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俳優の山田裕貴さん主演の映画「あの頃、君を追いかけた」(長谷川康夫監督)が、5日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほか全国で公開される。山田さん演じる主人公が、高校時代からの10年間を振り返る形で物語は進んでいく。ヒロイン役は、アイドルグループ「乃木坂46」の齋藤飛鳥さん。仲間との友情、異性へのほのかな思い、教師への反発……青春時代の心象風景が、柔らかな映像の中で紡がれていく。
2018年秋。水島浩介(山田さん)は、結婚式場へ向かおうとしていた。その浩介の脳裏に、高校時代の懐かしい思い出がよみがえる……。10年前、高校3年の浩介は、受験を控えながらも仲間とバカなことばかりして、教師たちからは問題児扱いされていた。そんな中、医者の娘で学校一の優等生、早瀬真愛(まな=齋藤さん)は、教師から浩介の“指導係”を命じられる。当初、互いに苦手意識を持っていた浩介と真愛だったが、ある事をきっかけに距離が縮まり、互いを意識するようになっていく……というストーリー。11年製作の台湾同名映画(13年日本公開)のリメーク。公開当時、台湾では10人に1人が見たというヒット作だ。
全裸で扇風機の風に当たったり、中国武術の修練に励んだりと、山田さんが体を張りながら(?)浩介の10年間を確かな演技力で表現している。映画初出演の齋藤さんも、一見とっつきにくいが実は面倒見のいい真愛を、あどけなさと大人びた表情を使い分け、チャーミングに演じ切った。松本穂香さんが、浩介の幼なじみでさばさばした性格の小松原詩子を好演している。
当初は敬遠し合っていた浩介と真愛。やがてその苦手意識が恋心に変わっていく過程が、細かいエピソードを積み重ねることで、丁寧につづられていく。青春時代の甘酸っぱい体験が、時に切なく、時にいとおしく、時にコミカルに描かれていて郷愁を誘う。初デートで、真愛に「(私の)どこが好きなの?」と尋ねられ、浩介が返した言葉の真っすぐさがまぶしかった。
台湾版へのオマージュをところどころに忍ばせているのも心憎い。浩介が仲間と海を見ながら将来を語り合う場面は、台湾版同様、深く胸に刻まれた。(りんたいこ/フリーライター)