しては、大好きになりましたね! ずっと入場曲を口ずさんじゃうくらい、いとおしくていとおしくて、会いたくなっちゃう。すごく幸せな気分になっちゃう。
武尊さんは、すごく強いんですが、すごく可愛いんです。あれはファンがいっぱいつくな。撮影中はずっと暑かったんですが、グローブしているのに、髪を直そうとしているんです。そんな武尊さんが可愛くて、メークさんたちもメロメロでした。
武藤敬司さんとは、前に共演させていただいたことがあったんですが、あるシーンで武藤さんが、テストでせりふをかんだんです。普通はスルーするところなんですが、自分たちのボスがかんだことに、イケメンさんとかが(笑いをこらえて)ずっとプルプルッてしてたんです。ずっとイチャイチャしていて、「ちょっとかんだだけで、こんなに幸せになれるなんて!」と思いました。
――一番好きなシーンは?
いっぱいあるんですけど、例えば、リングを作っているシーンが早送りで見られるんですよ。そんな映像がある映画は初めてなので印象的でした。見ているお客さんも一緒になって裏方の気持ちになれるので、好きなシーンです。
見どころはいっぱいあり過ぎるので、劇場で見てほしい。笑って泣けるので、カップルとか、夫婦で見てほしいです。
<プロフィル>
さとう・えりこ 1981年12月19日生まれ。東京都出身。99年の高校在学中、「大磯ロングビーチキャンペーンガール」に選出されて芸能界デビュー。映画「キューティーハニー」(2004年)で抜群のプロポーションを生かして話題を集めた。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(07年)では、第29回ヨコハマ映画祭主演女優賞を受賞、「口裂け女」(07年)、「秋深き」(08年)、「斜陽」(09年)、「すべては海になる」(10年)、「その街のこども 劇場版」(11年)などで主演を務めた。映画のほか、連続ドラマ「嵐の涙~私たちに明日はある~」(16年)では主演、「セシルのもくろみ」(17年)に出演しており、ドラマ、舞台、CMと幅広いジャンルで活躍中。