佐藤健さん(左)と土屋太鳳さんが出演する映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」のイメージビジュアル(C)2017 映画「8年越しの花嫁」製作委員会
俳優・佐藤健さんと女優・土屋太鳳さんのダブル主演映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(瀬々敬久監督)が、16日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開される。突然、昏睡(こんすい)状態に陥ってしまった婚約者を8年間待ち続けた男性とその婚約者の奇跡の実話を描いている。土屋さんの迫真の演技、琴線に触れるせりふやエピソードをちりばめたストーリーと演出が秀逸だ。
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原作は、岡山県在住の中原尚志さん、麻衣さん夫妻の体験記「8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら」(主婦の友社)。付き合い始めて1年がたったころ、尚志(佐藤さん)は麻衣(土屋さん)にプロポーズ。麻衣が憧れていた結婚式場も予約し、2人は幸せの真っただ中にいた。ところが、麻衣が原因不明の病に襲われ昏睡状態に陥ってしまう。数年後、麻衣は意識を取り戻すが、更なる試練が待っていた……というストーリー。
杉本哲太さんと薬師丸ひろ子さんが麻衣の両親に扮(ふん)し、北村一輝さんが、尚志の働く自動車整備工場の社長役で出演している。
印象に残るシーンが多い。例えば、尚志が麻衣にプロポーズする場面。2人のやりとりが愉快で、見ているこちらまで笑ってしまった。あるいは、麻衣の両親を励ますつもりで言った尚志の言葉に対する、麻衣の母の予想外の反応。一瞬驚いたが、親としては当然だよなと納得。そういった共感できるエピソードやせりふに何度も出合い、そのたびに胸を突かれた。
脚本を担当したのは、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(2017年)が話題になった岡田惠和さんだ。センスいい言葉で登場人物の感情をリアルに表現し、その一方で、小さなことを積み重ね、それが後々生きてくるように構成されている。そんな脚本を、映画「64-ロクヨン」(2016年)を手掛けた瀬々監督が、演出過多になることなく冷静に映像化している。
明るく活発な女性から昏睡状態を経て、はかなげな少女からかれんな女性へと変化していく麻衣を演じ切った土屋さんの演技にも心底脱帽した。佐藤さんも、自身が持つほわんとしたイメージを生かしつつ、心根の優しい尚志を好演している。(りんたいこ/フリーライター)
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