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押見修造さんの累計発行部数300万部のマンガを実写映画化した「惡の華」(井口昇監督)が、9月27日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。ボードレールの詩集「悪の華」を心の友とする男子中学生の鬱屈した日々を衝撃的に描き出した。伊藤健太郎さんと玉城ティナさんが主従関係のある男女を熱演し、思春期の純情と暗黒面がバチバチと衝突し合う。
山々に囲まれた地方都市。閉塞(へいそく)感のある町で、中学2年生の春日高男(伊藤さん)は、息苦しい日々をやり過ごしていた。心のよりどころは、ボードレールの詩集「悪の華」。ある日の放課後、憧れのクラスメート、佐伯奈々子(秋田汐梨さん)の体操着を見付け、衝動的に持ち帰ってしまう。それを目撃したクラスの問題児・仲村佐和(玉城さん)は、秘密にする代わりに春日と契約を結び、主従関係をスタートさせる……というストーリー。
撮影当時、21歳だった伊藤さんと玉城さんが中学生を熱演。佐伯役は、オーディションで約300人の中から選ばれた秋田さんが16歳で堂々とした芝居を見せる。今回初の映像化となった高校時代のパートもあり、飯豊まりえさんが演じる春日の友人、常磐文も登場する。ほかに鶴見辰吾さん、坂井真紀さん、高橋和也さん、黒沢あすかさん、松本若菜さんらが出演している。
高校生の春日が中学時代を振り返るところから始まる。窮屈な教室で居心地の悪そうな春日。物語は思春期らしい出来心から展開していく。これまたクラスで浮いている仲村によって、「クソムシが!」と罵倒されながらグイグイと暗部をえぐり出されていく。狂気じみたやり取りがどうなっていくのか、その行方にかなりハラハラする。と同時に、2人の力強い芝居に圧倒される。少しずつ仲村やマドンナ佐伯の別の面も見え始め、予想のつかない展開に……。思春期の閉塞感と、世界の向こう側へ行きたい願望が疾走していく。青春キラキラムービーが多い中での野心作となった。
井口監督が、自作の「覚悟はいいかそこの女子。」(2018年)に出演した伊藤さんを主役に抜てきした。脚本は、劇場版アニメ「心が叫びたがってるんだ。」(2015年)などで知られる岡田麿里さんが担当した。主題歌はロックバンド「リーガルリリー」の「ハナヒカリ」。(キョーコ/フリーライター)