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メリル・ストリープさんとトム・ハンクスさんが出演する映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」(スティーブン・スピルバーグ監督)が30日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開される。流出したベトナム戦争に関する機密文書を公表するか否かの決断を迫られる、米主要新聞社初の女性社主の姿をスリリングに描いている。今年度の第90回米アカデミー賞作品賞と、社主役のストリープさんが主演女優賞にノミネートされた話題作だ。
1971年、米国防総省(ペンタゴン)が作成していたベトナム戦争に関する極秘文書が流出。その一部を、ニューヨーク・タイムズ紙がスクープした。ライバル紙に先を越されたワシントン・ポストは、編集主幹のベン・ブラッドリー(ハンクスさん)を中心に、すぐさま調査を開始する。ところが、ニクソン政権が、国家の安全保障を脅かすとしてニューヨーク・タイムズに記事の差し止めを命令。報道の自由を貫き記事の掲載を強行するか、それとも政府の圧力に屈し、掲載を控えるか。究極の判断は、ワシントン・ポストのトップ、キャサリン・グラハム(ストリープさん)に委ねられることになる……というストーリー。
文書を独自ルートで入手したベンは、より抜きの部下たちに、すぐさま記事の準備にとりかかるよう命じる。タイムズが3カ月かけて記事を用意したのに対し、ポストは締め切りまで10時間。しかも膨大な資料の順番はバラバラ。“ムチャぶり”もいいところだ。しかし、刻一刻と締め切りが迫る中、それをやり切ろうとする記者たちの姿にプロ根性を見せつけられ、胸が熱くなった。
一方、夫の死後、専業主婦からいきなり米国の有力全国紙初の女性経営者となったキャサリン。周囲の男性役員たちからは、「能力がない」だの、「存在しない」だのとさんざん軽んじられてきた。その彼女が、記事を公表するか、見送るかの決断を迫られる。キャサリンが重圧の中、葛藤し決断する姿には、大いに手に汗握り、心を揺さぶられた。
監督は、SF大作「レディ・プレイヤー1」の公開を控えるスピルバーグさん。ジャンルが全く異なる2作品を同時期に作り上げた器用さに、舌を巻かずにはいられない。(りんたいこ/フリーライター)