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吉岡里帆:「Fukushima 50」に佐藤浩市の娘役で出演して 女優としての責任と覚悟

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 福島第1原発事故で決死の作業を行った人々の姿を描く映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」(若松節朗監督、3月6日公開)で、家族の無事を祈りながら、避難所生活を送る女性を演じた吉岡里帆さん。真実の物語に飛び込むには大きな緊張感を覚えたというが、そんなときに力をくれたのが父親役を演じた俳優・佐藤浩市さんの存在だったという。今作の撮影を経て、「誰かの力や光になる可能性のあることには、怖がらずに挑んでいきたいと思った」と改めて実感した女優業への覚悟を聞いた。

 映画は、ジャーナリストの門田隆将さんによるノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫)が原作。東日本大震災で起きた巨大な津波によって、危機的事態に陥った福島第1原子力発電所を舞台に、死を覚悟して現場に残った約50人の作業員“Fukushima 50”が、あきらめることなく戦い続けた姿を描く。吉岡さんは、最前線で指揮をとる福島第1原発1・2号機当直長・伊崎(佐藤さん)の娘、遥香役を演じた。

 ◇「全うしなくてはいけない」と気が引き締まる思い

 東日本大震災と原発事故の発生から9年。福島で行われた今作の試写会で佐藤さんが「(事故は)決して遠い過去ではない」、共演の渡辺謙さんも「この事故で人生を変えられてしまった人がたくさんいる」と語ったように、真実の重みを感じさせる映画だ。吉岡さんは、オファー時の心境について「すごく緊張しました。全うしなければいけないと、気が引き締まる思いでした」と覚悟が必要だったことを明かす。

 背中を押してくれたのは、縁で結ばれた福島県の人たちだという。「映画の撮影に入らせていただく前に、日本各地の短歌を紹介する番組に携わらせていただいたことがあって。そこで福島県富岡町に住まわれていた方と出会い、長い時間をかけて、当時の生々しいお話を真摯(しんし)にしてくださいました。その方々との縁も感じましたし、お話をしてくださった思いを担うことができたらいいなと思いました」。さらに「佐藤さんとご一緒できるということも、とても心強かったです」と感謝する。

 撮影現場は「若松節朗監督を筆頭に、スタッフ、キャストの誰もが『うそがあってはいけない』という緊張感を持っていた」とリアルを追求しようという、並々ならぬ一体感のあるものだったと話す。「私の演じる遥香は避難所生活を送る女性ですが、避難所のロケ地も、画面には映らないような部分までとても細やかに作り込まれていました。例えば『家族を探しています』と書き込むメッセージボードがあるんですが、そのコメントの一つ一つにも『なんとかして家族を取り戻したい』との思いがたくさん込められていました。エキストラの方たちの履物や衣装なども、避難している人たちの気持ちに寄り添ったものが丁寧に準備されていて。醸し出す空気も独特で、前に進まなければいけないのに、不安で時間が止まっているような空気が流れていました」と語る。

 吉岡さん自身も、役作りに挑む上で「避難所生活をされている方たちについてリサーチをしたり、話を聞かせていただいた」という。「若松監督は、避難所生活をしているときの“待っている不安”や、家族が危険な目に遭っているという“怖さ”をキャラクターに乗せてほしいとおしゃっていました。資料を読んだり、お話を聞いて感じたのは、『知らないことが本当にたくさんあるんだ』ということ。どんな資料を読んでも、『知らなすぎて恥ずかしい』というくらいの気持ちで……。富岡町出身で、今は違う場所に移り住んでいる方からは『ここもとてもすてきな場所なんだけれど、やっぱり故郷は一つだからね』という言葉も伺い、撮影中は“故郷を奪われる感覚”というものもずっと意識していました」と語る。

 ◇作品を背負っている佐藤浩市の姿に…

 映画全編を通して「福島第1原発事故を風化させてはいけない」という気迫にあふれた映画として完成した今作。吉岡さんの心にも、ある変化が生まれたという。「私は東北出身ではないですし、どこまで伝えられるんだろうと自分でわからない部分もありました。『こういう映画をやります』となったときに、きっといろいろな意見があると思います。見るべきだという人もいれば、見るのが苦しいという方もいると思います」と前置きしつつ、「私は出演させていただいたことがきっかけで、より東北のニュースを見るようになりましたし、より知ろうとするようにもなりました。帰宅困難地域に指定されている方のお気持ちを伺ったこともあり、『一部のエリアで指定が解除された』という知らせを聞くと、あるつながりを感じることもあって。復興への意識も強くなりました」と真摯な思いを明かす。

 「初めて学生演劇を見たときに、すごく感動してお芝居を始めた」という吉岡さん。縁を大切に女優道を歩んでおり、「いつも『私のところにオファーが来た』ということを、ありがたく、大切に感じています。『私にこの役をやってほしい』と思ってくださった気持ちに応えたいということが原動力になります。そう思ってもらうためにも、努力をしないといけない時期」と笑顔で語る。そんな中でも「日々、先輩方のすごみを感じた」という今作の撮影は、女優としても改めて大きな気づきがあったと話す。

 「撮影現場で、佐藤浩市さんが『今回、出ることに対して悩まなかった?』と聞いてくださったときに、私は『正直、とても怖いと思いましたし、どこまで私に担えるのだろうかと思いました』という話をして。佐藤さんとお話をしたり、作品を背負われている佐藤さんの姿を見て、改めて『自分自身で責任と覚悟を持って仕事をするべきなんだ』と感じたんです。これからも難しい作品や役柄を演じる機会をいただいたら、一人でも誰かの力や光になる可能性があるものには、怖がらずに挑んでいきたい。今作はとてもシリアスな作品ですが、その中にも希望や福島の方々への応援のメッセージが込められています」と実感を込めて語った。

 <プロフィル>

 よしおか・りほ 1993年1月15日生まれ、京都府出身。京都在住のころから小劇場の舞台に立ち、自主映画にも参加。NHK連続テレビ小説「あさが来た」(2015~16年)で注目を集める。主な映画出演作に「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」(2018年)、「パラレルワールド・ラブストーリー」「ホットギミック ガールミーツボーイ」「見えない目撃者」(いずれも2019年)などがある。

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