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映画「不能犯」に主演した松坂桃李さん
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映画「不能犯」に主演した松坂桃李さん

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松坂桃李:「不能犯」主演インタビュー(下) マンガ実写化への思い語る

 俳優の松坂桃李さんが主演を務めた映画「不能犯」(白石晃士監督)が全国で公開中だ。マンガ誌「グランドジャンプ」(集英社)で連載中の宮月新さん原作、神崎裕也さん作画のマンガを実写映画化した。松坂さんは、次々と起きる変死事件の現場に現れるが、誰も犯行を立件できない=不能犯という謎の男を演じた。松坂さんに、マンガ原作の実写化の難しさ、目指す俳優像などについて聞いた。

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 「不能犯」は、都会で変死事件が連続して発生し、警察が証拠を見つけられない中、事件現場では必ず黒スーツの男・宇相吹正(うそぶき・ただし=松坂さん)が目撃されていた。男は、ある電話ボックスに殺人の依頼文を残しておくと、どこからともなく現れてターゲットを確実に死に至らしめるとうわさされているが、死因は病死や自殺に事故などで警察は犯行を立件できない=不能犯といわれていた……というストーリー。

 「見つめるだけで相手を死に追いやる」という宇相吹の人の心を操る能力が効かない刑事・多田友子役を沢尻エリカさん、その部下・百々瀬麻雄役を新田真剣佑さんが演じているほか、間宮祥太朗さん、真野恵里菜さん、水上剣星さん、安田顕さんらが出演している。

 ◇原作マンガにとことん寄せた

 マンガ原作の実写化作品に出演する際、松坂さんは「僕の中では入り口として2パターンあって。ビジュアルをすごく寄せるか、全く寄せないかが一つのポイントだと思うんですね。(今回は)寄せました。わりと画(え)のタッチが人間っぽいというか、例えば、『ワンピース』や『NARUTO』は人間っぽくない。キャラクターという感じですけど、今回は人物なので、これは寄せられるなと思って。だったら寄せられるところはとことん寄せていこうという方を選んで僕はこの現場に入りました」と考えを明かす。

 オファーが来てから原作マンガを読み、「わりと原作に近い方が面白いかと。かつ原作に載っている宇相吹の可愛らしい部分、猫をなでたりとか、そういうのを全部排除して、本当に宇相吹のダークな部分だけを切り取ろうを思いました」という。

 ◇好きなマンガの実写化の話が来たら…

 「マンガが好き」という松坂さんは週刊マンガ誌の「モーニング」や「マガジン」(共に講談社)を愛読しているという。「最近のマンガ家さんに多いと思うんですけど、実写化を視野に入れてマンガを描いている人もいると思うんですね。この作品ももしかしらその方向かもしれないですし、青年誌(に連載しているマンガ)は実写化を視野に入れてマンガを描いているパターンが多いように感じます。ただ少年誌はもう違う次元なんですよね。(少年マンガの実写化で)奇跡的にうまくいったのは『銀魂』くらいじゃないですか」と分析。ちなみに「銀魂」は「ファンなのでちゃんと映画館に見に行きましたよ。よくぞ実写化したなと。これは福田雄一監督だから成立したんだろうな」とうれしそうに語る。

 一番好きな作品はバスケマンガ「SLAM DUNK」だというが、もし実写化の話があったら? 「難しいですね……。もしかしたら好きすぎてできない可能性があります。もし100万分の1の確率で僕に役が来たら、断ると思います(笑い)。好きすぎて、できないですし、映像化は不可能だと思っているので」ときっぱり。

 ◇朝ドラと異なるダークな役柄「躊躇はない」

 放送中のNHK連続テレビ小説「わろてんか」では主人公てんの夫・藤吉を演じた。今作の全く異なるダークな役柄に躊躇(ちゅうちょ)や葛藤はなかったのだろうか。すると松坂さんは「全然ないですね。朝ドラが放送中ですけど、この『不能犯』もそうですし、(石田衣良さんの小説が原作の)『娼年』(三浦大輔監督、4月6日公開)という映画もやっている。『娼年』なんてラブシーンばっかりですからね」と笑い飛ばす。

 さまざまな役柄を演じるのは「30代のために、ということですね。20代後半からわりとそれを意識してやってきたので。運よく(続けて)やらせてもらえたというのは本当にありがたいです。色が全く異なる監督や作品と出合うことによって、30代に入ったときにまた違った見え方というか。違った仕事の仕方ができると思っています」と今年10月から始まる30代を楽しみにしている。

 今年は「20代で仕事に関してやるだけやったので、その結果が出る年であるということと、30歳になる年で、今年から入る作品に関しては30代を意識してやっていきたいですね」と思いをはせる。

 ◇30代、40代で「いい再会をしたい」

 30代は「しっかりと一つ一つの役柄に深みを入れることができる俳優になりたい。それは次の40代、10年後の仕事に向けてやるわけですけどね。そうすると40代は、また違った仕事の仕方ができると思うし。それを続けていくと、いろんな人といい再会の仕方ができると思うので。この仕事って、どんどん続けていくと、出会いより再会が多くなっていくと思う。ちゃんとそこで胸を張っていい再会ができる俳優になっていければなと思っています」と10年先を視野に入れていた。

 俳優としては「理想はいないですけれど、尊敬している人はたくさんいます。尊敬している方とは、いい再会をしたい方たち。本当に、今やっている挑戦を続けていかないと(再会して)仕事ができない人たちですね」と言い、例えば「樹木希林さん、役所広司さん、西田敏行さん……。監督でいったら、今回の白石晃士さんもそうですね。あともう一方の白石和彌監督(『孤狼の血』5月12日公開)もそうですし。名前を挙げたらキリがないですね」と理想を掲げていた。

 ◇自分に置き換えて見て

 最後に、松坂さんは今作について、「この作品を見て、どう思われるかは自由だと思うんですけど、最終的には、実際に見ながら宇相吹と戦ってほしいんですよね。依頼人の方たちって自分の感情に対して負けてるんですよ。それを自分に置き換えたときに、果たして勝てるかどうかということを、ゾクゾクしながら体験していくと、アッという間に時間が過ぎて、果たして自分はどうなのかというふうな(体験型のような)面白い映画の楽しみ方ができると思います。ぜひそういう楽しみ方をしてほしいですね」とメッセージを送った。

 映画はTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開中。

 <プロフィル>

 まつざか・とおり 1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。テレビ朝日系の特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」(2009年)でデビュー。映画「ツナグ」「麒麟の翼~劇場版・新参者」「今日、恋をはじめます」(すべて12年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後も映画「マエストロ!」「日本のいちばん長い日」(共に15年)、「秘密 THE TOP SECRET」「真田十勇士」(共に16年)、「キセキ -あの日のソビト-」「ユリゴコロ」「彼女がその名を知らない鳥たち」(すべて17年)、ドラマは「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(15年)、「ゆとりですがなにか」(16年)、「視覚探偵 日暮旅人」(17年)など数々の話題作に出演し、幅広い役柄を演じ分けている。「パディントン2」では声優を担当。公開待機作に「娼年」(4月6日公開)、「孤狼の血」(5月12日公開)がある。放送中のNHK連続テレビ小説「わろてんか」では主人公てんの夫役を演じた。

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