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女優の水川あさみさんが俳優の濱田岳さんと夫婦役を演じる映画「喜劇 愛妻物語」(足立紳監督)が、9月11日公開される。足立監督が、自身の実録小説を自ら脚色、映像化した作品で、水川さんは濱田さん演じるダメ亭主にあきれながら、家計を支え、子育てする“恐妻”のチカを演じている。水川さんに、チカの役作りや夫役の濱田さん、娘役の新津ちせさんとの共演、女優業について聞いた。
◇チカ&豪太夫婦の愛情に共感 「夫婦ってそういうものなのだ」
映画は、結婚して10年になる売れない脚本家で、濱田さん演じる豪太と、水川さん演じる妻チカの物語だ。豪太のダメ亭主ぶりに業を煮やし、口を開けば豪太に向かって「うざい」「くずに近い雑魚(ざこ)」、果ては「たんつぼ」と罵声を浴びせるチカ。その言葉を受け止める豪太。なんだかんだ言いながら一緒にいる2人は究極の夫婦像に見える。
そんなチカと豪太に、2019年に結婚した水川さんも、「愛情の部分はすごく共感できますし、すてきだなと思います。腹が立って怒っても、何時間後にはまた一緒にご飯を食べなきゃいけないし、一緒に日常を生きていかなければいけない。結局、夫婦ってそういうものなのだと思います」と共感を寄せる。
一方で、チカの豪太に対する暴言の数々には共感できなかったが、「普段あんな言葉を人に対して使わないですから。『たんつぼ』という言葉も生きてきて初めて発しました。そういう意味では面白い体験でした」と振り返る。
◇体重5キロ増は「行ったことのない領域」 タピオカとうどんで増量
今回、役のために体重を5キロ増やした。脚本のチカの描写を読み、「監督に、太ったほうがいいですかと聞いたら、『はい』とおっしゃったので太りました」と潔く語る。ただ、その前の仕事と今作のクランクインまで3週間しかなく、しかも5キロ増は水川さんにとって「行ったことのない領域」だったため、「なかなか太れなかった」というが、「糖質で太ったほうがぼてっと太る」と考えた水川さんは、毎食後、タピオカ入り飲料を飲み、ロケ先の香川県高松市では「デザートにうどんというぐらい、うどんばかり食べていた」という。
役のために体形を変えることについて、「役だから(抵抗は)全然ないです。当たり前のことですから。そういうことを(周囲は)なかなか女優さんには求めない傾向にありますけど、私は“やってやる”と思うタイプ。だから、今回それができたということも私はうれしかったです」と気風(きっぷ)がいい。
1997年公開の映画「金田一少年の事件簿 上海魚人伝説」で女優デビューを果たしてから、さまざまな役を演じてきた。そこで水川さんにとって女優業とは?と尋ねると、「なんでしょうね……」としばらく考えてから、「自分ではない人物を演じるということが、ただ楽しい」と答えた。
そして、「一番長くやっていることで、今は一生続けたいと思う仕事ですし、自分にとってはなくてはならないものでもあります」と続け、「女優って、『女が優れる』と書きますよね。ですから、みんなが憧れたり、きれいだなと思う存在だったり、もちろんそういう面も必要ではあると思いますけど、そういうことより私はもっと、役を存分に生きることのほうに興味があります」と言い切った。
ちなみに、体重は今は元に戻っているそうで、「(食事を)普通に戻して、もちろん運動もして、頑張って戻しました」と笑顔を見せた。
◇濱田岳の演技力に「腹が立った」 子役の存在で自然に夫婦に
豪太を演じる濱田さんについて、「岳君は全然だめじゃない人ですから、演技力はすごいと思います」と舌を巻きつつ、「本当に腹が立ちますからね。あんな顔されて、へらへらしゃべられたら。なおかつ、その横にはモデルになっている監督がいますから。振り向いて岳君の顔を見てお芝居しなくちゃいけないときも、その後ろに監督がいるから倍の効果で腹が立ちます」と苦笑交じりに明かす。
5歳の娘アキを演じたのは、ヒット曲「パプリカ」を歌ったことで知られる音楽ユニット「Foorin(フーリン)」のメンバーでもある新津さん。「ちせが私たちを夫婦にさせてくれたと思います。自然にママ、パパと呼んでくれて、彼女のその場の居方がすごく自然で、家族としていられる形を作ってくれました」とその存在に感謝する。
母親役を演じたことで母性本能がくすぐられたかと聞くと、「女性には本来、母性があるものですから、自然と可愛いなと思いました」と目を細めながら、「ただ、普段、同じくらいの年齢の友達に対しても母性が湧くことはありますし、大切にしているペットにも母性が湧きますし」と大いなる愛情で接していたことも明かした。
次回はファッションや美容法、さらに女性が輝き続ける秘訣(ひけつ)などについて聞く。
<プロフィル>
みずかわ・あさみ 1983年7月24日生まれ。大阪府出身。映画「金田一少年の事件簿 上海魚人伝説」(1997年)で女優デビュー。最近の映画出演作に「後妻業の女」(2016年)、「グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~」(2020年)。動画配信サービス「hulu(フールー)」の「住住」、「Paravi(パラビ)」の「love distance」(共に2020年)などがある。公開待機作に「ミッドナイトスワン」(9月25日公開)、「滑走路」(11月20日公開)。