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映画「真実」でメガホンをとった是枝裕和監督(左)と日本語吹き替え版のリュミール役を担当した宮崎あおいさん
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映画「真実」でメガホンをとった是枝裕和監督(左)と日本語吹き替え版のリュミール役を担当した宮崎あおいさん

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宮崎あおい&是枝裕和監督:女性が輝く秘訣は「夢中になれる“何か”があること」 

 女優の宮崎あおいさんが日本語吹き替え版で声優を務めた是枝裕和監督の最新映画「真実」が10月11日から公開中だ。映画はフランスの国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブさん)の自伝本の出版をきっかけに、母と娘の間に隠された愛憎渦巻く“真実”があぶり出されていく様を描いている。宮崎さんはファビエンヌの娘リュミール(ジュリエット・ビノシュさん)の声を担当。宮崎さんと是枝監督に、表現者としての生き方や10年後の未来像などを聞いた。

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 ◇2人が思う“仕事とプライベートの線引き”は…

 今作でドヌーヴさん演じる大女優ファビエンヌは、気ままで傲慢。退屈な日常より女優としての在り方を優先する、女優の一つの生きざまを体現している女性だ。是枝監督はファビエンヌのキャラクターについて、「『女優とはそういうものだ』と僕自身が思っているわけではないんです」と前置きし、「ファビエンヌは、そういう生き方をしてきたことに後ろめたさがあるから、強がる。そのようなもろさを抱え込んでいる人を描いてみようと思ったんです」と誕生の背景を明かす。

 演じることに人生を懸けてきた極端なファビエンヌの姿は、同じ女優として、宮崎さんの目にはどのように映ったのか。宮崎さんは「人それぞれで、何が正解だというわけではないので」とした上で、「自分とは全然違う」と言い切る。「自分は、一人の人間としてきちんと生きている上で、仕事があったり、親として生きている部分があったり、子供として生きている部分があると考えています。『まずは人間としてのベースがちゃんとしていないといけない』と思っているので、全然違うと感じました」と異なる部分を口にする。「でも、あんなふうに言い切れるのは、すごいと思います」とたたえる。

 そういったファビエンヌの姿は、表現者としての自分とプライベートの自分と線を引いていないかのようにも映る。宮崎さん、是枝監督は、表現者としての自分と個としての自分の線を、どこで引いているのか。是枝監督は「線がないんですよね」と苦笑する。「唯一の長く続いている趣味が映画。それが仕事になっちゃったから、息抜きがなくてもストレスがたまらない、はた迷惑な感じなんです(笑い)。はた迷惑なんだな、という自覚は出てきたから『みんなは休んでいいよ』と言っているんですが、僕はそんなに休まなくても大丈夫なまま、ここまできちゃったんです」と笑う。

 宮崎さんも、そんな是枝監督の話に同意し、「私も多分、ない方です。物心つかないころにエキストラのお仕事が始まったので、このお仕事に関わっていない自分を知らないんです。生活の一部にお仕事があるので、線がないですね」と明かす。

 ◇女性が輝く秘訣は… 2人の意見が一致?

 今作は、大女優ファビエンヌをはじめ、ジュリエット・ビノシュさん演じるリュミール、マノン・クラヴェルさん演じるマノンなど、輝きを放つ女性が多く登場する。そこで、メガホンをとった是枝監督に、どのような女性が輝いていると思うかと聞くと、熟考ののち、「自分以外に大切にしているものがある人」と回答。「もちろん自分も大事ですが、自分以外にエネルギーや愛、手間などを注げる対象がある、ということですね。それは、人でも物でもいい。そういう人がすてきだなと思います」と明かす。

 数々の映画やドラマに出演し、女優として輝き続ける宮崎さんには、女性目線で「女性が輝く秘訣(ひけつ)」を聞いた。宮崎さんは「夢中になれる“何か”があること」と語り、「お仕事でもいいし、子育てでもいいし。『これが大好き!』と思っているときって、すごく満たされているから、その人も幸せになる気がするし、周りも幸せな気持ちになっていくのかなと思います」と回答。そんな宮崎さんの話を聞き、是枝監督は「一緒だよ!」とうれしそうにほほ笑む。

 最後に2人に、10年後の未来像を聞くと、是枝監督は「映画を撮っていたいな、と思います」と答えた。「どこでどんな、というのは分からないけれど、撮っていたいし、撮っていると思います」と語る。宮崎さんは「お料理がもっとうまくなっていたいなと思います(笑い)」と明かし、女優業では「今は、自分がやりたいと思える仕事に、心地いいペースで参加させていただいているので、このありがたい状況が続いていればいいなと思います」と語った。

 映画は、国民的大女優のファビエンヌが「真実」というタイトルの自伝本を発表したことから、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く“真実”があぶり出されていく……という物語。是枝監督初の国際共同製作作品で、今年度のベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、オープニング作品として上映された。

 <宮崎あおいさんのプロフィル>

 みやざき・あおい 1985年11月30日生まれ、東京都出身。2002年に公開された初主演作「害虫」で第23回ナント三大陸映画祭コンペティション部門主演女優賞を受賞。主な出演作に、映画「ツレがうつになりまして。」(2011年)、「舟を編む」(2013年)、「世界から猫が消えたなら」「怒り」(共に2016年)、「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶」(2017年)など。ドラマはNHK連続テレビ小説「純情きらり」、NHK大河ドラマ「篤姫」など出演に多数。

 <是枝裕和監督のプロフィル>

 これえだ・ひろかず 1962年6月6日生まれ、東京都出身。1995年に「幻の光」で監督デビューし、べネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞。「誰も知らない」(2004年)では主演を務めた柳楽優弥さんがカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。その他「花よりもなほ」(2006年)、「歩いても 歩いても」(2008年)、「海街diary」(2015年)、「三度目の殺人」(2017年)など作品多数。2013年に「そして父になる」で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。2014年独立し、西川美和監督らと制作者集団「分福」を設立。「万引き家族」(2018年)が、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞。

 *宮崎あおいさんの「崎」は「たつさき」。

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