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米女優のアン・ハサウェイさんが、公開中の映画「オーシャンズ8」(ゲイリー・ロス監督)で犯罪ドリームチーム「オーシャンズ8」に狙われるハリウッド女優ダフネ・クルーガーを演じている。出演オファーが来る前に今作のことを知っていたハサウェイさんは、「この映画に出演できるラッキーな女性がうらやましくてたまらなかった」とジェラシーまで感じていたというが、その後、出演が決まり、「ただただ喜びに包まれた」と大喜びで撮影に臨んだ。“最悪のディーバ(お姫様気取りの女性)”を演じたハサウェイさんに話を聞いた。
映画は、「オーシャンズ11」「オーシャンズ12」「オーシャンズ13」から続く人気映画「オーシャンズ」シリーズの最新作。伝説の怪盗ダニー・オーシャンの妹のデビー・オーシャン(サンドラ・ブロックさん)をリーダーとした8人の美女からなる犯罪ドリームチーム「オーシャンズ8」が、人気ハリウッド女優(ハサウェイさん)が身に着ける総額1億5000万ドル(約166億1850万円)の宝石を狙って、世界最大のファッションの祭典「メットガラ」で大胆不敵な計画を遂行する……というストーリー。
◇「オーシャンズ」のファンだった
――豪華女優陣で映画化された今作ですが、出演が決まった時の率直な気持ちを教えてください。
最初にこの映画が作られると聞いた時は、出演者としてではなかった。私が候補として挙がっていることさえ知らなかった。だから最初に感じたのは“妬み”よ(笑い)。ハハハ! この映画に出演できるラッキーな女性がうらやましくてたまらなかった。それで、自分に言い聞かせたわ。ノー、ノー、ノー。この映画はすべての女性にとって良いこと。だからここは大人になって、出演できる女性たちに対してハッピーにならなきゃってね。その2週間後、じつは、私も出演者として考えられていることが分かった。だから、とてもうれしかった。
――オファーを受ける前に、企画の話を耳にしたわけですね。
ええ、この映画のことをオファー前に耳にしたの。ロサンゼルスのレストランで誰かと世間話していて、「これから私はニューヨークに行くところよ」と言ったら、「あら、サンドラ・ブロックの『オーシャンズ』の仕事をやるの?」と、聞かれたのよ。私は、それを聞いて、「うううう!」となった(笑い)。
「サンドラ・ブロックが、『オーシャンズ』の映画をやるんですって?」と聞くと、彼らが「そうだ」と言うじゃない。私は「ノー。私はそれには出演しないの」と答えた。「でも、彼女たちの幸運を願うわ」ってね。ところが、結局、私が出演することになっていたなんてね! それを知って、ただただ喜びに包まれた。純粋な幸せ。それからは毎日、感謝の気持ちでいっぱいになった。
――今までの「オーシャンズ」シリーズに関してどんなイメージをお持ちですか。
私は「オーシャンズ」の大ファンだった。彼らのクールでグラマラスな感じが大好きだった。彼らがユーモアのセンスを持っていることも、とても気に入っていた。役者たちにとって、自分の一般的なイメージをいい演技で外へと発信していけるような機会になっていることも、とてもいいなと思っていた。それに、作品は最高のエンターテインメントになっていると思うから、私はファンだったのよ。
◇感じの悪い役を演じるのは楽しくてしょうがない
――今回、あなたが演じるダフネは、“オーシャンズ8”のターゲットとなるハリウッド女優役です。
私は“ディーバ(自分が世界の中心みたいに振る舞うお姫さま気取りの女性)”を演じているのよ! 悪夢のディーバよ! (ダフネに対する)言葉遣い、ちゃんと気をつけてね(爆笑)。
――実際に女優業をされているハサウェイさんにとって、このハリウッド女優役を演じる上で気をつけたことは? 難しかった点は?
特別、気をつけたことはなかった。私は、名声なんてかなりばかげたものだと思っているから。私はこの役柄にのめり込んでいたから、本当にすんなり入っていけた。何年も、私はナイスガール、グッドガール(いい子ちゃん)をずっと映画で演じてきたから、今回、とても感じの悪い不快な人間を演じることが、楽しくてしょうがなかった。それは、私にとって難しいことではなかった。
――監督やプロデューサーからはどのようなリクエストがありましたか。
リクエストは特になかった。ゲイリー・ロス監督が、ずっと私に言っていたのは「彼女はディーバだ」っていうこと。だから私は、何が人々を“ディーバ”にするのか、と考え始めた。私は彼女を、マンガのキャラクターみたいにはしたくなかった。本物の人間になってもらいたかった。だから、思考を巡らしたのよ。
役作りとして、そのような感じの人たちをまねすることも考えた。でも、彼女は時にあまりに滑稽(こっけい)だからこそ、好感が持てることもあって、誰かをただまねするわけにはいかなかった。そんなことしたら、まるで誰かを侮辱している感じでしょ。だから、何人かの人たちを思い描いて、それぞれからインスピレーションを少しずつもらって、そこに自分のイマジネーションを織り込んでいったの。
例えば、私のような人が部屋に入っていく。セレブが持ち込むエネルギー、名声というものがその部屋にもたらすのはどんな感じかなとか。もし、私が最悪の人間だったら、どうなるかな、と。人々はどう反応するかな、私はなんと言うかしら、と。そんなふうにイマジネーションを膨らませていったから、何も気をつけることなんてなかった。すべて私の想像が基になっているのだから。
――ダフネは確かに嫌われそうなディーバなのに、なぜか観客が好感を持ってしまうキャラでした。通常そんなディーバは嫌われるものなのに、あなたは気に入られるディーバでした。
それは、初耳! だって、私の夫は、この映画を初めて鑑賞中、私の方に顔を向けて、こう言ったのよ。「君は最低、ムカつくな」ってね(笑い)。だから、私を好ましいと思ってくれたのは、とてもうれしい(笑い)。私がそれに同意できるかどうかは疑わしいけれど……。
◇夜の美術館はかなりクール!
――生粋のニューヨーカーであり、トップ女優として活躍するあなたにとって、今回の舞台「メットガラ」とはどんなものですか。
私は今年、とっても楽しい時を過ごした。メットガラは、毎年変わるけれど、今年は私が会いたいと思っていた多くのアーティストたちがそこにいて興奮した。リナ・ウェイスに会えた。ティファニー・ハディッシュに会えた。トレイシー・エリス・ロスに会えた。そんな素晴らしいアーティストたち、私が羨望(せんぼう)のまなざしを向けている人たちと、そこで会えたのよ。
そんな人たちと一緒に、ファンタジーの世界の空間に身を置いた感じ。なんといっても、夜の時間帯に美術館にいること自体、かなりクールだった。そして生涯、もう二度と着ることはないであろう美しいドレスに身をまとっている。アートの全コレクションを他の誰もが鑑賞する前に見ることができるなんて。その上、飲み放題のサービスも(笑い)。それってグレートで、楽しいと思う。
メットガラは毎年、そのときどきで世の中で起きていることが反映されているものだと思う。そして今年スペシャルだったのは、マドンナがクロージングとして登場したこと。すごかった。とても美しかった。
――撮影であれほどのゴージャスな宝石を身につけた感想は? 本当のメットガラに参加している気分になりましたか。
いいえ(笑い)。本物だという感じはしなかった。だけど、見た感じは本物だった。あまりに超現実的で、あぜんとした瞬間はあった。私と同じような職業のキャラクターとしてメットガラを体験する……この非現実的な感触。でも、この役柄を演じられたことに一日中、感謝の念でいっぱいだったから、ただただそれを感じていた。