映画「マンハント」に出演した桜庭ななみさん
「男たちの挽歌」シリーズや「M:I-2」などで知られる巨匠ジョン・ウー監督の最新作で、日本の福山雅治さんと中国のチャン・ハンユーさんがダブル主演した映画「マンハント」が全国で公開中だ。福山さんが演じる敏腕警部・矢村聡の部下の新人刑事・百田里香を演じた女優の桜庭ななみさんに、福山さんとの撮影エピソードやジョン・ウー監督の現場について聞いた。
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「マンハント」は、高倉健さんの大ファンというウー監督が、西村寿行さんの小説「君よ憤怒(ふんぬ)の河を渉(わた)れ」(徳間文庫)を1976年に高倉さんと中野良子さんの出演で映画化した作品をリメーク。国際弁護士の杜秋(ドゥ・チウ=チャンさん)は、自身の送別パーティー後、突然、同僚女性殺害の容疑をかけられる。杜秋逮捕に全身全霊を傾けている敏腕警部の矢村聡(福山さん)は、杜秋を追いつめながら同時に殺人事件の状況証拠を怪しく思い、容疑そのものに疑問を持ち始める……というストーリー。韓国の人気女優ハ・ジウォンさんや、日本からも桜庭さんほか、國村隼さん、竹中直人さん、倉田保昭さん、斎藤工さん、池内博之さん、田中圭さん、吉沢悠さんらが出演。ウー監督の娘アンジェルス・ウーさんも女殺し屋役で出演している。
◇アジアの作品を視野に入れて中国語を学ぶ
桜庭さんは今作に出演したいきさつを「ジョン・ウー監督がキャスティングしていると聞いて、私、ジョン・ウー監督の作品がすごく好きで、『男たちの挽歌』や『レッド・クリフ』も見ていたのでぜひご一緒したいという気持ちで(オーディションに)行きました。決まったときはものすごくうれしくて。周りの人たちもすごく喜んでくれて。とにかく、うれしいの一言です」と笑顔で振り返る。
2014年の秋からアジアの作品に出演することも視野に入れて、中国語を習っていたことも功を奏した。中国や台湾での会見ではあいさつだけでなく、質疑応答も中国語で対応した。桜庭さんは「なんとか頑張りました(笑い)。中国語は、アジアの作品が好きで、次の作品まで少し時間が空いていたので、何かこの間に勉強しようと思って始めたのがきっかけでした。中国語って。四つのどれかの音(四声。高低アクセントのこと)がついているじゃないですか。まさか一言一言に音がついているとは思わなくて、あれが理解できなくて。それを最初、頭の中に入れるのが大変でした」と苦労を語る。
◇映画館へは「一人で行く」
桜庭さんが演じた百田は新人刑事で何事も一生懸命というキャラクター。自身に似ている部分は? 「どんなに失敗しても全部プラスに考えるところとか、くじけず、とにかく頑張るというところは似ていると思います」と分析。逆に異なる部分は? 「新人刑事で初日なのにカジュアルな服を着てくるところ。そういう失敗ってなかなかしないかもしれないですね」と笑う。
百田刑事は現場検証で被害者の役をやる際、入り込みすぎて気を失ってしまう。そんなふうに没入する面は桜庭さんにもあるのだろうか。「私もスイッチが入ってしまいます。例えば、一つの作品を集中して見ていると、全然周りが見えなくなるので、映画も一人で見たいんです。だから映画館は一人で行きますね」という。
◇福山雅治のクールなイメージが…
上司役の福山さんに対しては「(役柄の)矢村刑事のようなクールなイメージだったんですけど、現場では一人一人に声をかけてくださったり、すごく気を使われる方でした」と温かみを感じたようだ。ロケ地では「大阪で撮影していたんですが、(撮影が終わって)おいしいご飯に連れて行ってもらったりしました。すごく気さくな方でした」と明かす。
桜庭さん自身にはアクションのシーンはないが、福山さんをはじめ他のキャストのアクションは激しいものがあった。「すごくカッコよかったですね。殺陣で斬るところとかすごくすてきでした。福山さんもそうですし、チャンさんもハ・ジウォンさんもすごく魅力的で。私もアクションちょっとやりたかったなと思いました」とうらやましがる。アクションの準備は「ちょっとやったんですよ。銃で撃ち合いの練習とかもしたんですけど。撃つシーンはなかったです」と残念そうな表情を見せる。
憧れのジョン・ウー監督の現場は「監督は温かく見守る感じで。巨匠なんですけど、一人一人のお芝居をすごく尊重してくださって、それぞれの意見を聞いたり、こういうシーンにしたいんですけどという意見を自らわざわざ近くに来て話してくださって、すごく熱心な温かい方でした」と目を輝かせ、「またジョン・ウー監督とご一緒したいと思いました」と話した。
◇違った役どころでジョン・ウー監督作にまた出たい
今後は、「もちろん日本の作品でももっと頑張らなくちゃというところもあるんですけど、同時にアジアの作品にももっと出たいし、今回ご一緒したジョン・ウー監督とも、また違った役どころでお芝居を見ていただきたいです。また、中国の他の監督の作品にも出られる機会があったらいいなと思います」と前向きに語った。映画は全国で公開中。
<プロフィル>
さくらば・ななみ 1992年10月17日生まれ、鹿児島県出身。2008年にドラマ「栞と紙魚子の怪奇事件簿」で女優デビュー。主な映画出演作に「最後の忠臣蔵」(10年)、「ランウェイ☆ビート」「天国からのエール」(共に11年)、「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」(15年)などがある。公開待機作に「かぞくいろ」(18年公開予定)がある。
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